二酸化炭素排出量が一定のとき動脈血二酸化炭素分圧と反比例の関係にあるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
二酸化炭素分圧(PaCO2)は、体内の二酸化炭素産生量に比例し、肺胞換気量に反比例するという関係性があります。具体的には、PaCO2 = (k × VCO2) / VA という式で表されます(VCO2は二酸化炭素産生量、VAは肺胞換気量、kは定数)。この問題では二酸化炭素排出量が一定、つまりVCO2が一定であるとされているため、PaCO2は肺胞換気量(VA)に反比例します。つまり、肺胞換気量が増加すればPaCO2は低下し、肺胞換気量が減少すればPaCO2は上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. これは一回の呼吸で肺に出入りする空気の量であり、肺胞換気量の一部ではありますが、PaCO2と直接的に反比例するわけではありません。呼吸回数や死腔量に影響されます。正しくは:「肺胞換気量が増加するとPaCO2が低下する」という関係は、呼吸回数と合わせて初めて成立します。選びやすい理由:呼吸の基本であり、換気量の一種であるため、関連が深いと誤解しやすいです。混同注意:肺胞換気量そのものと混同しやすいです。肺胞換気量は (一回換気量 - 死腔量) × 呼吸回数 で計算されるため、一回換気量だけではPaCO2との関係を明確に説明できません。
- 2. これは呼吸筋の能力や気道の状態を示す指標であり、通常の生理的なCO2調節とは直接関係しません。正しくは:PaCO2の調節に関与するのは、実際にガス交換が行われる「肺胞換気量」です。選びやすい理由:「換気量」という言葉が入っているため、換気機能全体と関連すると思われがちです。混同注意:肺機能検査の項目の一つであり、安静時のガス交換を調節する換気量とは目的が異なります。
- 3. 死腔換気量は、ガス交換に寄与しない換気量です。これが相対的に増加すると、同じ分時換気量であっても肺胞換気量が減少し、結果としてPaCO2は上昇します。よって、反比例の関係にはありません。正しくは:死腔換気量が増加すると、有効な肺胞換気量が減少するため、PaCO2は増加します。選びやすい理由:換気量の一種であるため、関連性が深いと思われがちです。混同注意:肺胞換気量と混同しやすいですが、死腔はガス交換を行わない部分であり、生理的役割は対照的です。
- 4. 正解。動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)は、二酸化炭素産生量に比例し、肺胞換気量に反比例します(PaCO2 ∝ VCO2 / VA)。体内の二酸化炭素産生量(VCO2)が一定であれば、肺胞換気量(VA)が増加すればPaCO2は低下し、肺胞換気量が減少すればPaCO2は上昇するため、反比例の関係にあります。
- 5. 分時換気量は一回換気量と呼吸回数を掛け合わせた総換気量ですが、これにはガス交換に関与しない死腔換気量も含まれます。したがって、分時換気量が一定であっても、死腔換気量の割合によって肺胞換気量が変動し、PaCO2との関係は必ずしも単純な反比例ではありません。肺胞換気量の方がPaCO2とより直接的かつ反比例の関係にあります。正しくは:分時換気量から死腔換気量を引いたものが肺胞換気量であり、PaCO2と反比例するのは後者です。選びやすい理由:総換気量を指すため、CO2排出と直接関連すると考えられやすいです。混同注意:肺胞換気量と混同しやすいですが、分時換気量には死腔換気量が含まれる点で異なります。
国試ポイント
呼吸生理学におけるガス交換の基本原理、特にPaCO2の調節メカニズムと各種換気量の定義およびその関係性を理解しているかを問う問題です。臨床検査技師として、血液ガス分析結果を解釈する上で必須の知識となります。
混同注意
分時換気量と肺胞換気量の違い、また一回換気量が肺胞換気量にどう影響するか、死腔換気量の役割などを混同しやすいです。特に分時換気量が総換気量であるため、これがPaCO2と直接的に関連すると誤解されやすい点がポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、PaO2と関連する指標(A-aDO2、拡散能など)や、酸塩基平衡との関連(呼吸性アシドーシス/アルカローシス)を問う可能性があります。また、各種換気量の測定方法や、それがどのような疾患で変動するかなども問われるかもしれません。
関連知識
呼吸生理学の基本(換気量、ガス交換、血液ガス分析)、呼吸商、ボーアの死腔式、肺胞気・動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、呼吸調節(中枢化学受容体、末梢化学受容体)など。