自己免疫性溶血性貧血で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)では、赤血球が破壊されるため、骨髄は代償的に赤血球産生を亢進させます。この結果、未熟な赤血球である網赤血球が多数末梢血に放出されるため、網赤血球数は高値を示します。また、破壊された赤血球から遊離したヘモグロビンが分解されると、非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)が過剰に産生され、肝臓での処理能力を超えると血中濃度が高値となります。これらは溶血の主要な徴候です。
選択肢ごとの解説
- 1. フェリチンは貯蔵鉄を反映するタンパク質であり、溶血性貧血では赤血球が破壊されて鉄が遊離するため、一時的にフェリチン値が上昇することもありますが、診断マーカーとして特異的に高値を示すわけではありません。特に溶血が遷延すると鉄欠乏状態になることもあります。正しくは:フェリチンは通常、貧血のタイプ鑑別において、貯蔵鉄の指標として利用されます。AIHAでは、溶血によって鉄が過剰になる可能性はありますが、貧血の診断で高値を示す主要なマーカーとは言えません。選びやすい理由:溶血によりヘモグロビンが分解され、鉄が体内に過剰になると連想しやすいかもしれません。混同注意:鉄欠乏性貧血や慢性炎症性貧血との鑑別診断における意義と混同しやすいです。
- 2. 正解。自己免疫性溶血性貧血では、赤血球が破壊されることによって貧血が進行します。これに対し、骨髄は赤血球の産生を亢進させるため、未熟な赤血球である網赤血球の数が顕著に増加します。これは骨髄の代償性反応を示す指標です。
- 3. 正解。赤血球が血管内で破壊される(溶血)と、ヘモグロビンが分解されて間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)が大量に産生されます。肝臓での処理能力を超えると、血中の間接ビリルビン濃度が上昇し、黄疸を引き起こすこともあります。これは溶血の主要な検査所見の一つです。
- 4. ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合し、その排泄を促すタンパク質です。溶血性貧血では大量のヘモグロビンが遊離するため、ハプトグロビンが消費され、結果として血中濃度は著しく低下します。高値を示すことはありません。正しくは:ハプトグロビンは溶血性貧血で『低値』を示します。選びやすい理由:溶血でヘモグロビンが増加するため、ヘモグロビンと関連するものが増えるという誤解から選びやすいかもしれません。混同注意:溶血によって減少する他の物質(例:葉酸、ビタミンB12が消費される貧血)や、炎症性疾患で増加する急性期反応物質と混同しやすいです。
- 5. 総鉄結合能(TIBC)は、トランスフェリンが結合できる最大の鉄量を示し、鉄欠乏性貧血で高値を示すことが一般的です。自己免疫性溶血性貧血では、赤血球破壊により鉄が放出されるため、むしろ鉄が過剰気味となり、TIBCは正常値かむしろ低値を示す傾向にあります。高値を示すことは稀です。正しくは:TIBCは通常、鉄欠乏性貧血で『高値』を示しますが、溶血性貧血では正常〜低値を示します。選びやすい理由:貧血であることから鉄代謝異常と関連づけてしまいやすいですが、鉄欠乏性貧血とは異なる病態です。混同注意:鉄欠乏性貧血における鉄代謝マーカーの変化と混同しやすいです。
国試ポイント
溶血性貧血の診断における主要な検査所見、特に高値を示す項目と低値を示す項目を正確に区別できるかが問われています。骨髄の代償性反応(網赤血球)と、赤血球破壊によって生じる代謝産物(間接ビリルビン)の理解が重要です。また、ハプトグロビンのように消費されて低値となる項目との鑑別も重要です。
混同注意
溶血性貧血と鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血など、他の貧血タイプにおける検査所見との混同。特にハプトグロビンが消費されて低値を示すことと、間接ビリルビンが高値を示すことの理解は必須です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、溶血性貧血における『増加するマーカー』と『減少するマーカー』、そして『骨髄の反応』を明確に整理して判断する必要があります。具体的には、網赤血球数、間接ビリルビン、LDH、遊離ヘモグロビンが高値を示し、ハプトグロビンが低値を示すことを確認する。
関連知識
溶血の分類(血管内溶血、血管外溶血)、溶血性貧血の原因疾患、その他の溶血性貧血の検査所見(LDH高値、遊離ヘモグロビン高値、クームス試験陽性など)。