尿沈渣無染色標本(別冊No. 1A)とSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。この構造物はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図Aの無染色標本では、ほぼ透明で薄い円柱状の構造物が確認されます。下図BのSternheimer染色標本では、この構造物が全体的に淡い青紫色に染まっており、内部に細胞成分や顆粒をほとんど含みません。これらの特徴は、Tamm-Horsfallタンパク質を主成分とする硝子円柱に典型的です。硝子円柱は健常者の尿中にも少量見られることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。画像A(無染色)ではほぼ無色透明で屈折率が低い円柱状の構造物が確認でき、画像B(Sternheimer染色)では全体が薄い青紫色に染まっています。これらは硝子円柱の典型的な特徴と一致します。硝子円柱は主にTamm-Horsfallタンパク質で構成されており、健常者でも見られることがあります。
- 2. 脂肪円柱は円柱内に脂肪滴(マラリア十字を示すコレステロールエステルを含む)を含み、偏光顕微鏡で特徴的な偏光を示すのが特徴です。無染色標本では脂肪滴のきらめきが見られるはずですが、この画像では確認できません。正しくは:脂肪円柱であれば、円柱内に油滴状の封入物が見られ、偏光顕微鏡下でマラリア十字を示す脂肪顆粒が認められます。選びやすい理由:円柱状という共通点から選択肢に入りやすいですが、内部の封入物が異なります。混同注意:他の円柱と混同しやすいですが、内部構造と偏光性で鑑別します。
- 3. 赤血球円柱は、円柱内に赤血球を多数封入しています。無染色標本では赤褐色の赤血球が確認できるはずですが、この画像ではそうした特徴は見られません。正しくは:赤血球円柱であれば、円柱の中に多数の赤血球が含まれており、赤褐色に見えます。選びやすい理由:腎性の血尿と関連が深いため、知識として連想しやすいですが、画像所見が異なります。混同注意:赤血球円柱は糸球体腎炎の診断に重要であり、その形態を正確に覚える必要があります。
- 4. ろう様円柱は、通常、硝子円柱や顆粒円柱が変性・分解して形成され、幅が広く、表面が滑らかで光沢があり、強い屈折性を持つのが特徴です。画像中の構造物は、そこまで強い屈折性や光沢を示していません。正しくは:ろう様円柱であれば、より幅が広く、均質で強い屈折性を示し、折れたりねじれたりすることがあります。選びやすい理由:腎疾患の進行と関連が深いため、知識として選びやすいですが、画像所見が異なります。混同注意:硝子円柱、顆粒円柱、ろう様円柱は円柱の種類として関連がありますが、成熟度と変性の程度で鑑別します。
- 5. フィブリン円柱は、腎臓の糸球体や尿細管内でフィブリンが重合して形成される円柱です。一般的に血尿やネフローゼ症候群で出現することがありますが、この画像のような透明な構造物とは異なります。正しくは:フィブリン円柱であれば、通常は無染色でも線維状の構造が確認でき、タンパク質の染色で陽性を示します。選びやすい理由:腎疾患時に出現する円柱として連想される可能性があります。混同注意:様々な円柱が存在するため、それぞれを正確に鑑別する知識が必要です。
国試ポイント
尿沈渣の形態学的な鑑別、特に円柱の種類とそれぞれの特徴(無染色、染色後の色調、内部構造)が問われています。硝子円柱は、透明度、染色性、内部封入物の有無がポイントです。
混同注意
硝子円柱は、初期の顆粒円柱や、薄い細胞円柱、ムコイド物質と混同されやすいことがあります。それぞれの円柱の形成機序と形態学的特徴を正確に理解しておくことが重要です
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず無染色での透明度と屈折性を確認し、次に染色後の色調と内部構造(細胞、顆粒、脂肪滴など)の有無と種類に注目して鑑別を行います。
関連知識
尿沈渣の主要な円柱(硝子円柱、赤血球円柱、白血球円柱、上皮円柱、顆粒円柱、ろう様円柱、脂肪円柱)の形態、臨床的意義、およびそれらが出現する疾患。Sternheimer染色、スメッジ染色などの各種染色の目的と結果。Tamm-Horsfallタンパク質の生理的役割。