生体内に照射された超音波の性質で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
超音波の指向性は波長が短いほど高まり、波長は周波数に反比例するため、高周波ほど指向性が高くなります。これにより、空間分解能が向上し、より精細な画像が得られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。超音波の指向性は波長に反比例します。周波数が高くなると波長が短くなるため、超音波の直進性が向上し、指向性が高まります。これにより、より狭い範囲を詳細に観察できるようになります。
- 2. 超音波は生体内の軟部組織や液体中では、主に媒質の圧縮と膨張を繰り返す「縦波(疎密波)」として伝わります。横波(剪断波)は固体中を伝わりますが、水分の多い生体軟部組織ではほとんど伝播しません。正しくは:生体内では主に縦波(疎密波)として伝播します。選びやすい理由:物理学における波の分類として縦波と横波の両方を知っているため、どちらか一方を安易に選んでしまう可能性があります。混同注意:弦の振動など、視覚的にイメージしやすい横波の動きと音波の伝播を混同している可能性があります。
- 3. 肺には多くの空気が含まれており、空気と組織との音響インピーダンス差が非常に大きいため、超音波は肺で著しく減衰(吸収や散乱)し、反射されます。筋肉などの軟部組織における超音波の減衰は、肺に比べてはるかに小さいです。正しくは:肺は筋肉よりも超音波の減衰が大きい。選びやすい理由:筋肉が密度が高く、硬い組織であるというイメージから、超音波が通りにくい=減衰が大きいと誤解する可能性があります。混同注意:組織の「硬さ」と超音波の減衰の関係を混同したり、骨のような高減衰組織と比較して、肺の特殊な減衰特性を理解していない可能性があります。
- 4. 超音波が組織の境界面で反射する際、原則としてその周波数は変化しません。反射によって変化するのは、超音波の進行方向や振幅です。周波数の変化(ドプラシフト)が生じるのは、反射体が超音波に対して相対的に移動している場合(ドプラ効果)に限られます。正しくは:反射した超音波の周波数は、原則として入射超音波と同じです(反射体が移動している場合はドプラ効果により変化が生じる)。選びやすい理由:ドプラ効果による周波数シフトの概念を知っているため、反射が常に周波数変化を伴うと誤解する可能性があります。混同注意:単なる超音波の反射現象と、ドプラ効果による周波数変化を混同しています。
- 5. 超音波の減衰は、周波数に比例して大きくなります。高周波数の超音波は深部への到達度が低い代わりに分解能が高い特性を持ち、低周波数の超音波は減衰が小さく深部まで到達しやすい代わりに分解能が低いという特性を持ちます。正しくは:周波数が高いほど超音波の減衰が大きくなります。選びやすい理由:周波数が低い方がエネルギーが小さいというイメージから、減衰も小さいと誤解したり、単純に周波数と減衰の関係を逆にして覚えてしまったりする可能性があります。混同注意:超音波の周波数と到達深度の関係(高周波は浅部、低周波は深部)は正しいですが、その理由が減衰の大小と結びついていることを混同しています。
国試ポイント
超音波診断装置の基本的な原理や、超音波が生体内で示す物理的特性(伝播形式、減衰、周波数との関係、指向性、音響インピーダンスなど)は、国家試験で頻繁に出題されます。特に、分解能と周波数の関係、減衰と周波数の関係、および異なる組織における超音波の挙動は重要です。
混同注意
超音波の周波数と指向性、減衰、分解能、到達深度の関係を混同しやすいです。また、縦波と横波の区別や、ドプラ効果と単なる反射による周波数変化の区別もポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、超音波の基本物理特性(周波数、波長、音速、減衰、反射、屈折、散乱、指向性)と、それが画像にどう影響するか(分解能、到達深度、アーチファクトなど)を総合的に理解しているかを確認しましょう。特に、周波数とこれらの要素との関係性を押さえることが重要です。
関連知識
超音波の音速は組織によって異なり、音響インピーダンス(密度と音速の積)は超音波の反射・透過に影響します。音響インピーダンス差が大きいほど反射が強く、小さな差では透過が優位になります。空間分解能には、軸方向分解能(パルス幅に依存)と横方向分解能(ビーム幅、すなわち指向性に依存)があります。