自動血球計数装置による測定で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
自動血球計数装置は血球の数、体積、一部の物理的特性を高速かつ正確に測定しますが、血球の複雑な形態異常(赤芽球、異常リンパ球、破砕赤血球、封入体など)の詳細な判別や分類は、熟練した臨床検査技師による顕微鏡を用いた目視検査が依然として不可欠です。装置は異常の可能性を警告する「フラグ」を出す役割が主であり、目視検査を完全に代替するものではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 自動血球計数装置では、レーザー散乱光法(フローサイトメトリーの原理)や高周波電導度法などを組み合わせて、細胞の大きさや内部構造の複雑性に基づいて白血球を好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などに分類します。これは適切な記述です。選びやすい理由:自動血球計数装置の重要な機能の一つであり、基本的な知識として正しいと判断しやすいです。混同注意:インピーダンス法(抵抗変化法)が主に赤血球や血小板の数や体積測定に使われることと混同するかもしれませんが、白血球分画には散乱光法が用いられます。
- 2. 破砕された赤血球(RBCフラグメント)は、サイズが血小板と類似しているため、自動血球計数装置が血小板として誤ってカウントしてしまうことがあります。これにより、偽性の血小板数増加(偽性血小板増多)が起こり得ます。これは適切な記述です。選びやすい理由:実際の臨床検査でよく遭遇する問題であり、正しい記述であると認識しやすいです。混同注意:血小板凝集塊や巨大血小板が偽性血小板減少を引き起こすことと混同するかもしれませんが、破砕赤血球は偽性血小板増加の原因となります。
- 3. ヘモグロビンは赤血球内に存在するため、その濃度を正確に測定するには、まず赤血球を溶血させてヘモグロビンを細胞外に遊離させる必要があります。その後、シアンメトヘモグロビン法などの比色法で測定されます。これは適切な記述です。選びやすい理由:ヘモグロビン測定の基本的な原理であり、多くの学生が知っている知識のため、正しいと判断しやすいです。混同注意:赤血球数やヘマトクリット値の測定とは異なり、ヘモグロビン測定では溶血が必須であることを理解しているかどうかが問われます。
- 4. 白血球は赤血球に比べて数が非常に少なく(通常、赤血球の約1/700〜1/1000程度)、また多くの自動血球計数装置では赤血球と白血球のサイズの違いを利用して、白血球をカウント範囲から除外するか、白血球を溶血させて処理するため、赤血球数測定への影響はごくわずかです。これは適切な記述です。選びやすい理由:白血病などで白血球が異常に増える場合を除けば、一般的には正しい認識であるため、選ばれやすいです。混同注意:白血球数が異常に多い場合(白血病など)には赤血球数測定に影響を及ぼす可能性がありますが、これは「通常」の状態での話であるため、混同しないようにする必要があります。
- 5. 正解。自動血球計数装置は、血球の数や容積、一部の形態的な特徴(例:赤血球の異方性指標など)を数値化して異常の可能性を指摘(フラグ)することはできますが、具体的な形態異常(例:破砕赤血球の有無、赤芽球の形態、奇形細胞、封入体など)の最終的な確認と詳細な分類は、熟練した臨床検査技師による顕微鏡での目視検査(末梢血塗抹標本)が不可欠です。装置はスクリーニングには優れていますが、形態の「判別精度」で目視を上回るわけではありません。正しくは:血球の形態異常の判別において、自動血球計数装置は異常の可能性を指摘(フラグ)することはできるが、詳細な確認と最終的な診断は目視による顕微鏡検査に頼る部分が大きい。選びやすい理由:自動化装置が「自動」で「高精度」という言葉から、すべてを人間より正確に判断できると誤解しやすいです。また、一部の指標(例:網状赤血球数、赤血球のばらつき指標RDW)は自動でより正確に測定できるため、形態異常全体もそうだと考えてしまう可能性があります。混同注意:数値データ(例:MCV, MCH, RDWなど)の測定精度と、具体的な形態異常の「判別」能力を混同しやすいです。自動装置は定量的な情報提供に優れますが、定性的な形態評価は人間が優位です。
国試ポイント
自動血球計数装置のメリット(高速、定量性、再現性)とデメリット(形態学的詳細の限界、偽陽性/偽陰性)を理解しているか問われる問題です。特に、自動化が進んでも人間の目視による確認が依然として重要である点を把握しているかどうかがポイントとなります。
混同注意
自動装置の「測定精度」と「判別能力」を混同しやすいです。数値を正確に測れることと、形態を正確に識別できることは異なります。また、装置が異常を「検出」することと、それが具体的な「判別」や「診断」に直結することを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題された場合、自動血球計数装置で測定できる項目とできない項目、あるいは自動測定で注意すべき介入(例:溶血、凝集、巨大血小板)について問われる可能性が高いです。また、自動装置の異常フラグがどのような疾患と関連するか、あるいはそのフラグが出た際に次にどのような検査を行うべきか(例:末梢血塗抹標本での目視確認)という臨床的な判断能力も問われる可能性があります。
関連知識
自動血球計数装置の測定原理(インピーダンス法、フローサイトメトリー、散乱光法、シアンメトヘモグロビン法など)。各項目(赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビン)の測定原理と、それぞれの項目に影響を与える因子。末梢血塗抹標本作成と顕微鏡検査の意義、および自動装置との役割分担。自動装置で検出されるフラグの種類と、それが示す病態の可能性。