抗原と抗体の結合で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
抗原と抗体の結合は、生体内で可逆的に機能する必要があるため、不可逆的な共有結合ではなく、水素結合、疎水結合、ファンデルワールス力、イオン結合といった比較的弱い非共有結合の集合によって形成されます。これらの弱い結合が多数集まることで、高い特異性と親和性が実現されます。したがって、共有結合が関与するという選択肢が「適切でない」記述となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。抗原と抗体の結合は、非常に強い共有結合ではなく、比較的弱い非共有結合によって形成されます。これは、抗原抗体反応が可逆的であり、必要に応じて結合と解離を繰り返す必要があるためです。共有結合は通常、生体内の抗原抗体反応には関与しません。
- 2. 水素結合は、抗原と抗体の結合において重要な役割を果たす主要な非共有結合の一つです。分子間の特異性と親和性の形成に寄与します。正しくは:選択肢の記述自体は正しいですが、問題文が「適切でないもの」を問うているため、これは誤答となります。選びやすい理由:抗原抗体反応に実際に存在する結合様式であるため、問題文の「適切でないもの」を見落とすと、正しい記述として選んでしまう可能性があります。混同注意:他の非共有結合(疎水結合、ファンデルワールス力、イオン結合)との役割の区別が曖昧な場合や、共有結合との根本的な違いを理解していない場合に混乱する可能性があります。
- 3. 疎水結合は、水分子を避けるように非極性部分同士が相互作用する結合であり、抗原抗体複合体の形成において重要な非共有結合です。特に、結合部位の立体構造の適合性に大きく貢献します。正しくは:選択肢の記述自体は正しいですが、問題文が「適切でないもの」を問うているため、これは誤答となります。選びやすい理由:同上。混同注意:同上。
- 4. ファンデルワールス力は、すべての分子間に働く弱い引力であり、抗原と抗体の結合においても多数の微小な力が集まることで、結合の安定性に寄与します。これも非共有結合の一種です。正しくは:選択肢の記述自体は正しいですが、問題文が「適切でないもの」を問うているため、これは誤答となります。選びやすい理由:同上。混同注意:同上。
- 5. イオン結合(静電的相互作用)は、抗原と抗体の結合部位にある電荷を帯びたアミノ酸残基間で生じる引力であり、特異性や親和性を高める重要な非共有結合の一つです。正しくは:選択肢の記述自体は正しいですが、問題文が「適切でないもの」を問うているため、これは誤答となります。選びやすい理由:同上。混同注意:同上。
国試ポイント
抗原と抗体の特異的結合を支える主な分子間力(非共有結合)の種類を正確に理解しているか、また共有結合がこの反応に適さない理由を把握しているかを問う問題です。
混同注意
共有結合と非共有結合(水素結合、疎水結合、ファンデルワールス力、イオン結合)それぞれの特徴と、それらが抗原抗体反応の可逆性や特異性にどのように寄与するかの理解が混同されやすい点です。特に、共有結合が生体内の抗原抗体反応には不適切であるという点をしっかり区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出題された場合、抗原抗体結合の「可逆性」や「特異性」というキーワードを手がかりに、どのような種類の結合がそれに適しているかを判断できるようになるべきです。また、各非共有結合が具体的にどのようなアミノ酸残基間で生じるかといった詳細な知識も問われる可能性があります。
関連知識
免疫グロブリン(抗体)の構造、エピトープとパラトープ、抗原抗体反応の特異性・親和性・アビディティ、さまざまな抗原抗体反応の応用(ELISA、凝集反応、免疫染色など)における結合の原理。