スライド培養の顕微鏡写真(別冊No. 17)を別に示す。大分生子を矢印で示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下に示す画像のスライド培養で観察される真菌の大分生子は、細長く、円筒形または鉛筆状をしており、複数の隔壁を持っています。この形態は、Trichophyton rubrum(紅色白癬菌)に特徴的な所見です。Microsporum属の大分生子は紡錘形で表面が粗く、Epidermophyton floccosumは棍棒状で隔壁数が少ないことが多いです。Aspergillus属は分生子頭を形成し、Sporothrix schenckiiはロゼット状の分生子を形成するなど、それぞれ異なる形態を示します。
選択肢ごとの解説
- 1. アスペルギルス属は、通常、分生子頭と呼ばれる特徴的な構造を形成し、その中に球状の分生子を多数持っています。画像のような大型の分生子とは異なります。正しくは:Aspergillus fumigatusは、分生子頭とそこから放射状に伸びる鎖状の分生子を形成します。選びやすい理由:真菌症の原因菌として頻出するため、選択肢として考慮されやすいかもしれません。混同注意:他のカビ類、特に分生子を形成する真菌と混同される可能性があります。
- 2. Epidermophyton floccosumは棍棒状の大分生子を形成しますが、Trichophyton rubrumのような鉛筆状や円筒形の大分生子とは形態が異なります。画像のような典型的な鉛筆状の大分生子を示すものではありません。正しくは:Epidermophyton floccosumは、通常、複数の隔壁を持つ棍棒状の大分生子を形成し、毛じゅう軟胞子を形成しません。選びやすい理由:白癬菌の一種であり、皮膚真菌症の原因として重要であるため、知識の混乱が生じやすいかもしれません。混同注意:他の白癬菌、特にTrichophyton属やMicrosporum属の大分生子と混同される可能性があります。
- 3. Microsporum canisは、紡錘形またはボート型で、表面に粗い突起を持つ大分生子を形成します。画像に示されているような細長い鉛筆状の大分生子とは特徴が異なります。正しくは:Microsporum canisは、厚い壁と多くの隔壁を持つ紡錘形またはボート形の大分生子(表面に粗い突起があることが多い)を形成します。選びやすい理由:白癬菌として非常に有名であり、特に動物由来の感染でよく見られるため、注意を引く選択肢です。混同注意:他の白癬菌、特にTrichophyton属の大分生子と混同されやすいです。
- 4. Sporothrix schenckiiは、特徴的なバラの花束状(ロゼット状)の分生子や、細長い分生子柄の先端に生じる分生子を形成します。画像のような大きな隔壁を持った大分生子とは形態が異なります。正しくは:Sporothrix schenckiiは、通常、酵母様細胞と菌糸の二形性を示し、菌糸型ではロゼット状または花弁状に分生子を形成します。選びやすい理由:皮下真菌症の原因菌として有名であるため、真菌の知識がある学生には魅力的に映るかもしれません。混同注意:他の二形性真菌や、分生子を形成する他のカビと混同される可能性があります。
- 5. 正解。Trichophyton rubrumは、一般的に細長く、鉛筆状または円筒形に近い形をした大分生子を形成することが特徴です。画像に示されている、隔壁が複数あり細長い大分生子の形態は、Trichophyton rubrumに合致します。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:白癬菌の中でも最も一般的な病原菌であり、その形態学的特徴は重要です。混同注意:他の白癬菌、特にMicrosporum属やEpidermophyton属の大分生子と混同されやすいですが、それぞれの形態的特徴を把握することが重要です。
国試ポイント
本問題は、皮膚真菌症の主要な原因菌である白癬菌、特にTrichophyton rubrumの顕微鏡形態学的特徴を正確に識別できるかを問うものです。スライド培養における大分生子の形(鉛筆状、紡錘形、棍棒状など)や隔壁の有無、表面の状態(滑らか、粗い)といった微細な特徴を把握していることが重要です。
混同注意
白癬菌の各属(Trichophyton、Microsporum、Epidermophyton)の大分生子の形態は混同しやすいですが、それぞれに特徴的な形があります。また、アスペルギルスやスポロトリックスなど、異なる形態の分生子を形成する真菌との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『大分生子』の形態(形状、隔壁の数、表面の状態)に注目し、それがどの真菌の代表的な特徴と一致するかを判断します。特に白癬菌の各属に特徴的な大分生子の形態をしっかり覚えているかが鍵となります。さらに、画像で確認すべきポイントとしては、小分生子の有無やその配置、菌糸の形態なども考慮に入れるとより確実に鑑別できます。
関連知識
・Trichophyton rubrum:白癬菌の中で最も頻繁に分離される。足白癬、爪白癬の主要な原因菌。白癬菌以外の真菌類、酵母様真菌(Candidaなど)の基本的な形態と疾患との関連性も重要である。 ・Microsporum canis:小胞子型であり、大分生子も形成する。動物からの感染が多い。紡錘形で表面に粗い突起がある。 ・Epidermophyton floccosum:毛じゅう軟胞子を形成せず、大分生子は棍棒状である。主に股部白癬の原因となる。 ・Aspergillus fumigatus:深在性真菌症やアレルギー性肺アスペルギルス症の原因菌。分生子頭が特徴的。 ・Sporothrix schenckii:皮下真菌症(スポロトリコーシス)の原因菌。二形性真菌であり、酵母様細胞と菌糸型(ロゼット状分生子)の形態的特徴を持つ。