健常成人の血清免疫電気泳動像(別冊No. 14)を別に示す。矢印が示す沈降線に相当するのはどれか。ただし、泳動像上部は写真、下部はその一部の模式図を示す。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
免疫電気泳動では、各免疫グロブリンがその電荷と分子量に応じて異なる位置に泳動され、対応する抗血清との反応により沈降線として検出される。IgGは最も陰極側に長く広い範囲に、IgAはIgGよりも陽極側(アルブミン側)に、IgMはIgAよりも陰極側に短い弧を描くのが特徴である。提示された画像で矢印が示す沈降線は、これらの特徴からIgAの位置に合致する。
選択肢ごとの解説
- 1. IgGは免疫電気泳動において、より陰極側に長く伸びる沈降線として観察されるのが一般的である。示された矢印の沈降線は、IgGの主な位置とは異なる。正しくは:IgGの沈降線は、より長く広い範囲にわたって認められる。選びやすい理由:最も量の多い免疫グロブリンであるため、直感的に選びたくなるかもしれない。混同注意:他の免疫グロブリンの相対的な泳動位置や量と混同する可能性がある。
- 2. 正解。免疫電気泳動において、IgAはβ-γグロブリン領域に沈降線として検出される。画像で矢印が示す位置は、アルブミン側(陽極側)に比較的近く、かつIgGよりも短い弧を描くIgAの特徴的な沈降線に合致する。
- 3. IgMは主にγグロブリン領域、IgAよりもさらに陰極側に位置し、通常はより短く、IgAより内側に弧を描く沈降線として観察される。正しくは:IgMの沈降線は、IgAよりもさらに陰極側に短く認められることが多い。選びやすい理由:IgAと同様に重鎖抗血清で検出されるため、両者の泳動位置を混同しやすい。混同注意:IgAとIgMの泳動位置、特に両者の相対的な位置関係を混同しやすい。
- 4. IgDは血中濃度が非常に低く、健常成人で免疫電気泳動の沈降線としてはほとんど検出されない。検出されたとしても非常に微弱な線である。正しくは:IgDは健常成人の免疫電気泳動では通常検出が困難であるか、非常に微弱な線となる。選びやすい理由:他のマイナーな免疫グロブリンと混同し、存在自体を忘れてしまう可能性がある。混同注意:免疫グロブリンの種類は知っていても、それぞれの生理的濃度や免疫電気泳動での検出感度について混同しやすい。
- 5. IgEも血中濃度が非常に低く、健常成人で免疫電気泳動の沈降線としては通常検出されない。アレルギー疾患などで増加しても、通常の免疫電気泳動で沈降線として描出されることは稀である。正しくは:IgEは健常成人の免疫電気泳動では通常検出が困難である。選びやすい理由:アレルギーとの関連から知名度は高いが、その低濃度性を忘れがちである。混同注意:IgDと同様に、生理的濃度が低いために通常の免疫電気泳動で検出されにくいという事実を混同しやすい。
国試ポイント
免疫電気泳動像における主要な免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)の基本的な泳動位置と沈降線の形状を正確に識別できるか、またそれぞれの生理的血中濃度と検出感度の知識が問われている。
混同注意
IgG, IgA, IgMの相対的な泳動位置(陽極側/陰極側)と、沈降線の長さや弧の形状が混同されやすい。特にIgAとIgMの区別が重要である。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず各免疫グロブリンがどのグロブリン分画(α1, α2, β, γ)に主に属するかを思い出し、その上で免疫電気泳動像での具体的な沈降線(長さ、弧の深さ、位置)を識別する。特にIgA、IgMはIgGと比較して特徴的な位置を示すため、これらを正確に特定できるかが鍵となる。
関連知識
各免疫グロブリンの分子構造(単量体、二量体、五量体)、生理的機能、主要な疾患での増減パターン。免疫電気泳動の原理(抗原抗体反応、電気泳動の基本)。