生体組織の商用交流における導電率の大小関係で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
生体組織の導電率は、主にその組織の水分含有量、電解質濃度、細胞密度、そして細胞膜の電気的特性によって決定されます。特に商用交流のような低周波電流では、細胞膜が絶縁体として働くため、電流は主に細胞外液を流れます。選択肢2の「血清の方が全血よりも導電率が高い」は、全血中の血球が低周波において電流の伝導を妨げる(細胞膜が絶縁体として働くため)ことを考慮すると正しい関係です。
選択肢ごとの解説
- 1. 角質層は皮膚の最外層であり、水分含有量が極めて低く、細胞間の結合も密であるため、電気を通しにくい絶縁体に近い性質を持ちます。対して真皮層は水分や電解質、血管が豊富に含まれているため、導電率が高いです。正しくは:真皮層の方が角質層よりも導電率が高い選びやすい理由:角質層が物理的な保護バリアとして丈夫であるため、電気的にも強い(導電性が高い)と誤解しやすいかもしれません。混同注意:物理的強度やバリア機能と電気的導電率を混同しやすいです。
- 2. 正解。全血には血球成分(主に赤血球)が多量に含まれています。これらの血球細胞は低周波の電流に対しては細胞膜が絶縁体として働き、電流の経路を妨げるため、全血の導電率を低下させます。血清は血球が除去された液体成分であり、イオンを豊富に含むため、全血よりも導電率が高くなります。選びやすい理由:全血には多くの成分が含まれているため、より「濃い」物質として導電率が高いように感じるかもしれませんが、血球の存在が逆に導電性を下げる要因となります。混同注意:成分の多様性と導電性を混同しやすいです。
- 3. 骨髄は造血細胞、脂肪細胞、間質細胞などを多く含み、その組成は複雑で、脂肪成分の割合が高いと導電率は低くなります。一方、リンパ液は血漿に似ており、主に水と電解質から構成されているため、導電性が高いです。正しくは:リンパ液の方が骨髄よりも導電率が高い選びやすい理由:骨髄は活発な組織であるため、導電率も高いと誤解する可能性があります。混同注意:組織の代謝活性や生物学的重要性、細胞の多さと導電率を混同しやすいです。
- 4. 細胞膜は脂質二重層であり、低周波電流に対しては電気抵抗が非常に高く、電流の流れを妨げる絶縁体として機能します。細胞内液はカリウムイオンなどの電解質が豊富に含まれる水溶液であるため、高い導電性を示します。正しくは:細胞内液の方が細胞膜よりも導電率が高い選びやすい理由:細胞膜がイオンチャネルやポンプを持つため、電気的な活動と関連が深いことから、導電率も高いと誤解しやすいかもしれません。混同注意:細胞膜の選択的透過性や電気的な興奮性と、物質の単純な導電率を混同しやすいです。
- 5. 脂肪組織は水分含有量が非常に低く、電気を通しにくい性質(絶縁体に近い)を持っています。筋組織は水分を豊富に含み、電解質濃度も高く、細胞が秩序だって配列しているため、高い導電性を示します。正しくは:筋組織の方が脂肪組織よりも導電率が高い選びやすい理由:脂肪組織が熱の絶縁体としての役割を持つため、電気に対しても同様に何か特別な性質を持つと誤解する可能性があります。混同注意:熱の絶縁性と電気の導電性を混同しやすいです。
国試ポイント
生体組織が示す電気的特性(特に導電率やインピーダンス)について、その物理的・化学的基盤を理解しているか問われます。具体的には、水分量、電解質濃度、細胞密度、脂肪含有量、そして低周波交流における細胞膜の役割が重要です。
混同注意
生体組織の導電率を、その組織の生化学的機能、生理学的役割、物理的強度、または他の物理的特性(例:熱伝導性)と混同しやすい点に注意が必要です。特に細胞膜の役割や、血球のような細胞成分が導電性に与える影響は誤解されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われる場合、高周波交流における生体導電率の変化、特定の病態(例:浮腫、脱水)が生体導電率に与える影響、または生体インピーダンス測定で得られる具体的な数値の意味などについて、より応用的な知識が問われる可能性があります。
関連知識
この問題は、生体インピーダンス測定(BIA)の原理や、体成分分析の基礎知識に繋がります。体水分量、筋肉量、脂肪量などが異なる組織の電気伝導度の違いを利用して体組成を推定する技術です。また、高周波電流と低周波電流における生体組織の導電率の違い(高周波では細胞膜を電流が透過しやすくなる)も関連知識として重要です。