骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 10)を別に示す。この症例で認められる所見はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
提示された画像は骨髄刺液のWright-Giemsa染色標本であり、形質細胞の著しい増加が示唆される。形質細胞は、核の偏在、車輪の輻状に配列したクロマチン、豊富な好塩基性細胞質、核周囲の淡明帯(ゴルジ体)を特徴とする。このような形質細胞の異常増殖は多発性骨髄腫などの形質細胞性疾患でみられ、これらの疾患ではモノクローナルな免疫グロブリン軽鎖が尿中に排泄され、Bence Jones蛋白として検出される。したがって、この症例で認められる可能性が最も高い所見はBence Jones蛋白である。
選択肢ごとの解説
- 1. ファゴット細胞は、骨髄性白血病の一種である急性前骨髄球性白血病(APL)に見られる特徴的な細胞で、アズール顆粒が多数集まったAuer小体(アウエル小体)を多数含む細胞です。Bence Jones蛋白とは関連が薄いです。正しくは:急性骨髄性白血病(特にAPL)が疑われる場合に出現します。選びやすい理由:血液疾患の画像問題で特徴的な細胞所見が問われることが多いため、関連疾患として想起しやすいかもしれません。混同注意:Auer小体を持つ芽球全般と混同しやすいが、ファゴット細胞は特に多数のAuer小体を持つことが特徴です。
- 2. 抗HTLV-1抗体は、HTLV-1ウイルス感染の有無を示す指標で、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)の原因となります。Bence Jones蛋白は形質細胞性疾患(多発性骨髄腫など)で検出されるため、直接的な関連はありません。正しくは:ATLが疑われる症例で検査されます。選びやすい理由:白血病関連の知識として、HTLV-1の関与を思い出すかもしれませんが、画像所見(形質細胞の増加)からは直結しません。混同注意:リンパ系悪性腫瘍の原因としてのウイルスと、形質細胞性疾患の尿中蛋白を混同しやすいです。
- 3. 正解。Wright-Giemsa染色標本で形質細胞の著しい増加が認められる場合、多発性骨髄腫などの形質細胞性疾患が強く疑われます。これらの疾患では、形質細胞から産生されるモノクローナルな免疫グロブリン軽鎖が尿中に排泄され、Bence Jones蛋白として検出されるのが特徴的な所見です。正しくは:正しい選択肢です。選びやすい理由:画像所見と直接関連する検査項目であり、鑑別疾患の重要な検査項目です。混同注意:他の尿中蛋白や、腎疾患による蛋白尿と混同しないように注意が必要です。
- 4. Reed-Sternberg細胞は、ホジキンリンパ腫に特異的な巨大な多核細胞です。骨髄液の染色標本で観察される形質細胞の増加とは異なる所見であり、鑑別すべき疾患も異なります。正しくは:ホジキンリンパ腫の病理診断に用いられる細胞です。選びやすい理由:リンパ腫関連の非常に特徴的な細胞であるため、選択肢として目を引くかもしれませんが、骨髄刺液標本の所見とは直接結びつきません。混同注意:異なる種類のリンパ増殖性疾患における特徴的な細胞と混同しやすいです。
- 5. BCR-ABL1融合遺伝子は、慢性骨髄性白血病(CML)に特徴的なフィラデルフィア染色体から生じる異常遺伝子です。この症例で見られる形質細胞の増加とは関連がなく、多発性骨髄腫などの形質細胞性疾患では検出されません。正しくは:CMLの診断マーカーとして用いられます。選びやすい理由:白血病関連の重要な遺伝子異常として頻出するため、知識として想起されやすいです。混同注意:慢性骨髄性白血病(CML)と多発性骨髄腫のような形質細胞性疾患を混同しやすいです。
国試ポイント
骨髄穿刺標本における細胞形態の識別能力、特に形質細胞性疾患の診断と関連する臨床検査項目(Bence Jones蛋白)の知識が問われている。画像所見から鑑別疾患を絞り込み、その疾患に特異的な検査所見を選択する総合的な理解が求められる。
混同注意
画像診断で特徴的な細胞形態を問う問題では、他の白血病やリンパ腫の代表的な細胞(ファゴット細胞、Reed-Sternberg細胞など)と混同させやすい。また、特定の疾患に関連する遺伝子異常や抗体検査(BCR-ABL1融合遺伝子、抗HTLV-1抗体)も選択肢として提示され、知識の正確性が試される。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず骨髄刺液の画像から異常細胞の種類(この場合は形質細胞)を正確に識別できるかを確認する。次に、その細胞が関与する疾患(多発性骨髄腫など)を想起し、その疾患に特異的な診断マーカーや検査所見を適切に選べるかを問う問題が予想される。
関連知識
形質細胞の形態、多発性骨髄腫の診断基準(M蛋白、Bence Jones蛋白、骨病変など)、その他の血液悪性腫瘍における特徴的な細胞所見や分子生物学的検査。