末梢血のフローサイトメトリでリンパ球ゲートを行い、抗CD19-PE標識抗体と抗CD3-FITC標識抗体で二重染色解析を行った。プロット図(別冊No. 13)を別に示す。T細胞が現れる領域はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
フローサイトメトリーにおいて、T細胞は細胞表面にCD3抗原を発現するリンパ球です。一方、CD19抗原はB細胞に特異的なマーカーです。したがって、T細胞は抗CD3抗体には反応して陽性シグナルを示しますが、抗CD19抗体には反応せず陰性シグナルを示します。提示されたプロット図では、X軸がCD19(PE標識)、Y軸がCD3(FITC標識)です。よって、T細胞が検出される領域はY軸方向で陽性、X軸方向で陰性となる領域④が正解です。
選択肢ごとの解説
- 1. 領域①はCD19陽性でCD3陰性であり、B細胞に相当します。T細胞ではありません。正しくは:T細胞はCD3陽性、CD19陰性として検出されます。選びやすい理由:CD19とCD3のどちらかが陽性であることまでは理解していても、それぞれのマーカーが示す細胞種を混同していると誤って選択する可能性があります。混同注意:B細胞(CD19陽性)とT細胞(CD3陽性)の区別、およびそれぞれの細胞表面マーカーを混同しやすいです。
- 2. 領域②はCD19とCD3の両方が陰性であるため、B細胞でもT細胞でもありません。主にNK細胞や一部の未熟細胞などが考えられます。正しくは:T細胞はCD3陽性、CD19陰性として検出されます。選びやすい理由:リンパ球ゲート内には存在するものの、どの特異的なリンパ球集団にも該当しない領域として認識されやすいです。混同注意:T細胞やB細胞以外のリンパ球(NK細胞など)や、これらのマーカーを発現しない他の細胞集団と混同しやすいです。
- 3. 領域③はCD19とCD3の両方が陽性であり、これは一般的な末梢血T細胞やB細胞のプロファイルとは異なります。二重陽性リンパ球の可能性もありますが、通常のT細胞領域ではありません。正しくは:T細胞はCD3陽性、CD19陰性として検出されます。選びやすい理由:CD3とCD19の両方が陽性という、通常とは異なるパターンに興味を惹かれやすいかもしれません。混同注意:正常な末梢血リンパ球集団のマーカー発現パターン(CD3単独陽性、CD19単独陽性)と、異常なパターンや未熟な細胞パターンを混同しやすいです。
- 4. 正解。T細胞は細胞表面にCD3抗原を発現しますが、CD19抗原は発現しません。したがって、抗CD3-FITC抗体と結合してFITCシグナルが陽性となり、抗CD19-PE抗体とは結合しないためPEシグナルは陰性となる領域④がT細胞を示します。正しくは:正しい選択肢です。
- 5. 領域①はB細胞、領域③はCD3とCD19の二重陽性を示すため、どちらもT細胞ではありません。正しくは:T細胞はCD3陽性、CD19陰性として検出されます。選びやすい理由:複数の領域が正解となるパターンを想定して、どちらかの領域にT細胞が含まれていると思い込む可能性があります。混同注意:B細胞(CD19陽性)とT細胞(CD3陽性)の区別、およびフローサイトメトリーのプロットの読み方を混同しやすいです。
国試ポイント
フローサイトメトリーの基本的な原理と、主要なリンパ球(T細胞、B細胞など)に特異的な表面抗原(CDマーカー)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、プロット図における各軸のマーカーと、特定の細胞集団がどの領域にプロットされるかを判断する能力が求められます。
混同注意
CD3とCD19のそれぞれのマーカーが示す細胞種(T細胞かB細胞か)、およびフローサイトメトリーの散布図(プロット図)における横軸と縦軸のマーカーが示す意味の混同。また、細胞集団を特定する際に陽性/陰性の判断を誤ること。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他のCDマーカー(例: CD4, CD8, CD56)や、骨髄系細胞のマーカー(例: CD13, CD33)が追加される可能性があります。また、異常な細胞集団(例: 悪性リンパ腫細胞)のマーカー発現パターンを判断させる問題も考えられます。
関連知識
主要なリンパ球サブセット(T細胞、B細胞、NK細胞)の表面マーカー(CD3, CD4, CD8, CD19, CD56など)。フローサイトメトリーの測定原理、散布図の読み方、ゲート設定の概念。