pH 7.32、PaCO2 27 Torr、HCO3⁻ 13 mmol/L、Na⁺ 138 mmol/L、K⁺ 4.5 mmol/L、Cl⁻ 102 mmol/L であった。考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
pH 7.32(アシドーシス)、PaCO2 27 Torr(低値、呼吸性代償)、HCO3⁻ 13 mmol/L(低値、代謝性アシドーシス)の所見から代謝性アシドーシスと判断できる。アニオンギャップ(AG)を計算すると、AG = Na⁺ - (Cl⁻ + HCO3⁻) = 138 - (102 + 13) = 23 mmol/L。基準値(8-16 mmol/L)より高値であり、高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスである。糖尿病性ケトアシドーシスは高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの代表的な原因であり、これらの所見と合致するため。
選択肢ごとの解説
- 1. 心不全は、重症化すると組織の低灌流により乳酸アシドーシスを来すことがあるが、その場合も高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスとなる。しかし、心不全の特異的な所見がなく、この情報だけでは優先順位は低い。選びやすい理由:重症疾患であり、酸塩基平衡異常の原因となりうるため。混同注意:乳酸アシドーシス
- 2. 間質性肺炎は慢性的な低酸素血症を来し、呼吸不全があれば呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスを呈することがあるが、直接的に高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの原因とはならない。選びやすい理由:呼吸器疾患であるため、PaCO2異常と結びつけやすいかもしれない。混同注意:呼吸性アシドーシス/アルカローシス
- 3. 尿細管性アシドーシスは、腎臓でのH⁺排泄障害やHCO3⁻再吸収障害により生じる代謝性アシドーシスであるが、これは正常アニオンギャップ性(高Cl性)代謝性アシドーシスである。本症例は高アニオンギャップ性であるため誤り。選びやすい理由:代謝性アシドーシスの原因疾患の一つであり、選択肢として考慮されやすい。混同注意:正常アニオンギャップ性代謝性アシドーシス
- 4. 原発性アルドステロン症は、アルドステロン過剰によりK⁺排泄亢進とH⁺排泄亢進が生じ、代謝性アルカローシスと低K血症を呈するのが典型的である。本症例の酸塩基平衡異常とは異なる。選びやすい理由:電解質異常(特にK⁺)と関連する疾患であるため。混同注意:代謝性アルカローシス、低K血症
- 5. 正解。pH 7.32、PaCO2 27 Torr、HCO3⁻ 13 mmol/Lから代謝性アシドーシスと判断でき、アニオンギャップは23 mmol/Lと高値である。糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリン作用不足によりケトン体(β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸)が蓄積し、高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスを来す典型的な疾患であり、本症例のデータと一致する。選びやすい理由:典型的な高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの病態であるため、検査値から直接的に想起しやすい。混同注意:乳酸アシドーシス(これも高AG性であり、鑑別が必要だが、DKAがより典型的な病態として挙げられることが多い)
国試ポイント
酸塩基平衡の診断アルゴリズム(pH、PaCO2、HCO3⁻の評価と一次性・代償反応の判断)、アニオンギャップの計算とその臨床的意義(高AG性代謝性アシドーシスの原因疾患)を覚える。
混同注意
代謝性アシドーシスには高アニオンギャップ性のものと、正常アニオンギャップ性(高Cl性)のものがあり、鑑別が重要である。本症例は高アニオンギャップ性であるため、乳酸アシドーシス、腎不全、薬物中毒なども鑑別に入る。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、まずpH、PaCO2、HCO3⁻から酸塩基平衡のPrimary disorderを特定し、次にアニオンギャップを計算して鑑別を進める。
関連知識
高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの主な原因疾患:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、乳酸アシドーシス、尿毒症、薬物中毒(サリチル酸、メタノール、エチレングリコールなど)。正常アニオンギャップ性代謝性アシドーシスの主な原因疾患:下痢、尿細管性アシドーシス、炭酸脱水酵素阻害薬など。