脂肪便が認められるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
脂肪便は、脂肪の消化吸収不良によって引き起こされます。膵臓から分泌される膵リパーゼは、食事中の脂肪を消化するために不可欠な酵素です。慢性膵炎では、膵臓の機能が長期にわたって障害され、膵リパーゼの分泌が著しく低下します。これにより、脂肪が十分に分解されず、消化されていない脂肪が便中に多く排出され、特徴的な脂肪便(白色または黄色のべとべとした便で、水に浮きやすく、悪臭がする)となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝硬変では胆汁酸の生成が低下し、脂肪の消化吸収不良をきたす可能性がありますが、直接的な脂肪便の主要な原因としては慢性膵炎の方が一般的です。肝機能不全が重度の場合に脂肪便を呈することもありますが、より直接的な原因ではありません。正しくは:肝硬変は胆汁酸の産生低下により脂肪吸収障害を引き起こす可能性がありますが、慢性膵炎に比べると脂肪便の直接的な原因としては頻度が低い。選びやすい理由:脂肪の代謝に関わる肝臓の疾患であるため、関連があるように思える。混同注意:肝臓は脂肪代謝の中心臓器であり、胆汁酸産生に関与するため、脂肪便との関連を想起しやすい。
- 2. 大腸癌は主に便潜血、便通異常、腹痛などを引き起こしますが、脂肪の消化吸収に直接影響を与えないため、脂肪便の主な原因とはなりません。正しくは:大腸癌は消化管の通過障害や出血などを引き起こすが、脂肪の吸収不良に直接関与しないため脂肪便は通常見られない。選びやすい理由:消化器系の疾患であるため、便の異常を伴う可能性があると思われる。混同注意:消化器疾患全般が便の異常を引き起こすという漠然とした知識と混同しやすい。
- 3. 食道潰瘍は嚥下障害や胸痛、出血などを引き起こしますが、脂肪の消化吸収過程には全く関与しないため、脂肪便の原因とはなりません。正しくは:食道潰瘍は上部消化管の疾患であり、脂肪の消化吸収には直接関連しないため脂肪便は通常見られない。選びやすい理由:消化器系の病変であるため、便に異常をきたす可能性を連想するかもしれない。混同注意:消化器系の他の疾患との区別があいまいだと、便の異常全般の原因として考えてしまう可能性がある。
- 4. 正解。慢性膵炎では、膵臓の機能が低下し、脂肪を分解する膵リパーゼの分泌が不足します。これにより、消化されていない脂肪が便中に多く排出されるため、脂肪便を呈します。これは脂肪便の代表的な原因疾患です。
- 5. 胃粘膜下腫瘍は胃の壁の深部に発生する腫瘍であり、出血や腹部不快感などを引き起こすことがありますが、脂肪の消化吸収には直接的な影響を与えないため、脂肪便の原因とはなりません。正しくは:胃粘膜下腫瘍は胃の疾患であり、脂肪の消化吸収には直接関連しないため脂肪便は通常見られない。選びやすい理由:消化器系の腫瘍であるため、消化吸収に影響があるように思えるかもしれない。混同注意:消化器系の腫瘍一般が消化吸収不良を引き起こすという誤解と混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、脂肪便の原因疾患として最も代表的なものを選択させることで、消化吸収の生理学と疾患の病態生理学の基本知識を問うています。特に膵臓の消化酵素の重要性を理解しているかがポイントです。各選択肢の疾患がどのような消化器症状を引き起こすかを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
脂肪便と、その他の消化器疾患による便の異常(下痢、便秘、血便など)を混同しないように注意が必要です。また、肝硬変も脂肪吸収不良の原因となりうるため、鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、脂肪便の原因として「膵臓の酵素不足」「胆汁酸の不足」「小腸の吸収障害」の3つの主要な病態生理を念頭に置き、各疾患がどの機序に該当するかを判断する。また、各疾患の他の主要症状も関連付けて覚える。
関連知識
脂肪の消化吸収プロセス(胆汁酸の乳化作用、膵リパーゼによる分解、ミセル形成、小腸からの吸収)、脂肪便以外の吸収不良症候群の原因(セリアック病、クローン病など)、各消化器疾患の主要な症状。脂肪便の検査法(定性検査、便中脂肪定量検査)。