凝固反応でリン脂質を必要とするのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
血液凝固反応において、リン脂質(特に血小板膜由来の陰性荷電リン脂質)は、酵素複合体が形成されるための反応表面として極めて重要です。具体的には、内因系で第Ⅸa因子と第Ⅷa因子が第Ⅹ因子を活性化する「テナーゼ複合体」と、第Ⅹa因子と第Ⅴa因子がプロトロンビンを活性化する「プロトロンビナーゼ複合体」の形成にリン脂質が必須となります。これらの複合体がリン脂質表面に結合することで、効率的な触媒反応が可能になります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。第Ⅹ因子の活性化は、内因系では第Ⅸa因子と第Ⅷa因子、外因系では組織因子と第Ⅶa因子からなる複合体によって行われます。特に内因系テナーゼ複合体(第Ⅸa因子-第Ⅷa因子-Ca2+)は、効率的な反応のためにリン脂質表面を必要とします。外因系も間接的にリン脂質の影響を受けます。
- 2. 第Ⅺ因子の活性化は、主に第Ⅻa因子によって触媒される反応であり、リン脂質は直接関与しません。この反応は接触凝固系の一部です。正しくは:第Ⅺ因子活性化は、第Ⅻa因子によって引き起こされ、高分子キニノゲンとともに接触相を形成します。選びやすい理由:凝固カスケードの比較的初期段階であるため、リン脂質が関与すると誤解されがちです。混同注意:リン脂質を必須とする第Ⅹ因子やプロトロンビンの活性化とはメカニズムが異なります。
- 3. フィブリンの安定化は、第ⅩⅢa因子がフィブリンモノマー間に架橋結合を形成する反応であり、Ca2+は必要ですが、リン脂質は直接関与しません。正しくは:フィブリンの安定化には、第ⅩⅢa因子とCa2+が必要です。選びやすい理由:凝固の最終段階であり、多くの因子が関与するため、リン脂質も関わると推測するかもしれません。混同注意:フィブリン形成に至る前のプロトロンビン活性化や、フィブリンの溶解に関わる線溶系とは異なります。
- 4. 正解。プロトロンビン(第Ⅱ因子)がトロンビン(第Ⅱa因子)へ活性化される過程では、第Ⅹa因子、第Ⅴa因子、Ca2+、そしてリン脂質からなるプロトロンビナーゼ複合体が必須です。リン脂質はこの複合体の反応場として機能し、反応効率を飛躍的に高めます。
- 5. プレカリクレインの活性化は、主に第Ⅻa因子によってカリクレインに転換される接触凝固系の反応であり、リン脂質は直接関与しません。正しくは:プレカリクレインは、第Ⅻa因子によってカリクレインに活性化されます。選びやすい理由:接触凝固系が凝固反応の引き金となるため、リン脂質も関連すると誤解されやすいです。混同注意:リン脂質が複合体形成の足場となる第Ⅹ因子やプロトロンビンの活性化とはメカニズムが異なります。
国試ポイント
凝固カスケードにおける各因子の役割、特にCa2+やリン脂質といった補因子がどの段階でどのように関与するかは、臨床検査技師国家試験で頻繁に問われる重要ポイントです。主要な酵素複合体(テナーゼ複合体、プロトロンビナーゼ複合体)の構成要素と機能、リン脂質の役割を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
凝固因子活性化におけるリン脂質とCa2+の役割を混同しやすいです。リン脂質は反応足場を提供し、Ca2+は多くの凝固因子の活性化やリン脂質への結合を媒介します。また、凝固経路全体の中で、特にリン脂質が必要な段階とそうでない段階を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回、この論点が出題された場合、凝固因子の「酵素複合体」が形成される具体的な段階(例: 第Ⅷa-Ⅸa複合体による第Ⅹ因子活性化、第Ⅴa-Ⅹa複合体によるプロトロンビン活性化)に注目し、それぞれの複合体の構成要素(特にリン脂質やCa2+の有無)を確認することが重要です。また、ビタミンK依存性因子や凝固抑制因子の関与も併せて確認しましょう。
関連知識
凝固カスケード(内因系、外因系、共通系)の全体像、血小板の止血機能(特に凝固における血小板膜の役割)、ビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン、第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)の特徴、およびフィブリン形成と線溶系のメカニズムを理解していると、この問題への理解が深まります。