ビタミンK欠乏症でみられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ビタミンKは、肝臓で凝固因子である第II因子(プロトロンビン)、第VII因子、第IX因子、第X因子の活性化に必要な補酵素です。これらの因子は外因系および共通系の凝固経路において重要な役割を果たします。ビタミンKが欠乏すると、これらの凝固因子の機能が不十分な形で産生され(PIVKAなど)、結果として血液凝固能が低下し、PT(プロトロンビン時間)が延長します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ビタミンKは、凝固因子であるプロトロンビン(第II因子)、第VII因子、第IX因子、第X因子の肝臓での合成に必要な補酵素です。ビタミンKが欠乏すると、これらの凝固因子の産生が低下し、血液凝固能が低下するため、PTが延長します。PTは外因系および共通系の凝固経路を反映する検査であり、これらの凝固因子が深く関与しているため、ビタミンK欠乏の指標となります。
- 2. ビタミンK欠乏は、直接的には血小板の産生や破壊に影響を与えません。血小板数減少は、骨髄での産生低下(例:再生不良性貧血、白血病)や破壊亢進(例:特発性血小板減少性紫斑病)など、他の病態でみられます。正しくは:ビタミンK欠乏では血小板数は通常変化しない、または軽度の影響しかない。選びやすい理由:出血傾向があるため、漠然と「血小板も関係するのでは?」と考えてしまう可能性。混同注意:血小板機能異常や血小板減少症。
- 3. 出血時間は主に血小板の機能と数、および血管壁の完全性を評価する検査です。ビタミンK欠乏は凝固因子の問題であり、通常、血小板の機能や数、血管壁には直接的な影響を与えません。したがって、出血時間は延長しません。正しくは:ビタミンK欠乏症では出血時間は通常延長しない。選びやすい理由:出血傾向があるため、止血全体を評価する出血時間も延長すると誤解しやすい。混同注意:血小板機能異常症やフォン・ヴィレブランド病。
- 4. Dダイマーは、線溶系が活性化され、フィブリンが分解された際に産生される物質です。ビタミンK欠乏症は凝固能が低下する状態であり、むしろ血栓形成が抑制されるため、Dダイマーは通常上昇しません。Dダイマーの上昇は、血栓症(例:深部静脈血栓症、肺塞栓症)や播種性血管内凝固症候群(DIC)などで見られます。正しくは:ビタミンK欠乏症ではDダイマーは通常上昇しない。選びやすい理由:出血傾向と血栓傾向を混同したり、凝固系全体の異常と捉えてしまう可能性。混同注意:DICや血栓症。
- 5. フィブリノゲン(第I因子)は肝臓で合成される凝固因子ですが、その合成にはビタミンKは直接関与しません。ビタミンKはプロトロンビンなど特定の凝固因子のγ-カルボキシグルタミン酸残基の修飾に必要なだけで、フィブリノゲンの産生自体には影響しません。フィブリノゲンの低下は、肝機能障害が重度の場合や消費性凝固障害(DICなど)でみられます。正しくは:ビタミンK欠乏症ではフィブリノゲンは通常低下しない。選びやすい理由:フィブリノゲンも凝固因子であるため、ビタミンK欠乏で低下すると誤解しやすい。混同注意:ビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X因子)と非依存性凝固因子(I, V, VIII, XI, XIII因子)。
国試ポイント
ビタミンKの生理機能と、それが血液凝固検査値に与える影響(特にPT延長)を正確に理解しているかを問う問題です。各検査項目がどの止血段階や凝固経路を評価しているか、そしてビタミンK欠乏が具体的にどの因子に影響するかを関連付けて覚えることが重要です。
混同注意
ビタミンKは凝固因子全体の低下を引き起こすと思われがちですが、実際には特定のビタミンK依存性凝固因子のみに影響します。出血時間や血小板数、フィブリノゲンなど、他の止血関連項目との区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まずビタミンKがどの凝固因子に影響するかを思い出し、次に各選択肢の検査項目が評価する主な止血経路や因子を照らし合わせて判断します。
関連知識
ビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X因子)とその作用機序、ワルファリンの作用機序(ビタミンK作用拮抗薬)、新生児メレナ(新生児ビタミンK欠乏性出血症)など。