次の不規則抗体のうち、臨床的意義がないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
不規則抗体の中で、抗P抗体は自然抗体として多くの人に存在し、通常は冷式抗体で、生体内ではあまり問題とならないため、臨床的意義が低いとされます。特に、輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となることは極めて稀です。他の選択肢の抗体(抗E、抗Fy、抗Jk)は、通常、輸血副作用や新生児溶血性疾患の重要な原因となり得るため、臨床的意義が高いと判断されます。抗Le抗体も冷式抗体で臨床的意義は低いとされますが、抗P抗体よりは議論の余地があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗E抗体はRh式血液型抗体の一つで、輸血副作用や新生児溶血性疾患(HDN)の原因となるため、臨床的に重要な意義を持ちます。正しくは:抗E抗体は臨床的意義があります。選びやすい理由:ABO式血液型以外の抗体はすべて臨床的意義があるという誤解から、Rh抗体がこの選択肢に入っていると気づかない場合があります。混同注意:不規則抗体全てが臨床的意義を持つ、という誤解。
- 2. 抗Fy(Duffy抗体)は、輸血副作用や新生児溶血性疾患(HDN)を引き起こす可能性があり、臨床的に重要な不規則抗体です。正しくは:抗Fy抗体は臨床的意義があります。選びやすい理由:稀な血液型抗体であるため、臨床的意義が低いと誤解しやすいかもしれません。混同注意:他のDuffy抗体(Fybなど)との臨床的意義の違い。
- 3. 抗Jk(Kidd抗体)は、遅延性輸血副作用や重症の新生児溶血性疾患(HDN)の原因となることがあり、臨床的に極めて重要な不規則抗体です。正しくは:抗Jk抗体は臨床的意義があります。選びやすい理由:Kidd抗体が溶血を引き起こす機序が複雑であるため、その重要性を見落とすかもしれません。混同注意:Kidd抗体の不安定性。
- 4. 抗Le(Lewis抗体)は、通常は冷式抗体であり、in vitroでは反応しますが、in vivoでは吸着・遊離を繰り返すため、一般的な輸血副作用や新生児溶血性疾患の原因となることは稀です。ただし、一部のLe抗体(例:抗Lea)は臨床的意義を持つ場合があります。正しくは:抗Le抗体は、抗P抗体ほどではないものの、通常は臨床的意義が低いとされますが、一部の抗体は注意が必要です。選びやすい理由:抗Le抗体は冷式抗体として知られているため、臨床的意義が低いと判断しがちですが、抗P抗体と比べると議論の余地があります。混同注意:他の冷式抗体(抗I, 抗Hなど)との臨床的意義の比較。
- 5. 正解。抗P抗体は自然抗体として存在することが多く、通常、輸血副作用や新生児溶血性疾患の主要な原因となることは極めて稀で、臨床的意義はほとんどないとされています。ただし、Paroxysmal Cold Hemoglobinuria (PCH) の原因となるDonath-Landsteiner抗体(二相性溶血素)は抗P特異性を持つことがありますが、これは一般的な抗P抗体とは区別されます。選びやすい理由:P式血液型に関する知識が曖昧だと、他の抗体との区別がつきにくいかもしれません。混同注意:PNH(発作性夜間ヘモグロビン尿症)とPCH(発作性寒冷ヘモグロビン尿症)の混同。P抗体とP1抗体の混同。
国試ポイント
不規則抗体のうち、臨床的意義が低いもの(通常、輸血や妊娠において問題となりにくいもの)を識別できるかどうかが問われています。特に、Rh式、Duffy式、Kidd式といった主要な血液型抗体が臨床的に重要であること、およびLewis式やP式のような自然抗体や冷式抗体の意義の理解が重要です。
混同注意
臨床的意義のある抗体(Rh、Kidd、Duffy、Kellなど)と、臨床的意義が低いとされる抗体(Lewis、P1、M、Nなど)の区別。また、臨床的意義は低いが、特定の病態(例: PCHにおける抗P)と関連する抗体との区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各血液型抗体の臨床的意義(輸血副作用、HDNへの関与)の有無、そして冷式抗体か温式抗体か、自然抗体か免疫抗体か、といった基本的な特性を確認します。
関連知識
主要な血液型抗体(ABO、Rh、Kidd、Duffy、Kell、MNSs、Lewis、Pなど)の種類と、それぞれの抗体が引き起こす可能性のある輸血副作用(即時型/遅延型)、新生児溶血性疾患(HDN)について。また、冷式抗体と温式抗体の違い、自然抗体と免疫抗体の違いも関連知識です。