血液培養検査で培養陽性になった好気ボトル内容液のGram染色標本(別冊No. 11)を別に示す。嫌気ボトルは培養陰性であった。分離菌はオキシダーゼテスト陽性であった。推定されるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
血液培養で好気ボトルのみが陽性となり、嫌気ボトルが陰性であることから、分離菌は偏性好気性菌であることが強く示唆されます。さらに、グラム染色でグラム陰性桿菌が確認され、オキシダーゼテストが陽性であったという情報があります。これらの特徴をすべて満たすのはPseudomonas aeruginosaです。Acinetobacter baumannii、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniaeはいずれもオキシダーゼ陰性です。Haemophilus influenzaeはオキシダーゼ陽性ですが、通常は小型の多形性桿菌であり、グラム染色で示される形態とは一致しにくいです。
選択肢ごとの解説
- 1. Acinetobacter baumanniiはグラム陰性桿菌ですが、オキシダーゼテストは陰性です。本問題の菌はオキシダーゼテスト陽性です。正しくは:オキシダーゼテストが陰性であれば、Acinetobacter baumanniiの可能性を考慮します。選びやすい理由:グラム陰性桿菌である点は共通していますが、オキシダーゼテストの結果が異なります。混同注意:他のグラム陰性桿菌でオキシダーゼ陰性の菌種と混同しやすいです。
- 2. Escherichia coliはグラム陰性桿菌ですが、オキシダーゼテストは陰性です。本問題の菌はオキシダーゼテスト陽性です。正しくは:オキシダーゼテストが陰性であれば、Escherichia coliの可能性を考慮します。選びやすい理由:グラム陰性桿菌であり、臨床検体からよく検出されるため、選択肢として魅力的ですが、オキシダーゼテストの結果が異なります。混同注意:腸内細菌科細菌群(Enterobacteriaceae)の他の菌種と混同しやすいです。
- 3. Haemophilus influenzaeはグラム陰性桿菌ですが、嫌気性ボトルが陰性で、好気性ボトルのみ陽性という培養所見と、下図のグラム染色所見(太い桿菌)とは整合性が低いです。Haemophilus influenzaeは多形性を示す小型のグラム陰性桿菌で、衛星現象を必要とすることがあります。正しくは:Haemophilus influenzaeはX因子、V因子、または両方を要求する小型のグラム陰性多形桿菌です。また、嫌気性培養陰性の情報は判断材料になりますが、本菌は好気条件でも増殖します。グラム染色で太い桿菌が見られる場合、Haemophilus influenzaeの可能性は低いです。選びやすい理由:グラム陰性桿菌である点は共通していますが、グラム染色の形態が異なります。混同注意:他の小型のグラム陰性桿菌と混同しやすいです。
- 4. Klebsiella pneumoniaeはグラム陰性桿菌ですが、オキシダーゼテストは陰性です。本問題の菌はオキシダーゼテスト陽性です。正しくは:オキシダーゼテストが陰性であれば、Klebsiella pneumoniaeの可能性を考慮します。選びやすい理由:グラム陰性桿菌であり、肺炎などの臨床検体からよく検出されるため、選択肢として魅力的ですが、オキシダーゼテストの結果が異なります。混同注意:他の腸内細菌科細菌群(Enterobacteriaceae)の菌種と混同しやすいです。
- 5. 正解。Pseudomonas aeruginosaはグラム陰性桿菌であり、オキシダーゼテスト陽性です。また、偏性好気性菌であるため、好気性ボトルのみが陽性となり、嫌気性ボトルが陰性という培養結果と一致します。下図のグラム染色で示される比較的細長い桿菌の形態とも合致します。選びやすい理由:グラム陰性桿菌、オキシダーゼ陽性、偏性好気性という特徴がすべて揃っているため、最も可能性が高いと判断できます。混同注意:他のオキシダーゼ陽性グラム陰性桿菌(例: Burkholderia, Stenotrophomonasなど)と混同することもありますが、培養特性や臨床的頻度を考慮すると本菌が最も典型的です。
国試ポイント
本問題は、グラム染色所見(グラム陰性桿菌)、培養所見(好気のみ陽性、嫌気陰性)、生化学的性状(オキシダーゼ陽性)という複数の検査結果を総合的に判断し、推定される菌種を同定する能力を問う問題です。特に、偏性好気性菌であることと、オキシダーゼ陽性という特徴がPseudomonas aeruginosaの鑑別に重要です。
混同注意
グラム陰性桿菌でありながらオキシダーゼ陰性の腸内細菌科細菌群(Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeなど)や、オキシダーゼ陽性だが偏性好気性ではない菌種(Vibrio spp.など)と混同しやすいです。また、Acinetobacter spp.はグラム陰性桿菌で偏性好気性ですが、オキシダーゼ陰性である点が鑑別点となります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まずグラム染色でグラム陽性か陰性か、球菌か桿菌かを確認し、次に培養条件(好気・嫌気どちらで増殖するか)、そしてオキシダーゼテストやカタラーゼテストなどの主要な生化学的性状を組み合わせることで、菌種の絞り込みを行います。特に、偏性好気性か通性嫌気性かの判断は、血液培養ボトルの陽性結果(好気・嫌気の両方か、片方のみか)から推測できる重要な情報です。
関連知識
Pseudomonas aeruginosaは、日和見感染の原因菌として重要であり、特に緑膿菌感染症として知られています。多剤耐性菌(MDRP)としても問題視されており、その臨床的意義も大きいです。グラム陰性桿菌でオキシダーゼ陽性の菌には他にBurkholderia spp.、Stenotrophomonas maltophiliaなどもありますが、それぞれの特徴(例えばStenotrophomonasはオキシダーゼ陰性の株が多い、Burkholderiaはグラム染色でやや湾曲した桿菌など)を理解しておくことが重要です。