主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉でクラスⅡ抗原を発現するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
MHCクラスII抗原は、主に抗原提示細胞(APC)に発現します。これらの細胞は、取り込んだ外来性の抗原を分解し、その抗原ペプチドをMHCクラスII分子に結合させて細胞表面に提示することで、Tヘルパー細胞に抗原情報を提示します。代表的なAPCには、マクロファージ、樹状細胞、B細胞が挙げられます。選択肢の中で、この条件に合致するのはマクロファージです。
選択肢ごとの解説
- 1. 血小板は核を持たない細胞断片であり、MHC分子を合成・発現する能力がありません。正しくは:MHCクラスII抗原は有核の抗原提示細胞(APC)に発現します。選びやすい理由:血液成分の一つですが、MHCの発現には関与しません。混同注意:表面に様々な分子を持つため、それらとMHC抗原の発現を混同するかもしれません。
- 2. 好中球は貪食能を持つ白血球ですが、通常MHCクラスII抗原は発現しません。主にMHCクラスI抗原を発現します。正しくは:MHCクラスII抗原は、マクロファージ、樹状細胞、B細胞といった専門の抗原提示細胞に発現します。選びやすい理由:免疫系の細胞であるため、MHCクラスIIも発現しそうだと誤解する可能性があります。しかし、その主な役割は病原体の直接的な排除であり、抗原提示ではありません。混同注意:同じ貪食細胞であるマクロファージと混同しやすいですが、MHCクラスIIの発現は異なります。
- 3. NK細胞はリンパ球の一種ですが、T細胞のようにMHC分子を介した抗原特異的な認識は行いません。そのため、MHCクラスII抗原は発現しません。正しくは:NK細胞は、MHCクラスI分子の発現が低下した細胞やストレスを受けた細胞を認識し、攻撃します。選びやすい理由:リンパ球であり、免疫応答の重要な役割を担うため、MHCクラスIIを発現しそうだと誤解するかもしれません。混同注意:MHCクラスI分子を認識するT細胞や、MHCクラスIIを発現するB細胞などの他のリンパ球と混同しやすいです。
- 4. 神経細胞は免疫系の細胞ではなく、通常、MHCクラスII抗原は発現しません。ほとんどの有核細胞と同様にMHCクラスI抗原は発現し得ますが、クラスIIは発現しません。正しくは:MHCクラスII抗原は、抗原提示を行う特定の免疫細胞に限定されて発現します。選びやすい理由:全ての有核細胞がMHCクラスI抗原を発現することから、MHCクラスIIも何らかの形で発現するのではないかと考えるかもしれません。混同注意:MHCクラスI抗原とMHCクラスII抗原の発現細胞の違いを混同しやすいです。
- 5. 正解。マクロファージは代表的なプロフェッショナルな抗原提示細胞(APC)の一つであり、取り込んだ異物(外来性抗原)を分解し、その抗原ペプチドをMHCクラスII分子上に提示することで、Tヘルパー細胞に抗原情報を伝達します。
国試ポイント
MHCクラスI抗原とMHCクラスII抗原の基本的な違い(発現細胞、提示する抗原の種類、結合するT細胞の種類)は、免疫学の頻出論点です。特に、どの細胞がMHCクラスIIを発現する「抗原提示細胞」であるかを正確に理解しているかが問われます。
混同注意
MHCクラスI抗原がほぼ全ての有核細胞に発現するのに対し、MHCクラスII抗原は特定の免疫細胞(抗原提示細胞)に限定して発現するという違いを混同しやすいです。特に、免疫系に関わる他の白血球(好中球、NK細胞など)がMHCクラスIIを発現するかどうかで迷うことがあります。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、MHCクラスIとクラスIIのそれぞれについて、①発現する細胞の種類(例:クラスIは全ての有核細胞、クラスIIは抗原提示細胞)、②提示する抗原の種類(例:クラスIは細胞内抗原、クラスIIは外来性抗原)、③結合するT細胞の種類(例:クラスIはCD8陽性T細胞、クラスIIはCD4陽性T細胞)を正確に識別できるかを確認しましょう。
関連知識
MHCクラスI抗原は、自己の細胞内抗原(ウイルス感染細胞や腫瘍細胞の抗原など)を細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)に提示します。MHCクラスII抗原は、外来性抗原をTヘルパー細胞(CD4陽性T細胞)に提示します。樹状細胞は最も強力な抗原提示細胞であり、B細胞も抗原特異的にMHCクラスIIを介して抗原提示を行います。