ネフローゼ症候群で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ネフローゼ症候群では、肝臓におけるアルブミンの合成亢進に伴い、リポタンパク質の合成も促進されます。また、異化の低下も加わり、高脂血症(特にLDL-コレステロールの上昇)を呈するのが特徴です。したがって、「LDL-コレステロール低下」は誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. ネフローゼ症候群では、大量の蛋白尿によって血清アルブミンが低下し、膠質浸透圧が減少するため、血管内から間質への水分移動が起こり、全身性の浮腫(特に眼瞼、顔面、下腿など)を引き起こします。正しくは:ネフローゼ症候群では、血清アルブミン低下による膠質浸透圧の減少から全身性浮腫が生じる。選びやすい理由:浮腫はネフローゼ症候群の主要な症状であり、誤っているとは考えにくい。混同注意:腎臓病一般で浮腫はよく見られるため、ネフローゼ症候群の特定の病態生理を理解していなくても正しいと判断しやすい。
- 2. ネフローゼ症候群では、血漿量の減少や腎血流量の低下、また重度の場合は急性腎不全を合併することもあり、乏尿を呈することがあります。正しくは:ネフローゼ症候群では、有効循環血漿量の減少により乏尿を呈することがある。選びやすい理由:浮腫による体液貯留と混同して、尿量が増えるのではないかと誤解する可能性があるが、有効循環血漿量の減少によって乏尿が起こりうる。混同注意:多尿を伴う疾患(例:糖尿病性腎症の初期)と混同する可能性や、腎機能低下による乏尿が慢性腎不全で起きるという知識と混同する可能性。
- 3. ネフローゼ症候群の診断基準の一つであり、腎臓の糸球体基底膜の透過性亢進により、血漿中のタンパク質(主にアルブミン)が大量に尿中へ漏れ出します(1日3.5g以上の蛋白尿)。正しくは:ネフローゼ症候群では、糸球体基底膜の透過性亢進により大量の蛋白尿(1日3.5g以上)が認められる。選びやすい理由:ネフローゼ症候群の最も特徴的な所見であり、誤っているとは考えにくい。混同注意:健常者でも少量の蛋白尿が出ることがあるため、『大量』という点が重要であることを認識していないと誤解する可能性。
- 4. 大量の蛋白尿により、血中のアルブミンが尿中に喪失されるため、血清アルブミン濃度が低下します(低アルブミン血症、血清アルブミン値が3.0g/dL以下)。これはネフローゼ症候群の診断基準の一つです。正しくは:ネフローゼ症候群では、大量の蛋白尿によって血中のアルブミンが失われるため、血清アルブミン濃度が低下する。選びやすい理由:ネフローゼ症候群の主要な特徴であり、低アルブミン血症は浮腫の原因ともなるため、誤っているとは考えにくい。混同注意:他の肝疾患や栄養障害による低アルブミン血症と原因が異なる点を混同する可能性。
- 5. 正解。ネフローゼ症候群では、肝臓でのアルブミン合成が亢進する際に、リポタンパク質(特にVLDLやLDL)の合成も同時に亢進し、さらに異化が低下するため、血中のLDL-コレステロール値は上昇します。低下することはありません。正しくは:LDL-コレステロール値は上昇する。選びやすい理由:コレステロールは一般的に『悪いもの』という認識があり、病気で低下する方が良い、と短絡的に考えてしまう可能性がある。また、腎疾患との関連を深く理解していないと判断に迷う。混同注意:『コレステロール値が異常になる』という大まかな知識はあっても、具体的に『上昇』か『低下』かを混同しやすい。特に、ネフローゼ症候群で血清アルブミンが低下するから他の血中成分も低下すると誤解する可能性。
国試ポイント
ネフローゼ症候群の主要な4徴候(蛋白尿、低アルブミン血症、浮腫、高脂血症)とその病態生理を正確に理解しているかを問う問題です。特に、高脂血症が『上昇』する点で、他の低下する成分との混同を誘っています。
混同注意
ネフローゼ症候群の4徴候(蛋白尿、低アルブミン血症、浮腫、高脂血症)について、それぞれの項目が『増加』するのか『減少』するのかを混同しやすい。特に、血清アルブミンは低下するが、血清コレステロールは上昇するという点で注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
ネフローゼ症候群の病態生理を理解し、各検査値や症状が上昇・低下・発現のいずれに該当するかを正確に判断できるかを確認する。特に、高脂血症の原因と種類(LDLコレステロールだけでなく、VLDLやトリグリセリドも上昇する傾向にあること)についても把握しているかを問う問題に発展する可能性がある。
関連知識
ネフローゼ症候群の診断基準、病態生理(特に肝臓でのアルブミンとリポタンパク質の代謝、膠質浸透圧の低下による浮腫、有効循環血漿量の減少による乏尿など)、および合併症(感染症、血栓塞栓症、急性腎不全など)。