食中毒の原因菌と原因食品の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ウェルシュ菌食中毒は、主に肉料理や煮込み料理を大量に作り、そのまま保温したり、ゆっくりと冷却したりする過程で、嫌気性菌であるウェルシュ菌が芽胞から発芽・増殖し、毒素を産生することで発生します。特に、シチューやカレー、煮魚などが典型的な原因食品とされます。他の選択肢は、原因菌と食品の組み合わせが適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ウェルシュ菌は、加熱調理された肉や魚介類を含む大鍋料理(シチュー、カレーなど)が、冷却過程で嫌気的環境となり増殖しやすいため、典型的な原因食品です。特に、長時間保温されたり、ゆっくり冷却されたりした際にリスクが高まります。
- 2. 腸炎ビブリオの主な原因食品は、生食される魚介類やその加工品です。はちみつは細菌性の食中毒の原因となることはほとんどありません。正しくは:腸炎ビブリオ → 生魚介類選びやすい理由:「ビブリオ」という響きが何となく微生物を連想させるかもしれませんが、腸炎ビブリオとはちみつには直接的な関連はありません。混同注意:ボツリヌス菌が乳児のはちみつ摂取と関連しますが、これは成人の食中毒とは異なり、腸炎ビブリオとは関係ありません。
- 3. ボツリヌス菌は嫌気性菌であり、酸素が遮断された環境(缶詰、瓶詰、真空パック食品など)で菌が増殖し、毒素が産生されることが食中毒の原因となります。生魚介類自体が直接的な原因食品となることは稀で、加工食品での不適切な処理が関与します。正しくは:ボツリヌス菌 → 缶詰、瓶詰、真空パック食品(特に低酸性食品)選びやすい理由:ボツリヌス菌が魚介類由来の製品(燻製魚、発酵魚)に関連することもあるため、生魚介類と結びつけてしまう可能性があります。しかし、より典型的なのは加工食品です。混同注意:生魚介類と強く関連するのは腸炎ビブリオです。
- 4. 黄色ブドウ球菌は、調理者の手指などから食品に付着し、食品中で増殖して毒素を産生することで食中毒を引き起こします。おにぎり、弁当、サンドイッチ、乳製品、卵製品などが主な原因食品であり、生肉が直接の原因となることは一般的ではありません。正しくは:黄色ブドウ球菌 → おにぎり、弁当、調理パン、クリームを使った菓子類選びやすい理由:生肉が調理過程で汚染されることはありますが、黄色ブドウ球菌の食中毒は、調理済み食品が常温で放置された結果、毒素が産生されることが特徴です。混同注意:カンピロバクターやサルモネラは生肉(特に鶏肉)と関連が深いです。
- 5. カンピロバクターの主な原因食品は、生または加熱不十分な鶏肉、汚染された水、生乳です。おにぎりは通常、カンピロバクター食中毒の原因とはなりません。正しくは:カンピロバクター → 生または加熱不十分な鶏肉、生乳選びやすい理由:おにぎりは手で握るため、別の種類の食中毒菌(黄色ブドウ球菌)の原因食品として知られています。そのため、「おにぎり」という食品名に反応して、何らかの食中毒菌と結びつけてしまう可能性があります。混同注意:黄色ブドウ球菌はおにぎりの原因菌として有名です。
国試ポイント
食中毒に関する問題は、原因菌の種類、主な原因食品、潜伏期間、主な症状、予防法など、多角的に問われることが多いです。特に、典型的な組み合わせを正確に覚えることが重要です。今回は原因菌と原因食品の組み合わせの正誤を問う基本的な知識問題です。
混同注意
食中毒の原因菌は数多く存在し、それぞれに特徴的な原因食品、潜伏期間、症状があるため、これらを混同しやすいです。特に、加熱調理後の不適切な温度管理による食中毒(ウェルシュ菌、セレウス菌、黄色ブドウ球菌)と、生食による食中毒(腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラ)の違いを理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、原因菌と原因食品の組み合わせだけでなく、潜伏期間、主な症状、予防法、菌の特徴(例:好気性/嫌気性、芽胞形成/非形成、毒素型/感染型)など、より詳細な知識が問われる可能性があります。特に、ウェルシュ菌食中毒の予防法(急速冷却・再加熱時の十分な加熱)は頻出です。
関連知識
ウェルシュ菌: 芽胞形成菌、嫌気性、熱に強い毒素(エンテロトキシン)、カレー・シチュー・煮魚などの大鍋料理、潜伏期間短め(6-18時間)、腹痛・下痢(嘔吐は稀)。腸炎ビブリオ: 好塩性、生魚介類とその加工品、夏場に多発、潜伏期間短め(2-24時間)、激しい腹痛・下痢・発熱。ボツリヌス菌: 芽胞形成菌、嫌気性、神経毒(ボツリヌス毒素)産生、缶詰・瓶詰・真空パック食品、神経症状(視力障害、嚥下困難、呼吸麻痺)、乳児ボツリヌス症(はちみつ)。黄色ブドウ球菌: 化膿菌、ブドウ球菌エンテロトキシン(耐熱性)、調理者の手指からの汚染、おにぎり・弁当・サンドイッチ・クリーム菓子、潜伏期間極めて短い(1-5時間)、吐き気・嘔吐・腹痛。カンピロバクター: 微好気性、鶏肉(生または加熱不十分)、生乳、汚染水、潜伏期間比較的長い(2-7日)、下痢・腹痛・発熱、ギラン・バレー症候群との関連。