生体組織の電気的性質で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
生体組織の電気伝導度(導電率)は、主に水分含有量と電解質濃度によって決まります。血液は水分と電解質が豊富であるため導電率が高く、逆に脂肪組織は水分が少ないため導電率が低いという性質があります。したがって、「血液は脂肪に比べ導電率が低い」という記述は、この事実と矛盾するため誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。血液は、電解質を豊富に含む水分を多く含んでいるため、非常に電気を通しやすい(導電率が高い)組織です。一方、脂肪組織は水分含有量が少なく、電気を通しにくい(導電率が低い)性質があります。したがって、「血液が脂肪組織よりも電気を伝えにくい」という記述は誤りです。正しくは:血液は脂肪組織よりも電気を伝えやすい(導電率が高い)。選びやすい理由:生体組織ごとの導電率の相対的な比較について、知識が曖昧だと判断に迷いやすいです。脂肪が絶縁体に近い性質を持つことは知っていても、血液との比較で誤解が生じることがあります。混同注意:組織の水分含有量と導電率の関係について、逆の認識をしている場合に混同しやすいです。水分と電解質が多いほど導電率は高くなります。
- 2. 体液中の電解質イオンの運動は温度に影響されるため、体液の電気伝導度(導電率)は温度が上昇すると活発になり、結果として増加します。これは正しい記述です。
- 3. 骨格筋は筋線維が特定の方向に規則正しく並んでいるため、電流が筋線維に沿って流れる場合と、横切って流れる場合とで電気伝導度が異なります。筋線維に沿った方向の方が電気伝導度は高くなります。このように、方向によって電気的性質が異なることを異方性と言い、骨格筋ではこの異方性が強いです。これは正しい記述です。混同注意:異方性という言葉の定義や、それが生体組織の構造(特に筋組織の線維配列)とどのように関連するかを理解していないと、判断に迷うかもしれません。
- 4. 細胞外液は電解質イオンを豊富に含んだ水溶液であり、電気を非常に良く通します。一方、細胞膜は主に脂質二重層から構成されており、電気抵抗が非常に高く、ほとんど電気を通しません(絶縁体に近い性質)。したがって、細胞外液が細胞膜に比べて電気をよく通すという記述は正しいです。
- 5. 低周波電流は細胞膜を透過しにくく、主に細胞外液を流れますが、高周波電流になると、細胞膜のインピーダンス(交流抵抗)が低下し、細胞膜を比較的容易に通過できるようになります。このため、細胞内外液全体が電流経路となり、結果として生体組織全体の電気伝導度(導電率)が高くなります。これは正しい記述です。混同注意:生体組織における電流の周波数依存性、特に細胞膜のインピーダンス特性に関する知識が不足していると、判断を誤る可能性があります。一般的な電気回路の知識だけでは判断しにくい側面です。
国試ポイント
この問題は、生体組織(血液、脂肪、体液、骨格筋、細胞内外)における電気的性質の基本的な理解と、その要因(水分量、電解質、温度、構造、周波数)に関する知識を総合的に問うものです。特に、導電率の相対的な高低、温度依存性、異方性、周波数依存性といった特性の正確な把握が求められます。
混同注意
各組織の導電率の大小関係(特に血液と脂肪、細胞外液と細胞膜)や、導電率に影響を与える要因(温度、周波数)が逆の解釈で記憶されている場合。異方性や周波数依存性といった専門用語の正確な理解が不足している場合。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、まず各生体組織の水分含有量と電解質濃度を基に導電率の基本的な傾向を考えます。次に、温度や周波数といった物理的条件が導電率にどのように影響するか、最後に筋組織などの構造が電気伝導度に与える影響(異方性)を考慮して判断します。特に「〇〇は△△より高い/低い」という比較表現には注意が必要です。
関連知識
生体インピーダンス、生体電気現象、生体電位の発生原理、電気刺激療法における周波数選択の意義、MRIや医用画像のコントラストに影響する組織特性。