ヘモグロビン酸素解離曲線(別冊No. 12)を別に示す。矢印の方向に曲線が移動したとき患者の状態で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ヘモグロビン酸素解離曲線の左方シフトは、ヘモグロビンの酸素親和性が増加し、組織への酸素放出が減少することを示します。選択肢1, 2, 3, 4はすべて右方シフトの要因です。一方、DPG濃度低下はヘモグロビンの酸素親和性を高めるため、曲線は左方へシフトします。
選択肢ごとの解説
- 1. 体温上昇はヘモグロビン酸素解離曲線を右方へシフトさせます。これはヘモグロビンの酸素親和性が低下し、組織への酸素放出が増加することを示します。正しくは:体温上昇は曲線が右へ移動する要因です。選びやすい理由:右方シフトの要因の一つであるため、混同しやすいです。混同注意:右方シフトの要因(体温上昇、PaCO2上昇、アシドーシス、DPG増加)と左方シフトの要因(体温低下、PaCO2低下、アルカローシス、DPG低下、HbFなど)を混同しやすいです。
- 2. 激しい運動時には、体温上昇、PaCO2上昇、乳酸産生によるアシドーシス、DPG増加などが起こり、これらすべてがヘモグロビン酸素解離曲線を右方へシフトさせます。正しくは:激しい運動は曲線が右へ移動する要因です。選びやすい理由:これも右方シフトの要因であるため、間違いやすい選択肢です。混同注意:特定の生理状態(運動時など)が引き起こす複数の因子(体温、CO2、pH、DPG)の影響をまとめて理解していないと、左右のシフトを間違えやすいです。
- 3. PaCO2の上昇はボーア効果を介してヘモグロビン酸素解離曲線を右方へシフトさせます。これにより、ヘモグロビンからの酸素放出が促進されます。正しくは:PaCO2上昇は曲線が右へ移動する要因です。選びやすい理由:右方シフトの主要な要因としてよく知られており、混同しやすいです。混同注意:ボーア効果(CO2濃度やpHによる酸素親和性の変化)と、DPGによる効果を混同することがあります。
- 4. 代謝性アシドーシスはpHの低下を意味し、これもボーア効果によりヘモグロビン酸素解離曲線を右方へシフトさせます。正しくは:代謝性アシドーシスは曲線が右へ移動する要因です。選びやすい理由:右方シフトの代表的な要因の一つであり、間違えやすいです。混同注意:アシドーシス(pH低下)とアルカローシス(pH上昇)がそれぞれ左右どちらのシフトを引き起こすかを混同しやすいです。
- 5. 正解。下に示す画像における矢印は、ヘモグロビン酸素解離曲線が左方へ移動していることを示します。DPGはヘモグロビンに結合して酸素親和性を低下させる(酸素放出を促進する)作用があるため、DPG濃度が低下するとヘモグロビンの酸素親和性が上昇し、曲線は左方へシフトします。
国試ポイント
ヘモグロビン酸素解離曲線の左右へのシフトを引き起こす様々な生理学的要因(pH、PaCO2、体温、DPG濃度、胎児ヘモグロビン)を正確に理解し、それぞれが左右どちらにシフトするかを識別できるかが問われています。特にDPGの役割は頻出です。
混同注意
曲線が右にシフトする要因(酸素を放出しやすくなる、親和性低下)と、左にシフトする要因(酸素を放出しにくくなる、親和性上昇)を混同しやすいです。また、HbFなど特定の状態でのDPGとの相互作用についても注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず曲線が左右どちらにシフトしているかを明確に判断し、その上で各選択肢がそのシフト方向の要因に合致するかを一つずつ確認します。特に複数の要因が複雑に絡む状態(例:運動)では、最終的なシフト方向を正確に理解しているかが重要です。
関連知識
ボーア効果(pHとPaCO2による影響)、ハルデン効果、DPGがヘモグロビンのβ鎖に結合して酸素親和性を低下させるメカニズム、胎児ヘモグロビン(HbF)がDPGと結合しにくいため酸素親和性が高いこと、輸血用血液の保存に伴うDPGの変化。