MRIのプロトン密度強調像が有用なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
プロトン密度強調画像(PDWI)は、組織のプロトン密度を主に反映する画像シーケンスです。水分の多い組織では信号が高く、脂肪組織では信号が低く、軟骨や靭帯などプロトン密度が高いがT2緩和時間が短い組織も比較的高い信号を示します。この特性により、膝関節における半月板損傷、靭帯損傷、軟骨変性、関節液貯留などの評価に非常に優れています。T1強調画像よりも関節液や浮腫が高信号となり病変が明瞭に描出され、T2強調画像よりも軟骨や靭帯の信号が適度な高信号となるため、構造のコントラスト分解能が高いとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 子宮の画像診断では、T2強調画像が子宮内膜、筋層、漿膜の各層のコントラスト分解能に優れており、筋腫や腺筋症、癌の評価に最も有用です。プロトン密度強調画像は通常第一選択ではありません。正しくは:子宮の評価にはT2強調画像がより有用である。選びやすい理由:MRIが女性生殖器の評価に広く使われるため、選択肢として魅力的かもしれない。混同注意:MRIの基本的な撮像法は理解していても、各シーケンスの特性と最適な適用部位を混同しやすい。
- 2. 前立腺のMRIでは、T2強調画像が高いコントラスト分解能を持ち、前立腺癌の検出や病期診断に重要です。拡散強調画像(DWI)やダイナミック造影(DCE)も併用され、プロトン密度強調画像単独での有用性は限定的です。正しくは:前立腺の評価にはT2強調画像や拡散強調画像がより有用である。選びやすい理由:前立腺もMRIが頻繁に用いられる部位であるため、誤って選びやすい。混同注意:T2強調画像とプロトン密度強調画像の信号特性が似ているため、具体的な病変の描出における優位性を混同しやすい。
- 3. 乳房MRIでは、造影T1強調画像が癌の検出に最も重要であり、拡散強調画像も悪性病変の評価に用いられます。プロトン密度強調画像は乳腺組織と病変のコントラスト分解能が十分ではなく、主要な撮像法ではありません。正しくは:乳房の評価には造影T1強調画像や拡散強調画像がより有用である。選びやすい理由:乳房MRIも一般的であるため、プロトン密度強調画像が使われると勘違いしやすい。混同注意:MRIの多くの撮像法の中から、乳房疾患に最適なシーケンスを選び間違える可能性がある。
- 4. 正解。膝関節などの関節部位において、プロトン密度強調画像は軟骨、半月板、靭帯、腱などの構造を鮮明に描出し、水や浮腫などの病変を検出するのに非常に有用です。特にT1強調画像よりも軟骨と関節液のコントラストがつきやすく、T2強調画像よりも脂肪抑制を併用することで病変の検出能が高まります。
- 5. 腹部大動脈の評価には、主にMRA(MRアンギオグラフィー)やT1強調画像(造影前後)が用いられます。動脈瘤や解離の診断には、血流情報や壁の性状、血栓の有無などが重要であり、プロトン密度強調画像は特異的な有用性は低いとされています。正しくは:腹部大動脈の評価にはMRAやT1強調画像がより有用である。選びやすい理由:血管系の評価にMRIが使用されることは正しいが、プロトン密度強調画像が最適であると誤解しやすい。混同注意:MRIの様々な撮像法のうち、血管系疾患に最適なMRAとプロトン密度強調画像を混同しやすい。
国試ポイント
MRIの各撮像シーケンス(T1強調、T2強調、プロトン密度強調、拡散強調など)の基本的な原理と、それぞれのシーケンスが診断に特に有用な臓器や疾患の組み合わせを理解しているか問う問題です。単なる知識の有無だけでなく、なぜそのシーケンスが有用なのかという特性を理解しているかが重要となります。
混同注意
T1強調画像とT2強調画像の特性、そしてプロトン密度強調画像の特性を混同しやすい。特に、T2強調画像とプロトン密度強調画像は水が高信号を示す点で似ていますが、脂肪抑制の有無やT2緩和時間の影響度合いが異なり、描出されるコントラストも異なります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各選択肢の部位でMRIがどのように利用されるかを考え、次にプロトン密度強調画像がその部位のどの組織や病変の描出に優れているかを、他のシーケンスと比較して判断する。特に、関節や脳の灰白質・白質のコントラスト評価におけるPDWIの役割を再確認する。
関連知識
MRIの撮像原理(T1緩和、T2緩和)、脂肪抑制法(STIR、FLAIR)、各シーケンスにおける水、脂肪、実質の信号強度、およびそれらが診断にどう応用されるか。各関節部位の解剖と病変の画像所見。