子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 8)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図のパパニコロウ染色標本には、細胞の多形性、不整な核の形態、増大した核クロマチンなど、扁平上皮癌に特徴的な細胞像が認められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 腺癌の細胞は、通常、円柱状や立方状の形態を示し、核が偏在することが多いですが、この画像ではそのような特徴は明確ではありません。正しくは:腺癌の細胞は、円柱状または立方状の形態を呈し、核が細胞の一端に寄る傾向があります。選びやすい理由:子宮頸部の悪性腫瘍として腺癌も存在するため、可能性の一つとして考えがちですが、細胞像が異なります。混同注意:扁平上皮癌と腺癌の形態の違いを混同すると誤答を選びやすくなります。
- 2. 正解。下図のパパニコロウ染色標本では、大型で多形性を示す異型細胞や、不整な核クロマチンを伴う細胞が見られます。これらは扁平上皮癌の特徴的な細胞学的所見と一致します。正しくは:扁平上皮癌は、細胞の多形性、核クロマチンの増量と不均一な分布、核小体の明瞭化、そして不整な核縁が特徴です。選びやすい理由:他の感染症や腺癌の可能性も考慮に入れつつ、形態学的特徴から最も合致する診断を判断する必要があります。混同注意:異型細胞が見られる点で、他の癌種と迷う可能性がありますが、細胞の形状や核の異常のパターンが扁平上皮由来の特徴を示しています。
- 3. 膣カンジダ症では、酵母菌や偽菌糸が観察されますが、下図の細胞像はそれらとは異なり、異型細胞が主体です。正しくは:膣カンジダ症では、出芽酵母や偽菌糸、好中球浸潤などが認められます。選びやすい理由:感染症として一般的なため、選択肢として考慮されることがあります。混同注意:感染症の細胞像と癌の細胞像は明確に区別できるため、混同することは少ないはずです。
- 4. ヘルペス感染症では、多核巨細胞や核内封入体、クロマチン辺縁化などの特徴的な変化が見られますが、下図の細胞像にはこれらの所見は認められません。正しくは:ヘルペス感染症では、多核細胞、核内封入体、核の辺縁クロマチン凝集といった特徴的な細胞学的変化が観察されます。選びやすい理由:ウイルス性疾患であるため、細胞に異型が見られる可能性もゼロではないと考えるかもしれませんが、特徴的な所見が異なります。混同注意:核の異常と捉えがちですが、ヘルペス特有の核内封入体や多核化の有無を確認する必要があります。
- 5. トリコモナス膣炎では、トリコモナス原虫の存在が認められますが、下図には原虫の姿やそれに伴う炎症細胞の変化は確認できません。異型細胞の所見が主要です。正しくは:トリコモナス膣炎では、トリコモナス原虫およびそれに伴う多数の好中球浸潤、時に不正な細胞配列が観察されます。選びやすい理由:膣炎の一般的な原因の一つであるため、選択肢として浮上することがあります。混同注意:原虫の特定と炎症反応の有無が診断の決め手となるため、異型細胞の観察とは結びつきにくいです。
国試ポイント
子宮頸部細胞診における各疾患の典型的な細胞学的特徴を正確に識別できるかが問われています。特に、悪性腫瘍と感染症の鑑別、および異なる種類の癌細胞の形態学的区別が重要です。
混同注意
子宮頸部の病変として、他の悪性腫瘍(腺癌)や重度の異形成、あるいは特定のウイルス感染症(ヘルペスなど)の細胞学的所見と混同する可能性があります。各疾患に特有の形態学的特徴をしっかりと把握しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
細胞像から扁平上皮癌を診断した後、その進行度や治療方針を決定するために、組織診や免疫組織化学染色などの精密検査が必要となります。
関連知識
Papanicolaou染色の目的と原理、正常な子宮頸部細胞(扁平上皮細胞、腺細胞)の形態、および各病変(異形成、扁平上皮癌、腺癌、感染症)における細胞学的変化について理解している必要があります。