血糖コントロール不良の糖尿病で低下する血中成分はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
1,5-AGは、腎臓の尿細管においてグルコースと競合して再吸収される糖アルコールです。血糖値が高く尿糖が排泄される状態では、尿細管におけるグルコース再吸収能力が飽和し、同時に1,5-AGの再吸収も阻害されます。その結果、尿中への1,5-AG排泄量が増加し、血中1,5-AG濃度は低下します。このため、1,5-AGは尿糖排泄を伴う血糖コントロール不良の指標として有用です。他の選択肢の成分は、血糖コントロール不良の糖尿病では一般的に上昇します(乳酸は糖尿病性ケトアシドーシス時など、HbA1cとグリコアルブミンは高血糖の指標、βヒドロキシ酪酸はケトン体)。
選択肢ごとの解説
- 1. 糖尿病性ケトアシドーシスなどでアシドーシスを合併すると、乳酸の産生が増加し、血中濃度は上昇する傾向にあります。低下することはありません。正しくは:血糖コントロール不良の糖尿病では、乳酸は増加傾向を示す。選びやすい理由:アシドーシスとの関連で代謝異常を連想しやすいが、乳酸は上昇する。混同注意:他の代謝産物の異常(ケトン体など)と混同して、一律に低下すると誤解しやすい。
- 2. HbA1cは過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映し、血糖コントロール不良の糖尿病では高血糖が持続するため、血中濃度は上昇します。低下することはありません。正しくは:血糖コントロール不良の糖尿病では、HbA1cは上昇傾向を示す。選びやすい理由:糖尿病の指標であるため、何か変化があることは正しいが、上昇ではなく低下だと誤解する可能性がある。混同注意:HbA1cが血糖コントロールの指標であることは知っていても、その変動の方向を誤解することがある。
- 3. グリコアルブミンは過去約2週間の平均血糖値を反映する指標であり、血糖コントロール不良の糖尿病では高血糖が持続するため、血中濃度は上昇します。低下することはありません。正しくは:血糖コントロール不良の糖尿病では、グリコアルブミンは上昇傾向を示す。選びやすい理由:HbA1cと同様に糖尿病の指標であるため、変化があることは正しいが、上昇ではなく低下だと誤解する可能性がある。混同注意:血糖値と正の相関がある他の糖化タンパク質(HbA1cなど)と同様に考えるべき。
- 4. βヒドロキシ酪酸はケトン体の一種であり、インスリン作用不足により脂肪分解が亢進し、肝臓でのケトン体産生が促進されるため、血糖コントロール不良の糖尿病(特に糖尿病性ケトアシドーシス)では血中濃度が著しく上昇します。低下することはありません。正しくは:血糖コントロール不良の糖尿病では、βヒドロキシ酪酸は上昇傾向を示す。選びやすい理由:代謝異常に伴う物質であるため、その変動方向を誤解しやすい。混同注意:インスリン不足によるエネルギー代謝の変化で、ブドウ糖利用の代わりに増加する他の代替エネルギー源であることを見落としやすい。
- 5. 正解。1,5-AGは食事から摂取され、腎臓で再吸収されます。血糖値が上昇し、尿糖が増加すると、腎臓の尿細管での1,5-AGの再吸収が阻害され、尿中への排泄が増えるため、血中濃度が低下します。これは血糖コントロール不良の指標として用いられます。
国試ポイント
糖尿病の血糖コントロール指標について、各項目の特性と血糖値との関連性(上昇するか低下するか)を正確に理解しているかを問う問題。特に1,5-AGが他の指標とは逆の挙動を示す点が重要。
混同注意
HbA1cやグリコアルブミンといった高血糖で上昇する指標と、1,5-AGのように高血糖(尿糖排泄)で低下する指標を混同しやすい。また、糖尿病性ケトアシドーシスなどで上昇する乳酸やケトン体(βヒドロキシ酪酸)の変動方向を誤解しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各血糖コントロール指標の『何ヶ月/何週間前』の血糖状態を反映するか、また『血糖値との相関が正か負か』を最初に確認する。
関連知識
HbA1c:過去1〜2ヶ月の平均血糖値、グリコアルブミン:過去2週間の平均血糖値、フルクトサミン:過去1〜2週間の平均血糖値、1,5-AG:最近数日の血糖コントロールおよび尿糖の有無。各指標の測定原理、反映期間、および糖尿病病態との関連性を理解する。