血中薬物濃度測定が有用とされる薬物の特徴はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
血中薬物濃度測定は、薬物の効果発現が血中濃度に強く依存し、かつ、その濃度範囲(治療域)が狭い場合に特に重要となります。また、患者ごとの薬物代謝能力に大きな差がある場合や、過剰投与が重篤な副作用を引き起こす可能性がある場合にも、安全かつ効果的な治療のために血中濃度測定が不可欠です。選択肢4と5は、これらの条件を直接的に表しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 適切な投与量の幅が広い(治療域が広い)薬物は、血中濃度を厳密に管理する必要性が低いため、血中薬物濃度測定の有用性は限定的です。正しくは:適切な投与量の幅が狭い(治療域が狭い)。選びやすい理由:薬物濃度測定は安全管理のためと考える点で、範囲が広いと安全と思い選択しやすい。混同注意:治療域が狭い薬物と混同しやすい。
- 2. 薬物アレルギーの発生は、多くの場合、薬物の血中濃度とは直接相関しません。アレルギー反応は免疫学的機序によるものであり、濃度測定では予防や診断ができません。正しくは:薬理作用が血中濃度と相関する、または過剰投与が重篤な有害作用を起こす。選びやすい理由:有害作用全般の回避が目的と誤解しやすいため。混同注意:用量依存性の有害作用と混同しやすい。アレルギーは特異体質によるもので、濃度依存的ではない。
- 3. 最適な投与量に個人差がない薬物であれば、標準的な投与量で多くの患者に対応できるため、個別の血中濃度測定の必要性は低くなります。正しくは:最適な投与量に大きな個人差がある。選びやすい理由:個人差が小さいなら管理が楽と考え、測定不要と判断できそうだが、設問の意図と逆。混同注意:個人差が大きい薬物と混同しやすい。
- 4. 正解。薬理効果が血中濃度と密接に相関する場合、濃度を測定することで効果の発現を予測し、適切な治療域に維持できるため、薬物濃度測定が非常に有用です。混同注意:薬理効果と血中濃度が無関係な薬物。
- 5. 正解。過剰投与による重篤な有害作用のリスクがある薬物では、血中濃度を監視することで中毒域への移行を防ぎ、安全な治療を確保するために濃度測定が不可欠です。混同注意:軽微な副作用しか起こさない薬物。
国試ポイント
薬物動態学における血中薬物濃度測定の意義を問う問題です。治療域が狭い薬物、個人差が大きい薬物、薬理作用が血中濃度と相関する薬物、重篤な副作用を持つ薬物においてTDMが有用であることを理解しているかを確認します。
混同注意
「至適投与量の範囲が広い(治療域が広い)」「至適投与量の個人差が小さい」などの、血中濃度測定が不要となる条件と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次回は、具体的な薬物名を挙げ、その薬物でTDMが必要な理由を問う問題や、特定の病態(腎機能障害など)におけるTDMの重要性を問う問題が出題される可能性があります。また、TDMの実施手順や測定方法に関する知識も問われるかもしれません。
関連知識
薬物動態学、薬力学、薬物相互作用、治療薬物モニタリング(TDM)の目的と対象薬物(例: ジギタリス製剤、アミノグリコシド系抗生物質、抗てんかん薬、免疫抑制剤)。