尿沈渣の無染色標本(別冊No. 2)を別に示す。矢印で示す結晶はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
コレステロール結晶は、無色透明で、四角形または長方形の隅に切り込み(階段状または切痕)が入った特徴的な板状の結晶として観察されます。これは尿中に大量のコレステロールが存在する病態(ネフローゼ症候群、重度の脂質代謝異常など)で出現する異常結晶です。他の選択肢の結晶とは形状が明確に異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿酸結晶は、黄色から茶色の菱形、樽形、ロゼット形など多様な形態を示すが、画像のような特徴的な階段状、四角形、あるいは長方形の形状はとらない。正しくは:画像に示す結晶はコレステロール結晶の特徴である。尿酸結晶は主に酸性尿で析出し、通風や白血病などで増加する。選びやすい理由:尿沈渣で一般的な結晶であるため、選択肢として考えやすいかもしれない。混同注意:尿酸結晶とコレステロール結晶はどちらも病的な状況で出現する可能性があるため、混同しやすい。
- 2. シスチン結晶は、無色透明な六角形(正六角形に近い)の板状結晶として観察される。画像に示す結晶の形状とは明らかに異なる。正しくは:画像に示す結晶はコレステロール結晶の特徴である。シスチン結晶は主に酸性尿に出現し、シスチン尿症で認められる。選びやすい理由:異常結晶であり、その特徴的な形状を想起させるため、誤って選ぶ可能性がある。混同注意:シスチン結晶も無色透明な異常結晶であるため、他の異常結晶と混同することがある。
- 3. ビリルビン結晶は、黄褐色で針状や顆粒状、あるいは不定形の塊として観察される。画像に示す無色透明で階段状の結晶とは形状や色調が一致しない。正しくは:画像に示す結晶はコレステロール結晶の特徴である。ビリルビン結晶は閉塞性黄疸などで出現する。選びやすい理由:肝疾患などでの病的な結晶であるため、異常所見として認識し、選択肢に入れる可能性がある。混同注意:他の色を持つ病的な結晶(例:チロシン結晶など)と混同することがある。
- 4. 正解。画像に示す結晶は、無色透明で、四角形または長方形の隅が欠けた(階段状、切痕状と呼ばれる)板状の形状をしており、コレステロール結晶に特徴的な形態です。これは脂質代謝異常やネフローゼ症候群などで認められる病的な結晶です。選びやすい理由:コレステロール結晶は比較的稀な異常結晶であるため、知識があいまいな場合に迷うことがあるが、特徴的な形状を覚えていれば判別できる。混同注意:他の無色透明な異常結晶(シスチン結晶など)と混同しやすいが、形状が明確に異なる(シスチンは六角形)。
- 5. リン酸アンモニウムマグネシウム結晶(ストラバイト)は、無色透明で「棺の蓋」のような特徴的な形状(長方形の角が斜めにカットされたような形)を示す。画像に示す結晶の階段状の形状とは異なる。正しくは:画像に示す結晶はコレステロール結晶の特徴である。リン酸アンモニウムマグネシウム結晶は主にアルカリ性尿で出現し、尿路感染症などで認められる。選びやすい理由:無色透明な結晶であるため、形状が類似していると誤解して選択する可能性がある。混同注意:尿中でよく見られる結晶であり、他の無色透明な結晶、特にリン酸カルシウムなどのリン酸塩系の結晶と混同しやすい。
国試ポイント
尿沈渣の異常結晶について、その形態的特徴を画像から正確に識別できるかどうかが問われる問題です。特にコレステロール結晶のような、出現頻度は高くないものの特徴的な形態を持つ結晶の知識が重要となります。
混同注意
尿酸結晶、シスチン結晶、リン酸アンモニウムマグネシウム結晶など、他の無色透明または淡色の結晶と混同しやすい。それぞれの結晶の形態的特徴(色、形状、大小、集合状態など)を正確に把握しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合、まず結晶の色調(無色透明か、有色か)を確認し、次に形状(板状、針状、六角形、四角形、不定形など)、そして特徴的な構造(階段状、棺の蓋状、菱形など)に注目して判断する。
関連知識
コレステロール結晶は、尿細管性疾患、ネフローゼ症候群、重度の動脈硬化症、糖尿病性腎症などで見られることがあります。脂質尿、脂肪円柱、卵円形脂肪体などと共に認められることも多いです。無染色標本での観察が基本ですが、偏光顕微鏡下ではマルタ十字を示すことがあります。