分光光度法において共存物質の影響試験の対象となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
分光光度法による臨床検査において、検体中に共存する物質が測定対象成分の発色反応や吸光度に影響を与え、測定値の正確性を損なうことがあります。特にヘモグロビンは溶血検体で高濃度となり、可視光域に強い吸光を持つため、多くの測定で干渉物質となります。アスコルビン酸(ビタミンC)は強力な還元剤であり、酵素法や発色反応を阻害したり、発色した物質を還元して退色させたりすることで、多くの測定系に影響を与えます。これらは、日常的に遭遇する重要な干渉物質として、必ず影響試験の対象となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 過酸化水素自体が分光光度法における共存物質として一般的に影響試験の対象となることは稀です。むしろ、測定反応の試薬として用いられることがあります。正しくは:過酸化水素は、測定対象成分と直接競合したり、吸光度を著しく変化させたりするような一般的な共存物質ではありません。選びやすい理由:酸化還元反応に関わる物質であるため、測定系に影響を与えそうだと感じるかもしれませんが、分光光度法における「共存物質」としては主要な検討項目ではありません。混同注意:ペルオキシダーゼと混同して、酸化還元反応全体を想像してしまう可能性があります。
- 2. 正解。ヘモグロビンは血液検体中に多量に存在し、特に溶血検体では高濃度になります。自身の強い吸光度(特に可視光域)を持つため、多くの分光光度法を用いた測定において、目的成分の吸光度と重なり、測定値に干渉する主要な共存物質として影響評価の対象となります。
- 3. 正解。アスコルビン酸(ビタミンC)は強力な還元剤であり、多くの酵素反応や発色反応を用いた分光光度法において、試薬の酸化還元反応を阻害したり、発色団を還元して退色させたりするなど、測定系に影響を与える主要な共存物質です。そのため、影響試験の重要な対象となります。
- 4. アスパラギン酸はアミノ酸の一種であり、一般的な生体成分ですが、分光光度法を用いた多くの測定系において、その吸光度が測定波長域で影響を及ぼしたり、化学反応を阻害したりするような主要な共存物質とはみなされません。正しくは:アスパラギン酸が分光光度法に直接的な影響を与えることは稀です。選びやすい理由:生体成分であるため、何らかの影響を与えそうだと感じるかもしれませんが、ヘモグロビンやアスコルビン酸のような一般的な干渉物質ではありません。混同注意:他の有機酸やビタミン類と混同し、一概に測定に影響を与えると考えてしまう可能性があります。
- 5. ペルオキシダーゼは、分光光度法を用いた酵素法などで試薬として利用される酵素であり、共存物質として測定に干渉する性質のものではありません。むしろ反応を促進する役割があります。正しくは:ペルオキシダーゼは、測定系において触媒として利用される酵素です。選びやすい理由:酵素であるため、何らかの化学反応に関与し、結果に影響を与えそうだと感じるかもしれませんが、これは「共存物質」としての干渉とは異なります。混同注意:酵素が何らかの形で測定に影響を与えるという漠然としたイメージで、他の物質と混同する可能性があります。酵素反応そのものを目的とした測定系では、酵素の活性が重要な因子となりますが、ここでは「共存物質の干渉」が問われています。
国試ポイント
臨床検査における分光光度法の原理と、測定値に影響を与える主要な生体由来の共存物質(干渉物質)について理解しているかを問う問題です。特に、溶血、黄疸、乳びの各状態や特定の薬剤服用が測定に与える影響は頻出です。
混同注意
生体内のあらゆる物質が生化学測定に影響を与える可能性があるという漠然とした認識と、実際に分光光度法において干渉試験の対象となる代表的な物質との区別。特に、試薬として使われる物質(例:ペルオキシダーゼ)と、検体中に共存する干渉物質との混同に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、黄疸(ビリルビン)や乳び(脂質)が分光光度法に与える影響、また特定の薬剤(例:メトヘモグロビン生成薬など)の干渉についても理解しているかを確認すると良いでしょう。
関連知識
溶血(ヘモグロビン)、黄疸(ビリルビン)、乳び(カイロミクロン)が分光光度法に与える影響。薬剤の服用による影響。酵素法における還元物質(アスコルビン酸など)の影響。