心尖部長軸像のカラードプラ像(別冊No. 6)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁の閉鎖が不完全なために、拡張期に大動脈から左心室へ血液が逆流する病態です。カラードプラでは、心尖部長軸像において、拡張期に大動脈弁を通過して左心室流入路に向かう逆流血流が色調で描出されます。設問の画像は大動脈弁からの逆流が認められる状態を示しており、これは大動脈弁閉鎖不全症の典型的なドプラ所見と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 僧帽弁狭窄症は、僧帽弁の開放障害により左心房から左心室への血流が妨げられる病態です。カラードプラでは、拡張期に僧帽弁を通過する血流の速度上昇や乱流として検出されます。本症例の大動脈弁からの逆流所見とは異なります。正しくは:僧帽弁狭窄症では、拡張期に僧帽弁の部位でモザイク状の異常血流が確認されます。選びやすい理由:弁膜症全般の知識があれば選択肢として考えられますが、画像所見とは一致しません。混同注意:僧帽弁閉鎖不全症との混同。僧帽弁狭窄は拡張期の障害、閉鎖不全は収縮期の障害です。
- 2. 大動脈弁狭窄症は、大動脈弁の開放障害により左心室から大動脈への血流が妨げられる病態です。カラードプラでは、収縮期に大動脈弁を通過する血流の速度上昇や乱流として検出されます。本症例の大動脈弁からの逆流所見とは異なります。正しくは:大動脈弁狭窄症では、収縮期に大動脈弁の部位でモザイク状の異常血流が確認されます。選びやすい理由:大動脈弁に関する弁膜症という点で一見関連性があるように見えますが、狭窄と閉鎖不全では病態とドプラ所見が異なります。混同注意:大動脈弁閉鎖不全症との混同。大動脈弁狭窄は収縮期の障害、閉鎖不全は拡張期の障害です。
- 3. 心室中隔欠損症は、左右の心室を隔てる心室中隔に穴が開いている先天性心疾患です。カラードプラでは、収縮期に心室中隔の欠損孔を介して左心室から右心室への異常血流(シャント血流)が検出されます。本症例の大動脈弁からの逆流所見とは異なります。正しくは:心室中隔欠損症では、収縮期に心室中隔の欠損部で異常血流が確認されます。選びやすい理由:先天性心疾患の知識も問われることがあるため、選択肢として考えられるかもしれませんが、画像所見とは一致しません。混同注意:他の心内シャント疾患(心房中隔欠損症など)との混同。
- 4. 僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁の閉鎖不全により収縮期に左心室から左心房へ血液が逆流する病態です。カラードプラでは、収縮期に僧帽弁の部位で左心房への逆流血流として検出されます。本症例の大動脈弁からの逆流所見とは異なります。正しくは:僧帽弁閉鎖不全症では、収縮期に僧帽弁の部位で左心房方向へ向かう異常血流が確認されます。選びやすい理由:弁膜症の一つであり、逆流という点で似たイメージを持つかもしれませんが、僧帽弁と大動脈弁は異なる弁であり、それぞれ特徴的な所見があります。混同注意:大動脈弁閉鎖不全症との混同。僧帽弁と大動脈弁の区別が重要です。
- 5. 正解。大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁の閉鎖不全により拡張期に大動脈から左心室へ血液が逆流する病態です。心尖部長軸像のカラードプラで大動脈弁からの逆流血流が検出されていることから、この診断が最も適切です。
国試ポイント
心臓超音波検査におけるカラードプラの基本原理と、主要な弁膜症や先天性心疾患のドプラ所見を理解しているかが問われています。特に、各弁の正常な血流方向と、閉鎖不全や狭窄時の異常血流の方向、およびそれらが心周期のどのフェーズで起こるかを区別できる能力が重要です。
混同注意
大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症。大動脈弁の障害であることは共通していても、狭窄と閉鎖不全では病態が全く異なります。また、逆流という点で僧帽弁閉鎖不全症と混同しやすいですが、逆流が起こる弁の位置が異なります。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題では、まず描出されている弁がどの弁か(僧帽弁、大動脈弁など)を特定し、次に血流が正常な方向か、逆流か、狭窄による加速血流かを確認します。さらに、それが心周期のどの時期(収縮期か拡張期か)に起こっているかを判断し、これらの情報から最も合致する病態を選択します。
関連知識
心尖部長軸像は、左心室、僧帽弁、大動脈弁、大動脈を確認できる基本的な断層像です。カラードプラは、血流の方向と速度を色で表現し、異常血流の検出に用いられます。弁膜症の診断には、カラードプラの他に、パルスドプラ、連続波ドプラ、組織ドプラなども活用されます。