喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 7)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
画像では、核の大小不同が顕著で、核小体が明瞭な異型細胞が腺房様の集塊を形成し、空胞変性が認められます。さらに、細胞質内には粘液を思わせるオレンジ色の物質が背景に認められることから、腺癌の可能性が最も高いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。画像所見は腺癌に典型的です。核の大小不同、明瞭な核小体、腺房状配列、空胞変性がみられ、背景に粘液様物質が認められます。これらの特徴は腺癌の診断を強く支持します。選びやすい理由:肺癌の中で最も頻度が高く、細胞診の画像所見が教科書的に典型的であるため、正しく識別できる可能性が高いです。混同注意:他の非小細胞肺癌(特に大細胞癌)
- 2. 小細胞癌は、小型で裸の核、不整形な核の重なり、核の圧潰、細胞質の乏しさ、クロマチンの微細顆粒状配列(塩胡椒像)などが特徴で、本画像のような腺房状配列や粘液は通常見られません。正しくは:小細胞癌であれば、核が小さくクロマチンが粗で、細胞質が乏しい裸核状の細胞が密集して出現します。選びやすい理由:肺癌の一種であるため、鑑別疾患として挙がりやすいですが、形態学的特徴は大きく異なります。混同注意:リンパ腫、神経内分泌腫瘍
- 3. 扁平上皮癌は、細胞質が豊富で、オレンジGに染まる好酸性の細胞質、角化(オタマジャクシ細胞、紡錘形細胞)、核の濃染、細胞間橋、パール形成などが特徴です。本画像にはこれらの所見は認められません。正しくは:扁平上皮癌であれば、細胞質が好酸性で豊富な細胞や、異常角化を伴う細胞、細胞間橋などが認められます。選びやすい理由:肺癌の主要な組織型の一つであるため、考慮される可能性があります。混同注意:腺癌(特に多形性腺癌)
- 4. 悪性リンパ腫は、リンパ球様の異型細胞が孤立性に出現し、核分裂像が多く、リンパ球様の細胞集塊や、特異的な免疫組織化学染色陽性像を呈します。本画像のような腺房状配列や粘液所見は通常見られません。正しくは:悪性リンパ腫であれば、リンパ球に似た異型細胞がバラバラに散在し、核の大小不同や核形不整が顕著です。選びやすい理由:稀な疾患ではありますが、異型細胞である点で鑑別の一つとして挙がる可能性があります。混同注意:小細胞癌(特に大型細胞型)
- 5. カルチノイドは、均一な小型細胞がシート状、索状、腺房状、ロゼット状に配列し、細胞質は顆粒状で核小体は不明瞭、クロマチンは細顆粒状で「塩胡椒状」を示すことが特徴です。本画像のような核の大小不同や明瞭な核小体、豊富な粘液は典型的ではありません。正しくは:カルチノイドであれば、核が均一でクロマチンが細顆粒状の細胞がロゼット状や腺房状に配列します。選びやすい理由:カルチノイドも腺房状配列を示すことがあり、一部の所見が類似する可能性があります。混同注意:小細胞癌、腺癌(特に高分化型)
国試ポイント
肺癌の細胞診における各組織型の特徴的な所見を識別できるか。
混同注意
各癌腫の細胞形態学的特徴は類似点も多いため、核の形、細胞質の特徴、細胞配列、背景所見などを総合的に評価し鑑別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず細胞の配列(集塊性)、核の形態(大小不同、核小体の有無)、細胞質の性状(空胞、粘液)、背景所見(壊死、炎症)を注意深く観察し、総合的に判断します。
関連知識
肺癌の組織型はWHO分類に基づき、非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)と小細胞癌に大別されます。細胞診はスクリーニングや診断補助に有用です。腺癌は肺癌の中で最も頻度が高く、末梢肺野に発生しやすい傾向があります。