フローサイトメトリで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
フローサイトメトリーにおいて、蛍光の強度は個々の細胞が持つ蛍光標識分子の量、すなわち抗原発現量やDNA量などを反映します。一方、細胞の個数は、特定の測定ゲート内で検出されたイベント(粒子)の総数としてカウントされます。したがって、「蛍光強度は細胞数を反映する」という記述は誤りです。蛍光強度はシグナルの『質』を、細胞数はイベントの『量』を示します。
選択肢ごとの解説
- 1. フローサイトメトリーでは、細胞表面や細胞内の特定の成分(抗原など)を検出するため、蛍光色素で標識された特異的な抗体を使用します。この抗体が標的と結合することで、蛍光シグナルが得られます。選びやすい理由:フローサイトメトリーの基本的な原理を正しく述べているため、正しい記述であると判断しやすい。混同注意:蛍光標識抗体を用いることで、細胞の多様な特徴を解析できるという点を理解していれば、迷うことは少ないでしょう。
- 2. フローサイトメトリーは、細胞膜を透過処理(パーミアビライゼーション)することで、細胞質内や核内の抗原(例: サイトカイン、転写因子)も測定することができます。選びやすい理由:主に細胞表面抗原の測定が知られていますが、細胞内抗原の測定も広く行われているため、正しい記述と判断できます。混同注意:細胞外の抗原だけでなく、細胞内の抗原も測定できることを知らない場合、誤りだと考えるかもしれませんが、適切な処理により測定可能です。
- 3. 正解。蛍光の強さは、個々の細胞が持つ蛍光標識された分子の量(例: 抗原発現量やDNA量)を反映するものであり、細胞の個数そのものを直接反映するわけではありません。細胞の個数は、測定されたイベント(粒子)の総数としてカウントされます。正しくは:蛍光の強さは細胞の**抗原発現量**を反映します。または、細胞数は**イベント数**としてカウントされます。選びやすい理由:データ解析のグラフ上で、蛍光強度の高い集団や低い集団が存在し、それらを視覚的に『数が多い・少ない』と捉えることがあるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:蛍光強度(各細胞がどれだけ光るか)と、細胞数(どれだけの細胞が測定されたか)を混同しやすい。蛍光強度はシグナルの大きさ、細胞数はイベントの頻度です。
- 4. リンパ球の表面に発現するCD抗原(例: CD3, CD4, CD8など)は、リンパ球サブセットの分類や、免疫疾患、血液疾患の診断・モニタリングに不可欠であり、フローサイトメトリーの主要な応用の一つです。選びやすい理由:フローサイトメトリーの最も一般的な臨床応用の一つであるため、これは明確に正しい記述です。混同注意:フローサイトメトリーの具体的な応用例を知っていれば、この選択肢は正しく判断できます。
- 5. フローサイトメーターでは、蛍光色素を励起させ、また細胞の散乱光を検出するために、波長が単一で指向性の高いレーザー光が光源として使用されます。選びやすい理由:これはフローサイトメトリー装置の基本的な構成要素であるため、正しい記述であるとすぐに判断できるでしょう。混同注意:レーザー光が使用される理由(蛍光励起、高分解能)を理解していれば、迷うことはありません。
国試ポイント
フローサイトメトリーの基本的な測定原理と各測定項目(蛍光強度、散乱光、イベント数など)が何を示しているかを正確に理解しているかを問う問題です。特に、蛍光強度と細胞数の意味の違いを混同しないことが重要です。
混同注意
フローサイトメトリーでは、フォワードスキャッター(FSC)が細胞の大きさ、サイドスキャッター(SSC)が細胞の内部構造や顆粒性を反映します。これらと蛍光強度、そして細胞数(イベント数)のそれぞれの意味と関係性を混同しやすいので注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回、同じ論点が出題される場合は、フォワードスキャッターやサイドスキャッターが何を反映するか、多色解析の原理、またはフローサイトメトリーの具体的な臨床応用(例: 白血病・リンパ腫の診断、HIV患者のCD4/CD8比測定など)について問われる可能性があります。また、セルソーター(細胞分離装置)の機能についても注意が必要です。
関連知識
フローサイトメトリーは、細胞を一つずつ流しながら、レーザー光を照射して発生する散乱光と蛍光を同時に測定する技術です。これにより、細胞の大きさ(FSC)、細胞内構造の複雑さ(SSC)、そして蛍光標識された特定の分子の量(蛍光強度)を解析し、細胞の種類や状態を識別・定量できます。