造血器腫瘍患者の骨髄血を用いた染色体核型(G分染法)の結果(別冊No. 13)を別に示す。異常が認められた染色体を矢印で示す。想定される遺伝子異常はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示す画像は、16番染色体に見られる逆位、inv(16)(p13q22)を示しています。この染色体異常は、特に急性骨髄性白血病M4Eo(AMLM4Eo)に特徴的であり、CBFB遺伝子とMYH11遺伝子の融合によってCBFB-MYH11融合遺伝子が生じます。この遺伝子異常は予後良好因子とされており、診断において非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. BCR-ABL1融合遺伝子は、フィラデルフィア染色体t(9;22)(q34;q11)に特徴的です。本問題の画像では、inv(16)(p13q22)が示されています。正しくは:inv(16)を示す画像であれば、BCR-ABL1は想定されません。選びやすい理由:様々な造血器腫瘍の遺伝子異常として頻出であるため、知識の混同があれば選んでしまう可能性があります。混同注意:他の主要な造血器腫瘍関連融合遺伝子と混同しやすいです。
- 2. 正解。CBFB-MYH11融合遺伝子は、急性骨髄性白血病M4Eo(AMLM4Eo)において特異的に認められるinv(16)(p13q22)またはt(16;16)(p13;q22)という染色体異常によって生じます。下に示す画像はinv(16)を示しており、この遺伝子異常と直接関連します。正しくは:正しい選択肢です。
- 3. ETV6-RUNX1融合遺伝子は、主に小児の急性リンパ性白血病(ALL)で認められるt(12;21)(p13;q22)という転座によって生じます。本問題の画像とは異なる染色体異常です。正しくは:inv(16)を示す画像であれば、ETV6-RUNX1は想定されません。選びやすい理由:小児の急性白血病でよく見られる遺伝子異常として、知識があれば選択肢として検討してしまうかもしれません。混同注意:急性白血病の主要な融合遺伝子と混同しやすいです。
- 4. PML-RARA融合遺伝子は、急性前骨髄球性白血病(APL、M3)に特徴的なt(15;17)(q22;q12)という転座によって生じます。本問題の画像で示されているのはinv(16)であり、異なります。正しくは:inv(16)を示す画像であれば、PML-RARAは想定されません。選びやすい理由:急性白血病、特にAPLの治療に関連する重要な遺伝子異常として頻出のため、知識の混同があれば選んでしまう可能性があります。混同注意:APLと他の急性白血病のタイプ、およびそれぞれの特徴的な染色体異常と混同しやすいです。
- 5. RUNX1-RUNX1T1融合遺伝子は、急性骨髄性白血病(AMLM2)において特徴的なt(8;21)(q22;q22)という転座によって生じます。本問題の画像で示されているのはinv(16)であり、異なります。正しくは:inv(16)を示す画像であれば、RUNX1-RUNX1T1は想定されません。選びやすい理由:急性骨髄性白血病の代表的な融合遺伝子であるため、知識の混同があれば選んでしまう可能性があります。混同注意:AMLの主要な融合遺伝子と混同しやすいです。
国試ポイント
G分染法による核型分析画像から、特定の染色体異常(この場合はinv(16))を正確に識別し、それと関連する特徴的な融合遺伝子を紐付けて理解しているかが問われます。特に、主要な造血器腫瘍における染色体異常とその結果生じる融合遺伝子は頻出テーマです。
混同注意
各造血器腫瘍に特異的な染色体異常とそれに関連する融合遺伝子は数多く存在するため、それぞれの組み合わせを正確に記憶しておく必要があります。特に、t(9;22) BCR-ABL1、t(15;17) PML-RARA、t(8;21) RUNX1-RUNX1T1、inv(16) CBFB-MYH11、t(12;21) ETV6-RUNX1などは特に混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の画像問題が出題された場合は、まず異常が認められる染色体番号とその変化(転座、逆位、欠失、付加など)を正確に読み取り、その情報に基づいて選択肢の中から最も関連性の高い遺伝子異常を選びます。また、逆に出題される遺伝子異常から関連する染色体異常を想起できるように訓練が必要です。
関連知識
染色体核型分析の基本、G分染法の原理、主要な造血器腫瘍(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病など)のWHO分類における遺伝子異常の役割、各遺伝子異常の臨床的意義(予後など)。