血中薬物濃度測定で検体に全血を用いるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
タクロリムスとシクロスポリンは、共に免疫抑制剤であり、その薬物動態学的特性として赤血球への結合率が非常に高いという共通点があります。このため、体内の総薬物濃度を正確に反映し、治療効果と副作用を適切に管理するためには、全血を検体として測定する必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. ジゴキシンは主に血漿中に存在し、薬効を反映するためには血漿または血清濃度が測定されます。赤血球への結合は限定的で、全血での測定は一般的ではありません。正しくは:ジゴキシンは通常、血漿または血清を検体として測定されます。選びやすい理由:強心薬として厳密な血中濃度モニタリングが必要な薬剤であるため、全血が必要だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:タクロリムスやシクロスポリンなど、全血で測定される他の重要な薬剤と混同しやすいです。
- 2. 正解。タクロリムスは赤血球に高度に結合する特性を持つため、体内の総薬物濃度を正確に反映するためには全血を検体として測定する必要があります。これは免疫抑制療法において非常に重要です。
- 3. 正解。シクロスポリンもタクロリムスと同様に、赤血球への結合率が非常に高いため、血中濃度を正確に把握するためには全血を検体として測定することが不可欠です。主に臓器移植後の免疫抑制に用いられます。
- 4. メトトレキサートは主に血漿中で測定され、特に高用量投与後の血中濃度モニタリングは、その血漿中濃度に基づいて毒性の評価やレスキュー療法の調整が行われます。赤血球への結合は主要な測定対象ではありません。正しくは:メトトレキサートは通常、血漿または血清を検体として測定されます。選びやすい理由:抗がん剤・免疫抑制剤として重要な薬剤であり、血中濃度モニタリングが必須ですが、検体種別の知識が問われています。混同注意:同じく免疫抑制に用いられるタクロリムスやシクロスポリンと、検体種別が異なる点で混同しやすいです。
- 5. フェノバルビタールは抗てんかん薬であり、その薬効および毒性の評価は主に血漿または血清中の濃度に基づいて行われます。赤血球への結合は臨床的に重要視されません。正しくは:フェノバルビタールは通常、血漿または血清を検体として測定されます。選びやすい理由:広く使用される薬物で、血中濃度モニタリングが一般的に行われるため、全血が必要だと誤解する可能性があります。混同注意:全血測定が必要な他の薬剤や、同様に血漿・血清測定の他の抗てんかん薬と混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、各薬剤の薬物動態学的特性(特に赤血球結合性)を理解し、適切な検体種別を選択できるかどうかが問われる典型的な問題です。主要な免疫抑制剤(タクロリムス、シクロスポリンなど)、抗てんかん薬、強心薬などの血中薬物濃度測定における検体選択は重要知識として頻繁に出題されます。
混同注意
血中薬物濃度測定が必要な薬剤全般が混同されやすい対象です。特に、血漿/血清を用いる薬剤(ジゴキシン、メトトレキサート、フェノバルビタールなど)と、全血を用いる薬剤(タクロリムス、シクロスポリン、シロリムス、エベロリムスなど)の区別が曖昧な場合に誤りやすいです。薬剤の作用機序や治療分野が似ていても、薬物動態の違いで検体種別が異なる点に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず各薬剤の主要な分布部位や結合特性(特に赤血球結合性)を思い出すことが重要です。主要な薬物について、どのような検体が適切かを体系的に学習し、薬物動態学の基礎知識と結びつけて理解を深めておくべきです。
関連知識
薬物の血中濃度測定における検体選択の重要性(血漿/血清、全血) 薬物の赤血球結合性、血漿タンパク結合性、組織分布性などの薬物動態学的特性 全血を検体とする他の薬剤(例:シロリムス、エベロリムス) 各薬剤の治療域、中毒域および薬物相互作用