79歳の女性。貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されて受診した。血清と尿の免疫固定法による蛋白電気泳動の結果(別冊No. 11A、B)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
血清免疫固定法でIgGとκ鎖にM蛋白(単クローン性免疫グロブリン)を認め、尿免疫固定法でκ鎖にM蛋白を認めることから、IgGκ型M蛋白血症とベンズジョーンズ蛋白尿(κ鎖)を伴う多発性骨髄腫が最も考えられます。症例は79歳の女性で、貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されており、これらは多発性骨髄腫の典型的な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 骨肉腫は若年者に多く、溶骨性病変をきたすこともありますが、M蛋白血症とは関連せず、本症例の免疫固定法の所見とは一致しません。正しくは:M蛋白血症を伴わない孤立性の骨病変で、画像所見で骨形成像やCodmanの三角などの特徴的な所見を認める場合に疑われます。選びやすい理由:溶骨性病変というキーワードから骨腫瘍を連想しやすいため。混同注意:多発性骨髄腫の骨病変
- 2. 骨髄線維症は汎血球減少や脾腫をきたす骨髄増殖性疾患ですが、M蛋白血症や溶骨性病変は通常認めません。骨髄検査で線維化が特徴です。正しくは:M蛋白血症を伴わず、骨髄の線維化、巨核球の増生、脾腫、涙滴赤血球などを認める場合に疑われます。選びやすい理由:貧血という症状から血液疾患を広く考えた場合に選択肢に入ることがあるかもしれません。混同注意:他の骨髄疾患、貧血を呈する疾患
- 3. 正解。血清免疫固定法でIgGとκ鎖にM蛋白が認められ、尿免疫固定法でκ鎖にM蛋白(ベンズジョーンズ蛋白)が認められることから、IgGκ型多発性骨髄腫と診断されます。79歳女性の貧血と腰椎の溶骨性病変という臨床症状も多発性骨髄腫に典型的な所見です。選びやすい理由:免疫固定法の所見と臨床症状が一致しているため。混同注意:M蛋白を伴う他のリンパ増殖性疾患
- 4. 大顆粒リンパ球性白血病はT細胞またはNK細胞由来の慢性リンパ増殖性疾患で、通常M蛋白血症を伴わず、溶骨性病変も特徴的ではありません。貧血を伴うことはありますが、免疫固定法の所見とは一致しません。正しくは:M蛋白血症を伴わず、血中の大顆粒リンパ球の増加を認め、症状は貧血や繰り返す感染症などです。選びやすい理由:貧血を伴う血液疾患であるため、鑑別疾患の一つとして考えられる可能性があります。混同注意:他のリンパ増殖性疾患
- 5. 原発性マクログロブリン血症(Waldenströmマクログロブリン血症)は、IgM型のM蛋白血症を特徴とするリンパ形質細胞性リンパ腫です。本症例ではIgG型のM蛋白が認められ、また溶骨性病変も稀であるため、診断とは一致しません。正しくは:IgM型のM蛋白血症とリンパ節腫脹、脾腫、過粘稠度症候群などを認め、溶骨性病変は稀です。選びやすい理由:M蛋白血症を伴う疾患であるため、混同しやすいです。M蛋白の型をIgGと誤認すると選んでしまう可能性があります。混同注意:多発性骨髄腫、M蛋白を伴うリンパ増殖性疾患
国試ポイント
多発性骨髄腫の診断における免疫固定法の結果の解釈と、骨病変、貧血といった典型的な臨床症状の理解が問われています。
混同注意
単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)もM蛋白を認めますが、症状を伴わない良性疾患であり、本症例のように貧血や溶骨性病変がある場合は多発性骨髄腫を疑います。また、M蛋白血症を伴うリンパ増殖性疾患との鑑別も重要ですが、IgGκ型M蛋白と溶骨性病変の組み合わせは多発性骨髄腫に特徴的です。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、まずM蛋白の有無と型を確認し、次に症例の症状(骨痛、貧血、腎障害など)と組み合わせて診断します。特に骨病変は多発性骨髄腫を示唆する重要な所見です。
関連知識
多発性骨髄腫の診断基準として、M蛋白の存在、骨髄形質細胞の増加(10%以上)、貧血、高カルシウム血症、腎機能障害、溶骨性病変(CRAB症状)のいずれかを認めれば確定診断となります。