臥位に比べて座位で採血したときに高値となる血清成分はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
臥位から座位へ体位が変化すると、静水圧の上昇により血管内の水分が間質に移動します。これにより、血漿容量が相対的に減少し、血液が濃縮されます(血液濃縮)。アルブミンをはじめとするタンパク質やタンパク質結合物質は分子量が大きく、血管外へ容易に漏出しないため、血漿容量の減少によってその濃度が高値を示すことになります。一方、尿酸、尿素窒素、クレアチニン、ナトリウムといった小分子やイオンは、血漿と間質液の間を比較的自由に移動できるため、体位変化による濃度変動は小さいか、ほとんど見られません。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿酸は比較的小分子であり、体位変化による血液濃縮の影響を大きく受けにくい成分です。正しくは:臥位から座位への体位変換による血液濃縮の影響を最も大きく受けるのは、血漿中のタンパク質やタンパク質結合物質です。選びやすい理由:代謝産物の一つであり、体内の変動要因が多いため、上昇すると誤解する可能性もあります。混同注意:他の代謝産物(尿素窒素、クレアチニン)と同様に、体位変化の影響を直接受けにくい物質群として認識すべきです。
- 2. 尿素窒素も小分子であり、血漿と間質液の間を比較的自由に移動するため、体位変化による血液濃縮の影響は少ないです。正しくは:体位変化による血液濃縮の影響を受けやすいのは、主に高分子の成分です。選びやすい理由:腎機能に関連する項目であり、体液量変動と関連があるため、体位変化と結びつけて誤解しやすいかもしれません。混同注意:クレアチニンと同様に、小分子の非タンパク質性窒素化合物であり、血液濃縮の指標としては適切ではありません。
- 3. 正解。臥位から座位へ体位が変化すると、静水圧の上昇により血管内の水分が間質に移動し、血液が濃縮されます。アルブミンは血漿中に存在する主要なタンパク質であり、分子量が大きいため血管外へ容易には移動しません。そのため、血漿容量の相対的な減少によって、その濃度は高値を示します。
- 4. ナトリウムは主要な電解質であり、血漿浸透圧の維持に重要な役割を果たします。体位変化による水分移動は起こるものの、ナトリウムイオンは小分子である上に、その濃度は厳密に調節されているため、単純な血液濃縮では顕著な高値にはなりにくいです。正しくは:電解質は体位変化による血液濃縮の直接的な影響を受けにくいです。選びやすい理由:体液量と密接に関連しているため、体位変化がナトリウム濃度に影響すると考える人もいるかもしれません。混同注意:体液量そのものと血漿中のナトリウム濃度を混同しやすいです。血漿ナトリウム濃度は体液量よりも、水バランスの指標として重要です。
- 5. クレアチニンは小分子であり、尿素窒素と同様に血漿と間質液の間を比較的自由に移動します。体位変化による血液濃縮の影響はほとんど受けません。正しくは:タンパク質などの高分子成分が体位変化による血液濃縮の影響を強く受けます。選びやすい理由:腎機能の指標であり、体液量と間接的に関連するため、変動すると誤解しやすいです。混同注意:尿素窒素と同様に、小分子の代謝産物であり、血液濃縮とは異なる機序で変動する項目と認識すべきです。
国試ポイント
この問題は、体位変化が検査結果に与える生理学的な影響、特に血液濃縮の概念を理解しているかを問うものです。臥位から座位への体位変換による血漿成分の変動(主にタンパク質やタンパク質結合物質の上昇)と、それ以外の小分子成分との区別を正確に把握している必要があります。採血時の前分析誤差要因に関する知識は、臨床検査技師国家試験で頻繁に出題されます。
混同注意
体位変化による『濃度』の変動と、他の要因(例:筋肉活動、食事)による『総量』の変動とを混同することがあります。また、アルブミンのような高分子物質と、尿酸やナトリウムのような小分子物質やイオンの挙動の違いを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後類似の問題が出題された場合、まずその成分が「高分子(タンパク質、またはタンパク質と結合している物質)か」または「血球成分か」を判断します。これらの成分であれば、体位変化による血液濃縮の影響を受けやすく、濃度が上昇する可能性が高いです。小分子やイオンの場合は、濃度変化は小さいと判断します。また、駆血時間など他の前分析要因も考慮に入れるようにします。
関連知識
体位変化以外にも、駆血帯の長時間使用(血液濃縮)、運動(酵素活性の上昇)、食事(血糖値、脂質)、概日変動など、採血時の様々な前分析要因が検査結果に影響を与えます。アルブミンの他には、総タンパク、グロブリン、総コレステロール、トリグリセリド、総カルシウム、鉄、酵素(ALT, AST, CK)、および血球成分(赤血球数、白血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット)なども臥位から座位で高値を示す可能性があります。