脱灰後の中和に用いるのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
脱灰後の組織は酸性状態であり、その後の染色性を確保するために中和が必要です。ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)や硫酸ナトリウムは、残存する酸を中和し、組織の染色性を回復させる効果があります。ミョウバンは媒染剤としての側面も持ち、染色を助ける役割も果たします。リン酸緩衝液は中和には用いられますが、この文脈においてはより適切な選択肢があります。塩酸アルコールは分化液であり、水酸化カリウムは強すぎて組織を損傷させるため不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)は脱灰後の組織に残る酸性成分を中和するために使用されます。これにより、組織の染色性が向上し、後の病理診断に適切な状態になります。
- 2. リン酸緩衝液は組織の洗浄やpH調整に一般的に使用されますが、脱灰後の残存酸を効果的に中和し、かつ染色性を回復させる目的では、ミョウバンや硫酸ナトリウムなどの塩類がより適切です。正しくは:脱灰後の酸を中和し、かつ染色性を回復させるにはミョウバンや硫酸ナトリウムがより適しています。選びやすい理由:リン酸緩衝液はpH調整によく使われるため、中和という言葉から連想しやすいです。混同注意:脱灰後の残存酸の中和と、一般的なpH調整や洗浄目的での緩衝液使用。
- 3. 塩酸アルコールは主にヘマトキシリン染色後の分化(脱色)に用いられる酸性の溶液であり、脱灰後の組織を中和する目的では使用されません。むしろ酸性であるため、中和とは逆の効果をもたらします。正しくは:塩酸アルコールはヘマトキシリン染色後の分化に用いられる試薬です。選びやすい理由:組織処理の一連の流れの中で登場する試薬であるため、知識が曖昧だと選択肢に入れてしまう可能性があります。混同注意:脱灰処理、染色処理、封入処理といった各工程で使用されるさまざまな試薬の役割。
- 4. 水酸化カリウムは強アルカリであり、脱灰後の組織中和には強すぎます。強アルカリは組織構造を損傷させ、その後の染色や診断に悪影響を及ぼす可能性があります。組織構造への影響が少ない弱アルカリや中性塩が適しています。正しくは:脱灰後の中和には、組織への損傷が少ない弱アルカリや中性塩が用いられます。選びやすい理由:中和にはアルカリを用いるという基本的な化学知識から、選択肢として考慮してしまう可能性があります。混同注意:組織に安全な中和剤と、単に酸を中和する強アルカリ。
- 5. 正解。硫酸ナトリウムも脱灰後の酸性成分を中和するために用いられる試薬の一つです。これにより、組織の適切なpH環境が回復し、続く染色工程での反応が円滑に行われます。
国試ポイント
脱灰処理後の組織中和に用いられる具体的な試薬とその役割について問われています。病理組織標本作製における各工程の目的と使用試薬を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
脱灰後の「中和」と、染色後の「分化」や「洗浄」で用いられる試薬との混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、脱灰の種類(酸脱灰、キレート脱灰など)と、それぞれの脱灰液の種類、および脱灰後の処理(中和、水洗など)について、具体的に何を用いるか、その理由も合わせて確認する。また、各試薬の化学的特性と組織への影響も考慮して判断する。
関連知識
病理組織標本作製における脱灰の目的と方法(酸脱灰、キレート脱灰など)、固定、脱水、透徹、包埋、薄切、染色、封入といった一連の工程で使用される試薬とその機能。特に、媒染剤としてのミョウバンの役割。