TSI培地に腸内細菌科細菌を接種して1日後の写真(別冊No. 18)を別に示す。判定として誤っているのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
TSI培地において白糖分解能がある菌は、高濃度の白糖と乳糖を分解し、斜面と高層部ともに酸性(黄色:A/A)を示します。下図の培地は斜面が赤色(アルカリ性)であり、これは乳糖と白糖のいずれも分解していないことを示しています。高層部のみが黄色(酸性)であるため、ブドウ糖のみが分解されており、この反応はK/Aと表記されます。したがって、「白糖分解」という判定は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。TSI培地では、白糖分解はA/A反応(斜面・高層ともに酸性)を示しますが、下図はK/A(斜面アルカリ性、高層酸性)またはA/A(斜面・高層ともに酸性)ではないため、白糖分解は否定されます。画像では高層部が酸性化しており、ブドウ糖分解によるものです。しかし斜面部はアルカリ性を示しているか、中性のままであり、これは乳糖・白糖のいずれも分解していないことを示唆しています。正しくは:正しい判定は「白糖非分解」です。選びやすい理由:TSI培地での糖分解のパターン(A/A, K/A, K/K)と色調変化の関係が曖昧だと、誤って分解していると判断しやすいです。混同注意:乳糖分解、ブドウ糖分解の判定と混同しやすいです。
- 2. 下図の培地斜面が赤色(アルカリ性)を呈していることから、乳糖は分解されていないと判断できます。乳糖分解菌であれば、斜面は黄色(酸性)になります。混同注意:白糖分解の判定と混同しやすいですが、乳糖と白糖の分解能はTSI培地の斜面で同時に評価されます。
- 3. 培地高層部が黄色(酸性)を呈していることから、ブドウ糖が発酵されていると判断できます。腸内細菌科細菌はブドウ糖を発酵します。混同注意:乳糖や白糖の分解と混同しやすいですが、ブドウ糖の発酵は培地高層部の色変化で主に判断されます。
- 4. 下図では、培地高層部に黒変が認められることから、硫化水素が産生されていると判断できます。これはチオ硫酸ナトリウムの還元によって生じます。混同注意:ガス産生と混同しやすいですが、硫化水素産生は黒変、ガス産生は培地の亀裂や押し上げで判断されます。
- 5. 下図では、培地高層部に培地の亀裂や気泡が観察されることから、ブドウ糖からのガスが産生されていると判断できます。混同注意:硫化水素産生と混同しやすいですが、ガス産生は培地の物理的変化(亀裂、押し上げ)、硫化水素産生は黒変で判断されます。
国試ポイント
TSI培地の反応結果を正確に読み取り、糖分解能(ブドウ糖、乳糖、白糖)、硫化水素産生、ガス産生の有無を適切に判断できるかどうかが問われる。
混同注意
TSI培地のK/A、A/A、K/Kといった反応パターンの解釈、特にどの糖が分解されたか、どの部位の色調がそれに対応するかを混同しやすい。硫化水素産生とガス産生も混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に出題された場合は、画像から正確な反応パターン(例:K/A, H2S+, Gas+)を読み取り、そのパターンに合致する細菌種(例:サルモネラ、プロテウス)の鑑別問題に発展する可能性がある。また、他の鑑別培地(IMViCなど)の結果と組み合わせて、最終的な菌種同定に繋がる問題も考えられる。
関連知識
腸内細菌科細菌の基本的な性状、TSI培地の組成(ブドウ糖、乳糖、白糖、硫化水素指示薬、pH指示薬フェノールレッド)、各成分の役割、反応時間の重要性。