結核性髄膜炎でみられる脳脊髄液所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
結核性髄膜炎では、髄膜の炎症により血管透過性が亢進し、血液脳関門の機能が障害されるため、糖(グルコース)だけでなく、塩素イオン(Cl-)も脳脊髄液から血液中へ漏出しやすくなります。この結果、脳脊髄液中のCl濃度は低下します。その他、蛋白濃度上昇、リンパ球優位の細胞増多、糖濃度低下が特徴的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 結核性髄膜炎の脳脊髄液は通常、透明からわずかに混濁する程度であり、細菌性髄膜炎のような典型的な膿性を示すことは稀です。フィブリン網(fibrin web)の形成が見られることがあります。正しくは:透明からわずかに混濁し、フィブリン網を形成することがある選びやすい理由:髄膜炎全般で強い炎症が起こるため、重症であれば膿性になるのではないかと誤解されやすいです。混同注意:化膿性髄膜炎(細菌性髄膜炎)の所見と混同しやすいです。
- 2. 正解。結核性髄膜炎では、髄膜の炎症による透過性亢進や、疾患が慢性的に経過する中で髄液と血液間の電解質平衡が変化することにより、脳脊髄液中の塩素イオン(Cl-)濃度が低下することが特徴的な所見の一つです。糖濃度低下や蛋白濃度上昇と合わせて認められます。
- 3. 蛋白細胞解離は、脳脊髄液中の蛋白濃度は上昇しているにもかかわらず、細胞数には有意な増加が見られない状態を指し、ギラン・バレー症候群で特徴的に認められる所見です。結核性髄膜炎では、通常、蛋白濃度の上昇とともに細胞数(主にリンパ球)も増加します。正しくは:蛋白濃度上昇と細胞数増加(リンパ球優位)が認められる選びやすい理由:髄膜炎でも蛋白は上昇するため、細胞数とのバランスを誤解する可能性があります。混同注意:ギラン・バレー症候群の脳脊髄液所見と混同しやすいです。
- 4. 結核性髄膜炎では、結核菌が糖を消費することや、炎症による髄膜の糖輸送障害により、脳脊髄液の糖濃度は低下します(低糖症)。通常、血糖値の約2/3以下になることが多いです。糖濃度が血糖値と同程度であるのは、ウイルス性髄膜炎や正常な脳脊髄液の特徴です。正しくは:糖濃度が低下する(低糖症)選びやすい理由:炎症があるにもかかわらず、糖の供給が十分だと考えるか、ウイルス性髄膜炎と混同する可能性があります。混同注意:ウイルス性髄膜炎や正常髄液の糖濃度と混同しやすいです。
- 5. 結核性髄膜炎では、主にリンパ球が優位な細胞増多(リンパ球性髄液細胞増多)が見られます。好酸球優位の細胞増多は非常に稀で、寄生虫感染症、真菌感染症、薬物反応などで見られることがあります。正しくは:リンパ球が優位な細胞数増加を示す選びやすい理由:細胞が増加するという点は正しいですが、どの種類の細胞が優位になるかという点が知識として不足している場合に選びやすいです。混同注意:リンパ球性髄液細胞増多と混同しやすいです。
国試ポイント
結核性髄膜炎を含む各種髄膜炎の脳脊髄液検査所見の鑑別に関する知識が問われています。特に、肉眼所見、細胞数・細胞の種類、蛋白濃度、糖濃度、Cl濃度といった主要な項目を正確に把握しているかが重要となります。
混同注意
細菌性髄膜炎(膿性、好中球優位、著明な糖濃度低下、著明な蛋白濃度上昇、Cl濃度低下)や、ウイルス性髄膜炎(透明、リンパ球優位、正常な糖濃度、軽度な蛋白濃度上昇、Cl濃度正常)など、他の髄膜炎の脳脊髄液所見と混同しやすいです。また、ギラン・バレー症候群の蛋白細胞解離とも鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が問われる際は、各髄膜炎の初期と後期の細胞優位性の変化(例:細菌性髄膜炎の初期に単核球優位の場合がある)、脳脊髄液糖濃度と血糖値の比、ADA値の意義、髄液圧の所見などが問われる可能性があります。
関連知識
結核性髄膜炎の診断には、脳脊髄液中のアデノシンデアミナーゼ(ADA)活性測定が鑑別診断に有用な場合があります。また、抗酸菌染色、培養、PCR検査なども確定診断に利用されます。結核性髄膜炎は、他の髄膜炎に比べて髄液所見の変動が緩徐で、診断が遅れると予後不良となる場合があるため、早期診断が重要です。