らせん菌はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息するらせん状のグラム陰性菌です。この菌は、その特徴的ならせん状の形態により、狭い環境下でも効率的に運動し、胃粘膜深部に侵入・定着することができます。特に、鞭毛を持つことで運動性を確保し、胃酸から逃れるためにウレアーゼを産生してアンモニアを作り出し、自身の周囲を中和します。この形態と機能が、らせん菌としての分類の根拠となります。
選択肢ごとの解説
- 1. Actinomyces israelii(アクチノミセス・イスラエリ)は、グラム陽性の嫌気性桿菌であり、その形態は分岐した糸状(放線菌)を呈しますが、らせん状ではありません。正しくは:Actinomyces israeliiはグラム陽性嫌気性桿菌(放線菌)である。選びやすい理由:「アクチノミセス」という名前から放線菌(糸状菌)を連想させますが、らせん菌とは形態が異なります。菌種名と形態の直接的な関連性が薄い場合があるため、混同しやすいです。混同注意:糸状菌や桿菌の形態。
- 2. Bordetella pertussis(ボルデテラ・パータシス)は、グラム陰性の好気性短桿菌であり、百日咳の原因菌ですが、らせん状の形態ではありません。正しくは:Bordetella pertussisはグラム陰性好気性短桿菌である。選びやすい理由:重要な病原菌として認識されているため、他の特徴と混同してしまいがちです。混同注意:グラム陰性菌であることや、病原性といった他の特徴。
- 3. 正解。Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)は、らせん状のグラム陰性菌です。胃炎や消化性潰瘍の原因菌として知られています。選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 4. Listeria monocytogenes(リステリア・モノサイトゲネス)は、グラム陽性の通性嫌気性桿菌であり、リステリア症の原因菌ですが、らせん状の形態ではありません。正しくは:Listeria monocytogenesはグラム陽性通性嫌気性桿菌である。選びやすい理由:グラム陽性菌であることや、食品媒介感染症の原因菌としての知名度が高いため、形態以外の特徴に意識が向きやすいです。混同注意:グラム陽性菌であることや、特徴的な運動性(細胞内運動やタンブリング運動)。
- 5. Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニエ)は、細胞壁を持たない最小の原核生物であり、不定形(多形性)を示すことが特徴ですが、らせん状ではありません。異型肺炎の原因菌です。正しくは:Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を持たない多形性の細菌である。選びやすい理由:細胞壁を持たないという特徴から形態が固定されていないことを知っていても、それが「らせん状」と誤認される可能性があります。また、肺炎の原因菌として重要であるため、菌種としての認識度が高いです。混同注意:細胞壁を持たないことによる形態の多様性や、他の定型的な細菌形態。
国試ポイント
細菌の形態分類(球菌、桿菌、らせん菌など)と代表的な菌種を正確に覚えることが重要です。特に、らせん菌にはスピロヘータ(梅毒トレポネーマ、ボレリア、レプトスピラなど)とカンピロバクター科の菌(ヘリコバクター、カンピロバクターなど)が含まれることを理解しましょう。
混同注意
細菌の形態分類は、菌種を特定する上で非常に基本的な情報です。らせん菌と桿菌、あるいは球菌との区別が曖昧になりがちですが、それぞれの代表的な菌種を形態と関連付けて記憶することで混同を防げます。例えば、大腸菌は桿菌、ブドウ球菌は球菌、梅毒トレポネーマはらせん菌です。
次に同じ論点が出たら
次回、同様の形態分類に関する問題が出題された場合は、まず各選択肢の菌種がどの形態に属するかを瞬時に判断できるよう、代表的な細菌の形態を繰り返し確認することが重要です。特に、見た目の名称から形態が連想しにくい菌種(例:Actinomycesは放線菌だが、形態は桿菌に近い)に注意して覚えるようにします。
関連知識
らせん菌には、消化管関連のHelicobacter pyloriやCampylobacter jejuni、性感染症関連のTreponema pallidum(梅毒の原因菌)、ライム病の原因菌であるBorrelia burgdorferi、レプトスピラ症の原因菌であるLeptospira interrogansなどがあります。これらはいずれも特徴的ならせん状の形態を持つことで共通しています。また、グラム染色性(陽性・陰性)や酸素要求性(好気性・嫌気性)と合わせて覚えると、より詳細な鑑別が可能になります。