血清を試料として定量可能なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
TSHは比較的安定なホルモンであり、血清を検体として測定することが一般的です。他の選択肢のホルモン(ACTH, ADH, BNP, PTH)は、血中での安定性が低く、分解されやすいため、通常はEDTA血漿を検体とし、迅速な処理や凍結保存が必要とされます。ホルモンによっては、血清では正確な測定が困難な場合があります。
選択肢ごとの解説
- 1. ACTHは血中での半減期が非常に短く、安定性が低いため、通常はEDTA血漿を検体として測定されます。採血後は迅速に遠心分離し、血漿を凍結保存する必要があります。正しくは:ACTHは血漿(EDTA加血漿)を検体として測定される。選びやすい理由:ホルモンであるため、血清でも測定可能だと誤解しやすい。混同注意:他の比較的安定なペプチドホルモンと混同しやすい。
- 2. ADHも血中での安定性が低く、分解酵素による影響を受けやすいため、EDTA血漿を検体とし、採血後すぐに冷却・遠心分離して血漿を分離し、凍結保存するのが一般的です。正しくは:ADHは血漿(EDTA加血漿)を検体として測定される。選びやすい理由:水分の調節に関わる重要なホルモンであるため、測定頻度が高いと思われ、血清で測定可能と考えがち。混同注意:血糖や電解質などの比較的安定な成分の測定条件と混同しやすい。
- 3. BNPは生体内での半減期が短く、採血後の検体中での安定性も低い(時間経過とともに分解が進む)ため、EDTA血漿を検体として測定されることが推奨されます。採血後は速やかに処理し、測定するか、凍結保存する必要があります。正しくは:BNPは血漿(EDTA加血漿)を検体として測定される。選びやすい理由:心疾患のマーカーとして広く用いられているため、一般的な採血(血清)で測定可能と誤解しやすい。混同注意:BNPの測定法やその臨床的意義は知っていても、検体条件の厳密さを忘れがち。
- 4. PTHも血中での安定性が極めて低く、分解されやすいペプチドホルモンです。そのため、通常はEDTA血漿を検体として測定し、採血後直ちに冷却し、遠心分離して血漿を分離・凍結保存する必要があります。血清での測定は不正確になる可能性があります。正しくは:PTHは血漿(EDTA加血漿)を検体として測定される。選びやすい理由:骨代謝に関わる重要なホルモンであり、比較的測定機会も多いため、血清で測定できると考えやすい。混同注意:カルシウムやリンなどの安定な代謝産物と混同しやすい。
- 5. 正解。TSH(甲状腺刺激ホルモン)は比較的に安定した糖タンパク質ホルモンであり、一般的な臨床検査では血清を検体として測定が可能です。採血後、凝固させて得られた血清を用いて測定します。
国試ポイント
臨床検査において、特定の検査項目(特に不安定なホルモンなど)を測定する際に、適切な検体(血清か血漿か、抗凝固剤の種類など)とその処理条件(冷却、遠心分離、保存方法など)を正確に理解しているかが問われています。これは、検査結果の信頼性に直結する重要な知識です。
混同注意
各種ホルモンの生理作用や関連疾患は知っていても、その測定に必要な検体条件(血清 vs 血漿)や安定性の違いは混同しやすい。特に、安定性の低いペプチドホルモン群は、すべてEDTA血漿が推奨される傾向にあるため、個々のホルモンの特性を記憶しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合は、まず選択肢にあるホルモンがペプチドホルモンであるか、比較的安定なホルモンであるかを判断する。不安定なペプチドホルモンの場合は、血漿(特にEDTA血漿)が適切な検体となる可能性が高い。安定なホルモン(例:TSH, 甲状腺ホルモン, ステロイドホルモン)は血清で測定可能かを確認する。
関連知識
検体の安定性、抗凝固剤の種類と作用(EDTA、ヘパリンなど)、採血後の検体処理と保存方法(冷却、遠心分離時間、凍結保存の有無)、各ホルモンの化学構造(ペプチド、ステロイド、アミンなど)とそれに伴う安定性の違い。