モノクローナル抗体作製法について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
モノクローナル抗体作製法では、抗体産生能を持つBリンパ球と、無限増殖能を持つ骨髄腫細胞を融合させます。この融合細胞は「ハイブリドーマ」と呼ばれ、抗体を継続的に産生する細胞株として利用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 細胞融合剤としては、主にポリエチレングリコール (PEG) やセンダイウイルスなどが用いられます。エタノールは細胞を凝固・変性させる作用があるため、細胞融合には適しません。正しくは:細胞融合剤としては、主にポリエチレングリコール (PEG) やセンダイウイルスなどが利用されます。選びやすい理由:身近な消毒剤であるため、細胞操作の一環として連想しやすいかもしれませんが、その作用は融合ではなく変性です。混同注意:細胞培養で一般的に用いられる試薬と混同しやすい。
- 2. HAT培地中のヒポキサンチンは、サルベージ経路によるDNA合成に必要な前駆体であり、阻害剤ではありません。アミノプテリンがデノボ経路を阻害します。正しくは:HAT培地中のヒポキサンチンは、サルベージ経路による核酸合成に必要な物質です。選びやすい理由:HAT培地が選択培地であるため、何かを『阻害する』という発想は起こりやすいですが、ヒポキサンチンは『供給』する役割です。混同注意:HAT培地の各成分の役割(特にアミノプテリンの阻害作用とヒポキサンチン・チミジンの供給作用)を混同しやすい。
- 3. HAT培地中のチミジンは、サルベージ経路によるDNA合成に必要な前駆体の一つです。骨髄腫細胞(通常HGPRT欠損)同士の融合細胞は、デノボ経路がアミノプテリンにより阻害されるためDNA合成ができず死滅しますが、チミジンが直接的な死滅原因ではありません。むしろチミジンはサルベージ経路に必要な物質です。正しくは:骨髄腫細胞同士の融合細胞は、デノボ経路がアミノプテリンにより阻害され、かつサルベージ経路も不完全(HGPRT欠損)なためHAT培地中で死滅します。チミジンはサルベージ経路の構成要素の一つです。選びやすい理由:HAT培地で骨髄腫細胞が死滅する、という事実は正しいものの、その原因をチミジンに結びつけやすい間違いです。混同注意:HAT培地で死滅する細胞と、培地の各成分の役割、特にサルベージ経路の構成要素を混同しやすい。
- 4. 正解。ハイブリドーマは、抗体産生能を持つB細胞と、無限増殖能を持つ骨髄腫細胞を融合させて作製される細胞であり、モノクローナル抗体産生法の根幹をなす細胞です。
- 5. B細胞同士の融合細胞は、HGPRTなどのサルベージ経路酵素を持っており、HAT培地中のアミノプテリンによってデノボ経路が阻害されても、ヒポキサンチンとチミジンを利用するサルベージ経路でDNA合成が可能なため、HAT培地中で生存できます。正しくは:B細胞同士の融合細胞は、HAT培地中のアミノプテリンによってデノボ経路が阻害されても、サルベージ経路で核酸合成ができるため生存可能です。選びやすい理由:アミノプテリンが核酸合成を阻害することは正しいため、何らかの細胞が死滅する原因と関連付けやすいですが、B細胞はサルベージ経路で生存します。混同注意:HAT培地で死滅する細胞(未融合の骨髄腫細胞や骨髄腫同士の融合細胞)と、生存する細胞(ハイブリドーマやB細胞同士の融合細胞)のメカニズムを混同しやすい。
国試ポイント
モノクローナル抗体作製法の基本的な原理、特にハイブリドーマの定義とHAT培地の選択原理が問われています。各選択肢の誤りは、HAT培地の各成分の役割や細胞のDNA合成経路に関する正確な理解を試すものです。
混同注意
HAT培地の各成分(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)の個々の役割、そしてデノボ経路とサルベージ経路における核酸合成の知識。どの細胞(B細胞、骨髄腫細胞、ハイブリドーマ、それぞれの融合細胞)がHAT培地で生存・死滅するかのメカニズム。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、ハイブリドーマの特性(抗体産生能と増殖能)、HAT培地の具体的な選択メカニズムと各成分の役割、またはモノクローナル抗体の応用例が問われる可能性があります。
関連知識
HAT培地における選択メカニズム(デノボ経路とサルベージ経路)、HGPRT酵素の欠損、ポリエチレングリコール (PEG) を用いた細胞融合。