PCR法で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
PCR法において、アニーリング(プライマーの結合)は、プライマーの融解温度(Tm値)を参考に設定されます。Tm値は、プライマーの半分が鋳型DNAと結合している温度を示すため、アニーリング温度はTm値よりもやや低く設定することで、プライマーの安定した結合を促し、効率的かつ特異的な増幅を可能にします。
選択肢ごとの解説
- 1. Tm値が低いと、非特異的な結合が起こりやすくなり、結果として特異性は低下します。プライマーは目的の配列にのみ結合すべきであり、低いTm値では他の場所にも結合してしまいます。正しくは:Tm値が高いほど特異性は高くなります。選びやすい理由:特異性とTm値の関係を混同していると選択しやすいかもしれません。混同注意:Tm値とPCRの特異性の関係。
- 2. PCRにおけるプライマーの適切な濃度は通常、0.1~1.0μM程度です。10μM以上といった高濃度では、非特異的な増幅やプライマーダイマーの形成が増加し、反応効率が低下する可能性があります。正しくは:プライマー濃度は0.1〜1.0μM程度にするのが一般的です。選びやすい理由:高濃度であれば反応が活発になるという誤解から選択しやすいかもしれません。混同注意:プライマーの最適濃度。
- 3. 増幅が困難な場合、アニーリング温度が高すぎるとプライマーがターゲットDNAに結合しにくくなるため、温度を下げることで結合効率を高め、増幅を促進します。温度を上げると、さらに結合が阻害されます。正しくは:増幅しにくい場合にはアニーリング温度を下げることで、プライマーの結合効率を高めます。選びやすい理由:温度を上げれば反応が促進されるという一般的な化学反応のイメージと混同しやすいかもしれません。混同注意:アニーリング温度と増幅効率の関係。
- 4. PCRプライマーのGC含有量は通常、40~60%程度が適切とされています。20%ではGC含量が低すぎて、プライマーのTm値が低くなり、特異性や安定性が損なわれる可能性があります。正しくは:プライマーのGC含有量は40~60%程度にするのが適切です。選びやすい理由:GC含有量の具体的な数値を曖昧に記憶していると選びやすいかもしれません。混同注意:プライマーのGC含有量の適切な範囲。
- 5. 正解。アニーリング温度はプライマーが鋳型DNAに特異的に結合する温度であり、一般的にプライマーのTm値(融解温度)より2~5℃程度低く設定することで、効率的かつ特異的な結合を促します。Tm値以上ではプライマーが解離してしまうため結合できません。正しくは:この記述は正しいです。選びやすい理由:アニーリング温度とTm値の関係はPCRの基本原理なので、正確に理解しているかを問う選択肢です。混同注意:アニーリング温度とプライマーのTm値の関係、特にどちらが高いか低いか。
国試ポイント
PCR法の基本的な原理と各ステップの条件設定(特にプライマー設計と温度条件)に関する正確な知識が問われています。各選択肢は、Tm値、プライマー濃度、アニーリング温度、GC含有量といった主要なパラメータの適切な設定について、正しい知識があるかを試しています。
混同注意
Tm値と特異性の関係、プライマー濃度、増幅が悪い時の温度調整、GC含有量の適切な範囲、そしてアニーリング温度とTm値の具体的な関係がそれぞれ混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、PCRの各ステップの目的とそれに適した温度条件、プライマーの設計基準の具体的な数値(濃度、GC含有量)を正確に理解しているかを確認します。特に、なぜその条件が最適なのかという理由付けまで把握しておくことが重要です。
関連知識
PCRの3つの基本ステップ(変性、アニーリング、伸長)とそれぞれの温度条件。プライマーの設計基準(長さ、GC含量、Tm値の調整、二次構造の回避、プライマーダイマーの回避)。バッファー組成(Mg2+濃度など)やTaqポリメラーゼの性質。