細胞傷害性T細胞のT細胞レセプターで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
細胞傷害性T細胞(CTL)がその機能を果たすためには、まずナイーブT細胞として樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)からMHCクラスI分子を介して抗原ペプチドの提示を受け、同時に共刺激シグナルを受け取ることで活性化・分化します。この初期の活性化段階において、TCRは抗原提示細胞からの刺激を受け取る役割を担います。
選択肢ごとの解説
- 1. T細胞受容体(TCR)の多様性は、V(D)J遺伝子再構成によって生まれます。これはB細胞の免疫グロブリンと同様に、抗原特異性を獲得するために必須のメカニズムです。正しくは:T細胞受容体(TCR)の遺伝子再構成は発生する。選びやすい理由:TCRが細胞表面に固定されているため、抗体のように分泌されないことから、遺伝子再構成の必要性がイメージしにくいかもしれない。混同注意:抗体(B細胞受容体)との違い。抗体もTCRも多様性獲得のために遺伝子再構成を行う。
- 2. 細胞傷害性T細胞(CTL)は、主にMHCクラスI分子に提示された抗原ペプチドを認識します。MHCクラスII分子を認識するのはヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)です。正しくは:MHCクラスI分子による抗原提示に反応する。選びやすい理由:MHCクラスIとMHCクラスIIの区別が曖昧だと誤って選んでしまう。混同注意:MHCクラスI(細胞傷害性T細胞)とMHCクラスII(ヘルパーT細胞)。
- 3. 細胞傷害性T細胞(CTL)は通常CD8陽性T細胞であり、TCRはCD8分子と共役して機能します。CD4分子はヘルパーT細胞の補助受容体です。正しくは:CD8分子と共同して機能する。選びやすい理由:T細胞の主要な共受容体としてCD4とCD8が挙げられるため、どちらか一方を選び間違える可能性がある。混同注意:CD4(ヘルパーT細胞)とCD8(細胞傷害性T細胞)。
- 4. 正解。細胞傷害性T細胞(CTL)は、ナイーブT細胞の状態では樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)からMHCクラスI分子を介して抗原提示を受け、同時に共刺激分子からのシグナルを受けることで活性化・分化します。活性化したCTLは標的細胞を認識・殺傷しますが、最初の活性化には抗原提示細胞による提示が必要です。選びやすい理由:「細胞傷害性T細胞」という名前から、標的細胞を直接攻撃するイメージが強く、抗原提示細胞からの刺激という初期段階の重要性を見落としがちかもしれない。混同注意:活性化後の標的細胞への攻撃と、ナイーブT細胞の初期活性化のプロセス。
- 5. 大部分のTCRはα鎖とβ鎖からなるヘテロ二量体です。γ鎖とδ鎖からなるTCR(γδTCR)も存在しますが、αβTCRとは別のタイプのT細胞であり、一般的な細胞傷害性T細胞のTCRはαβ鎖です。また、四量体ではなく二量体です。正しくは:α鎖とβ鎖からなるヘテロ二量体である(またはγ鎖とδ鎖からなるヘテロ二量体である)。選びやすい理由:TCRには複数の鎖が存在することを知っていても、その組み合わせと構造(二量体か四量体か)を正確に覚えていないと間違えやすい。混同注意:抗体(重鎖2本、軽鎖2本の四量体)とTCR(αβまたはγδの二量体)。
国試ポイント
T細胞受容体(TCR)の基本的な構造、遺伝子再構成、機能、そして主要組織適合性複合体(MHC)との関連性、共受容体(CD4/CD8)との協調について問う問題です。特に細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)がMHCクラスI拘束性であることを理解し、その活性化経路を把握しているかが重要です。
混同注意
TCRとB細胞受容体(抗体)の構造と機能の違い、MHCクラスIとクラスIIの提示経路および認識するT細胞の種類の違い、CD4とCD8の役割の違い。
次に同じ論点が出たら
TCRとMHCの組み合わせ(MHCクラスIとCD8陽性T細胞、MHCクラスIIとCD4陽性T細胞)を正確に理解しているか、TCRの構造(αβまたはγδヘテロ二量体)と遺伝子再構成の重要性を把握しているか。
関連知識
MHCクラスI、MHCクラスII、抗原提示細胞(APC)、CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)、CD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞)、T細胞の分化と活性化、V(D)J遺伝子再構成。