透過型電子顕微鏡標本作製法と試薬の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
透過型電子顕微鏡の標本作製における脱水工程では、組織中の水分を除去し、その後の包埋剤との混和性を高めるために、エタノールが一般的に使用されます。この組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 透過型電子顕微鏡の固定には、主にグルタルアルデヒドや四酸化オスミウムが用いられます。ホルマリンは光学顕微鏡の固定に広く使われますが、電子顕微鏡ではタンパク質の架橋が不十分で、微細構造の保存には不向きです。正しくは:固定:グルタルアルデヒドまたは四酸化オスミウム選びやすい理由:ホルマリンが一般的な固定液であるため、深く考えずに選んでしまう可能性があります。混同注意:光学顕微鏡標本の固定液と混同しやすいです。
- 2. 正解。透過型電子顕微鏡の標本作製では、樹脂に包埋する前に、組織中の水分を完全に除去するためにエタノール(またはアセトン)を用いて段階的に脱水します。これは正しい組み合わせです。選びやすい理由:一般的な標本作製工程として正しいですが、他の選択肢との比較で確信を持つ必要があります。混同注意:特に混同するものはありませんが、他の脱水剤(アセトン)も使用可能です。
- 3. 透過型電子顕微鏡の標本作成では、脱水後に包埋樹脂に浸透させるため、脱水剤と包埋樹脂の双方に混和する中間液を使用します。キシレンは光学顕微鏡のパラフィン包埋における中間液として使われますが、電子顕微鏡ではプロピレンオキシドなどが一般的です。正しくは:置換:プロピレンオキシド選びやすい理由:キシレンが一般的な置換剤として知られているため、正しいと誤解しやすいです。混同注意:光学顕微鏡標本の置換剤と混同しやすいです。
- 4. 透過型電子顕微鏡で観察する超薄切片を作成するには、非常に硬い包埋剤が必要です。パラフィンは光学顕微鏡用の包埋剤であり、超薄切片の作成には不向きです。電子顕微鏡ではエポキシ樹脂などが用いられます。正しくは:包埋:エポキシ樹脂選びやすい理由:パラフィンが一般的な包埋剤として知られているため、正しいと誤解しやすいです。混同注意:光学顕微鏡標本の包埋剤と混同しやすいです。
- 5. 透過型電子顕微鏡の電子染色は、電子散乱能の高い重金属塩(酢酸ウラン、クエン酸鉛など)を用いて行われ、構造のコントラストを高めます。タンニン酸は、透過型電子顕微鏡の固定段階で細胞外マトリックスの保持や、一部の陽性染色に補助的に使われることはありますが、主な「電子染色」試薬ではありません。正しくは:電子染色:酢酸ウラン、クエン酸鉛選びやすい理由:「染色」という言葉とタンニン酸が結びつきやすく、適切な試薬だと誤解することがあります。混同注意:タンニン酸の役割や、電子染色に使用される実際の重金属塩と混同しやすいです。
国試ポイント
透過型電子顕微鏡(TEM)の標本作製法における各工程で使用される主要な試薬に関する知識が問われています。特に光学顕微鏡との違いを明確に理解しているかが重要です。
混同注意
透過型電子顕微鏡の標本作製と光学顕微鏡の標本作製で使用される試薬が非常に混同しやすいです。特に、固定液(ホルマリン vs グルタルアルデヒド/四酸化オスミウム)、中間液(キシレン vs プロピレンオキシド)、包埋剤(パラフィン vs エポキシ樹脂)の違いを区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各工程(固定、脱水、置換、包埋、染色)で光学顕微鏡用と電子顕微鏡用とでどのような試薬が使われるのか、その違いと理由を正確に想起できるかを確認します。
関連知識
固定(一次固定、二次固定)、脱水、中間処理(置換)、包埋、超薄切片作製、電子染色(コントラスト付与)、支持膜、グリッド、観察原理。