フローボリューム曲線(別冊No. 3)を別に示す。この症例で低下するのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下に示すフローボリューム曲線は、最大吸気位から最大呼気位へのカーブが『下に凸』の典型的な閉塞性換気障害のパターンを示しています。この曲線は特に、呼気の中盤から終盤にかけて流量が著しく低下していることを明確に示しており、気道抵抗の増大、すなわち気道が狭くなっている状態を反映しています。閉塞性換気障害では、気道の抵抗が増すため、空気を素早く吐き出す能力が低下します。その結果、努力性呼気1秒量(FEV1)が努力性肺活量(FVC)に比べて大きく減少するため、FEV1/FVCで算出される1秒率は低下します。したがって、この曲線は1秒率の低下と直接的に関連しています。他の選択肢、残気量、全肺気量、機能的残気量は閉塞性換気障害では増加するか、正常範囲であることが多く、静肺コンプライアンスは肺気腫などの場合、むしろ増加する傾向にあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。提示されたフローボリューム曲線は、最大吸気位から最大呼気位への曲線が『下に凸』の形状を示し、特に呼気の中期から後期にかけて流量が著しく低下しています。これは気道狭窄、特に閉塞性換気障害の特徴的なパターンであり、1秒間に吐き出せる空気の割合(1秒率)が低下することを示唆しています。閉塞性換気障害では、気道抵抗が増大するため、努力性呼気1秒量(FEV1)が努力性肺活量(FVC)に対して相対的に減少します。1秒率はFEV1/FVCで計算されるため、この曲線は1秒率の低下を示しています。
- 2. 残気量は、最大呼気後に肺に残る空気の量です。閉塞性換気障害では、気道の閉塞によって空気が肺から出にくくなるため、残気量はむしろ増加する傾向にあります。正しくは:閉塞性換気障害では、残気量は増加する傾向にあります。選びやすい理由:肺機能低下と聞くと、全体的な肺気量の減少を想像するかもしれませんが、閉塞性換気障害では特定の気量が増加することがあります。混同注意:拘束性換気障害での全肺気量や機能的残気量の減少と混同しやすいです。
- 3. 全肺気量は、最大吸気位での肺全体の空気の量です。閉塞性換気障害では、空気のトラッピングにより全肺気量が増加、あるいは正常範囲であることが多いです。減少するのは拘束性換気障害の特徴です。正しくは:閉塞性換気障害では、全肺気量が増加または正常であることが多いです。選びやすい理由:肺機能が低下しているため、肺全体が小さくなるイメージを持つかもしれませんが、閉塞性換気障害では肺が過膨張を起こすことがあります。混同注意:拘束性換気障害での全肺気量の減少と混同しやすいです。
- 4. 機能的残気量は、安静呼気位で肺に残る空気の量です。閉塞性換気障害では、空気の排出が妨げられるため、機能的残気量は増加する傾向にあります。正しくは:閉塞性換気障害では、機能的残気量は増加する傾向にあります。選びやすい理由:残気量と同様に、機能的残気量も減少するという誤解が生じやすいです。混同注意:拘束性換気障害での機能的残気量の減少と混同しやすいです。
- 5. 静肺コンプライアンスは、肺の膨らみやすさを示す指標です。閉塞性換気障害、特に肺気腫では、肺組織の破壊により弾性収縮力が低下するため、肺は『膨らみやすく』なります。したがって、静肺コンプライアンスはむしろ増加する傾向にあります。減少するのは、肺線維症などの拘束性換気障害の特徴です。正しくは:閉塞性換気障害(特に肺気腫)では、静肺コンプライアンスは増加する傾向にあります。選びやすい理由:肺機能が悪い=コンプライアンスが悪い、と短絡的に考えてしまうかもしれません。混同注意:肺線維症などの拘束性換気障害で静肺コンプライアンスが減少することと混同しやすいです。
国試ポイント
フローボリューム曲線から換気障害のパターン(閉塞性か拘束性か)を読み取り、それに対応する肺機能検査項目(特に1秒率、肺気量分画、コンプライアンス)の変化を理解しているか問う問題です。曲線が『下に凸』である閉塞性パターンを認識できるかが鍵となります。
混同注意
閉塞性換気障害と拘束性換気障害における各肺機能検査項目の変化が混同されやすいです。特に、肺気量分画(残気量、全肺気量、機能的残気量)と1秒率、そして肺コンプライアンスの変化は、それぞれ異なる病態を示すため、正確な知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
フローボリューム曲線の形状を見て、どの換気障害パターンかをまず判断する。次に、そのパターンでどの肺機能検査項目がどのように変化するかを詳細に思い出す。特に、閉塞性では残気量、全肺気量、機能的残気量が『増加』し、1秒率が『低下』すること、肺コンプライアンスが肺気腫では『増加』することを区別して覚えているかを確認する。
関連知識
フローボリューム曲線の典型的なパターン(正常、閉塞性、拘束性、大気道閉塞、小気道閉塞など)、各肺気量分画の定義と測定方法、1秒率(FEV1/FVC)の意義、肺コンプライアンス(静肺・動肺)の意義と臨床的変動要因。