クレアチニン(酵素法)の内部精度管理図(x管理図)を示す。原因として最も考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
使用期限を過ぎた試薬は、酵素活性の低下や成分の変性により、測定値が系統的に低値または高値を示す可能性があり、x管理図において一方向へのトレンドやシフトとして現れるため、最も有力な原因です。
選択肢ごとの解説
- 1. 試薬の投入順序の間違いは、測定結果に大きな影響を与えるが、通常は測定値が大きく変動したり、測定不能になったりするなど、単なるトレンドやシフトではなく、より不規則な、あるいは極端な異常値として現れることが多い。また、異常値として即座に検出され、繰り返し同じパターンを示す可能性は低い。正しくは:正しい手順で試薬を投入し測定をやり直す。選びやすい理由:測定手技のミスはよくあるエラーであり、原因として思いつきやすい。混同注意:偶発的誤差(不注意によるミス)と系統的誤差(試薬劣化など)によって生じる管理図のパターン。本ケースは系統誤差を示唆するパターンである。
- 2. 管理試料を規定の半分量の溶解液で溶解した場合、管理試料の濃度が本来の2倍になるため、測定値が系統的に高値を示す。これはx管理図においてシフトとして現れる可能性が高い。しかし、選択肢4の試薬劣化も同様に系統誤差を引き起こしうるため、どちらが「最も有力」かは判断が難しいが、試薬劣化の方が日常的に起こりうる頻度が高いと考えられるため、相対的に選択肢4がより有力である。正しくは:規定量の溶解液で溶解し直す。選びやすい理由:管理試料の調製ミスは、日常的なエラーとして発生しやすく、測定値の系統的な変化を引き起こすため、有力な原因として考えやすい。混同注意:標準物質の濃度異常(選択肢3)との区別。こちらは管理試料の濃度異常。いずれも系統的誤差の原因となる。
- 3. 標準物質の濃度を本来の2倍にして測定に用いた場合、検量線が正しく作成されず、全ての測定値が本来よりも低く算出される(検量線上の同じ吸光度に対して、濃度が実際より低く評価される)ため、x管理図において系統的に低値へのシフトとして現れる。これも有力な原因の一つだが、試薬劣化(選択肢4)の方がより広い範囲で系統誤差を引き起こす可能性があり、より一般的な原因として考えられる。正しくは:正しい濃度の標準物質を用いて検量線を再作成する。選びやすい理由:標準物質のミスも系統的誤差を引き起こし、管理図にシフトやトレンドとして現れるため、有力な原因として考えやすい。混同注意:管理試料の溶解不良(選択肢2)や試薬の劣化(選択肢4)による系統誤差との区別。全て管理図上のシフトやトレンドとして現れる可能性がある。
- 4. 正解。使用期限を過ぎた試薬は、化学的安定性が損なわれ、酵素活性の低下や試薬成分の変性・分解が生じることがある。これにより、測定反応が不完全になったり、本来の反応が起こらなかったりして、測定値が系統的に低値または高値を示すトレンドやシフトとしてx管理図に現れる。これは日常の検査室で頻繁に起こりうる系統誤差の原因であり、管理図の異常パターンとしては最も有力な原因の一つである。選びやすい理由:試薬の管理は日常的に行われる重要な業務であり、使用期限切れは系統誤差の典型的な原因であると認識されているため。混同注意:機器の校正不良や標準物質の異常など、他の系統誤差の原因。これらも同様の管理図パターンを示す可能性がある。
- 5. 測定経験の浅いスタッフが検査を実施した場合、測定手技の不慣れさから偶発的なミス(ピペッティングエラー、検体取り違いなど)が発生しやすく、管理図上では個々の管理値が管理限界線を飛び出す「飛び出し」として現れることが多い。系統的なトレンドやシフトとして現れる可能性は低い。正しくは:適切な教育・訓練を行うか、熟練スタッフが監督する。選びやすい理由:人的ミスは検査室で起こりやすいエラーであり、原因として想定されやすい。混同注意:偶発的誤差(人的ミス)と系統的誤差(試薬劣化、機器不良など)によって生じる管理図のパターン。本ケースは系統誤差を示唆するパターンである。
国試ポイント
臨床検査の精度管理において、管理図の異常パターンと原因の組み合わせを正確に理解する。
混同注意
管理図の異常パターン(トレンド、シフト、飛び出しなど)がそれぞれどのような原因で発生するかを混同しないこと。特に、偶発的誤差と系統的誤差によって生じるパターンの区別が重要。
次に同じ論点が出たら
x管理図でトレンドやシフトが見られた場合、系統誤差(試薬の劣化、機器の校正不良、標準物質の異常など)を疑う。
関連知識
管理図にはx管理図の他にR管理図や管理限界線(L-J管理図)などがあり、それぞれ検出できる異常の種類が異なる。管理図のパターン異常には、トレンド、シフト、周期性、飛び出し、群れなどの種類がある。