1回呼吸法による肺拡散能力測定のスパイログラム(別冊No. 3)を別に示す。ガスを採取する部分はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肺拡散能力(DLco)の測定では、混合ガスを吸入後、一定の息こらえの後に呼出されるガスの中から、気道死腔ガスを除外した純粋な肺胞ガスを採取する必要があります。スパイログラム上の⑤の時点は、初期の死腔ガスが排出され、安定した肺胞ガスが呼出されている最終呼気部分に該当するため、ガス採取に最も適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ①は呼気の初期段階であり、測定に必要な混合ガスが肺胞と気道のデッドスペースで均一に混合される前の部分です。この時点ではまだ安定した肺胞ガスではないため、採取に適していません。正しくは:②以降の肺胞ガスが安定している部分で採取します。選びやすい理由:呼気の開始直後なので、ガスが出てくる最初の部分と誤解するかもしれません。混同注意:死腔ガスと肺胞ガスが混ざり合っている部分であり、純粋な肺胞ガスではないことと混同しやすいです。
- 2. ②は呼気の初期段階にあたり、気道の死腔ガスが多く含まれるため、肺胞ガスのみを代表していません。この段階で採取すると、拡散能測定の精度が低下します。正しくは:死腔ガスが排出され、安定した肺胞ガスが呼出されている部分で採取します。選びやすい理由:グラフの中央付近であり、代表的な呼気流と捉えがちです。混同注意:死腔ガスと肺胞ガスが混ざり合った部分であり、純粋な肺胞ガスを採取する目的と矛盾します。
- 3. ③は呼気の初期から中期にかけての段階であり、まだ死腔ガスが完全に排出されきっていない可能性があります。肺拡散能測定では、肺胞ガスのみを正確に測定する必要があるため、この段階での採取は適切ではありません。正しくは:死腔ガスが完全に排出された後の、肺胞ガスが主体となる部分で採取します。選びやすい理由:呼気の中間部分であり、安定しているように見えるかもしれません。混同注意:死腔ガスが完全に除去されていない可能性があり、純粋な肺胞ガス採取の原則と混同しやすいです。
- 4. ④は呼気のほぼ中間点であり、死腔ガスは排出されていますが、DLco測定で採取する「肺胞ガス」は、より確実に肺胞ガスのみを代表する部分から採取する必要があります。この位置では、まだ初期肺胞ガスが残存している可能性があり、最終的な測定精度に影響を与える可能性があります。正しくは:確実に死腔ガスが排出され、肺胞ガスの均一性が高い後半の安定した部分で採取します。選びやすい理由:呼気の中央部分であり、肺胞ガスが十分に排出されていると誤解しやすいです。混同注意:より後半の安定した肺胞ガス採取部位と混同しやすいです。
- 5. 正解。肺拡散能力測定(DLco)におけるガス採取は、死腔ガス(気道内のガス)が排出された後、肺胞ガスが安定して呼出されている最終呼気部分から行います。この⑤の時点は、まさに肺胞ガスが最も純粋な状態で得られる部分であり、測定結果の正確性を確保するために重要です。
国試ポイント
1回呼吸法による肺拡散能力測定のスパイログラムから、ガス採取の適切なタイミングを判別できるかどうかが問われています。特に、死腔ガスが排出された後の「肺胞ガス」が安定して得られる部分を選ぶことが重要です。肺機能検査における各測定法の手順と、スパイログラムなどの波形が示す意味を理解している必要があります。
混同注意
死腔ガスが含まれる呼気の初期部分と、純粋な肺胞ガスが採取できる後期部分を混同しやすいです。また、吸気と呼気の各フェーズでのガスの組成変化についても理解が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合は、DLco測定における「吸入ガス組成」「息こらえ時間」「呼気ガス採取部位とその意味」が適切に理解されているかを再度確認します。
関連知識
肺機能検査の各項目(VC, FEV1, PEF, DLcoなど)の測定原理、手順、およびそれらが示す生理的意味。特にDLcoでは、混合ガス(COとHe)の吸入、息こらえ、そして呼気ガスのサンプリングの重要性を理解しておく必要があります。