蛋白合成阻害作用を有する抗菌薬はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、ペプチド鎖の伸長を妨げることでタンパク質合成を阻害します。対照的に、キノロン系はDNA合成阻害、ペニシリン系、グリコペプチド系、ホスホマイシン系は細胞壁合成阻害作用を有します。これらの作用機序の分類は、抗菌薬の基礎知識として非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. キノロン系抗菌薬は、細菌のDNA複製に必要な酵素であるDNAジャイレース(トポイソメラーゼII)やトポイソメラーゼIVを阻害することで、核酸(DNA)合成を妨げます。正しくは:DNA複製(核酸合成)阻害選びやすい理由:一般的な抗菌薬であり、名前は広く知られていますが、正確な作用機序を覚えていないと誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:同じ核酸合成阻害薬であるリファンピシン(RNAポリメラーゼ阻害)や、葉酸代謝阻害薬のスルファメトキサゾール・トリメトプリムなどと混同しやすいかもしれません。
- 2. ペニシリン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成の最終段階であるペプチドグリカン架橋形成を阻害することで、細胞壁の構築を妨げます。これは細胞壁合成阻害作用です。正しくは:細胞壁合成阻害選びやすい理由:最も古くから知られる抗菌薬の一つであり、多くの感染症治療に用いられるため、その基本的な作用機序を正確に理解していないと間違いやすいです。混同注意:同じ細胞壁合成阻害薬であるセフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系などのβ-ラクタム系抗菌薬や、グリコペプチド系抗菌薬と混同しやすいです。
- 3. 正解。マクロライド系抗菌薬は、細菌のリボソームの50Sサブユニットに特異的に結合し、タンパク質合成の伸長反応を阻害することで、細菌の増殖を抑えます。したがって、タンパク質合成阻害作用を持ちます。
- 4. グリコペプチド系抗菌薬(バンコマイシンなど)は、細菌の細胞壁合成の際に、ペプチドグリカン前駆体の末端にあるD-Ala-D-Alaに結合し、架橋形成を阻害することで細胞壁の構築を妨げます。これは細胞壁合成阻害作用です。正しくは:細胞壁合成阻害選びやすい理由:細胞壁合成阻害薬の中でも、β-ラクタム系とは異なる機序で作用するため、その特異性から他の作用機序と混同してしまう可能性があります。混同注意:β-ラクタム系抗菌薬と同様に細胞壁合成阻害作用を持ちますが、結合部位が異なるため、この違いを理解することが重要です。
- 5. ホスホマイシン系抗菌薬は、細菌の細胞壁合成の初期段階において、N-アセチルグルコサミンからN-アセチルムラミン酸への変換を触媒する酵素を不可逆的に阻害することで、ペプチドグリカン前駆体の合成を妨げます。これも細胞壁合成阻害作用です。正しくは:細胞壁合成阻害(初期段階)選びやすい理由:他の細胞壁合成阻害薬とは異なるユニークな作用機序を持つため、これを蛋白合成阻害と誤解する可能性があります。混同注意:ペニシリン系やグリコペプチド系と同じく細胞壁合成阻害薬ですが、作用する段階がより初期である点を混同しないように注意が必要です。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験において、抗菌薬の作用機序は頻繁に出題される重要な論点です。特に、主要な抗菌薬の系統(例:β-ラクタム系、マクロライド系、キノロン系、アミノグリコシド系など)ごとに、細胞壁合成阻害、蛋白合成阻害、核酸合成阻害、葉酸代謝阻害といった主要な作用機序と、具体的な作用点が問われます。選択肢に挙がった各薬剤の作用機序を正確に把握しておくことが求められます。
混同注意
蛋白合成阻害作用を持つ抗菌薬には、マクロライド系の他にアミノグリコシド系(30Sサブユニット、誤読誘導)、テトラサイクリン系(30Sサブユニット、tRNA結合阻害)、クロラムフェニコール系(50Sサブユニット、ペプチド転移酵素阻害)などがあります。これらとマクロライド系との作用点の違い(50S vs 30Sサブユニット、具体的な阻害ステップ)を混同しないように注意が必要です。また、細胞壁合成阻害薬、DNA/RNA合成阻害薬との分類も明確に区別できるようにしましょう。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題された場合、まず『細胞壁』『タンパク質』『核酸』『葉酸代謝』『細胞膜』のどの主要な作用機序に分類されるかを見極めます。特に、タンパク質合成阻害薬では、リボソームの『30Sサブユニット』または『50Sサブユニット』のどちらに結合するのか、またどのようなステップを阻害するのか(例:初期化、伸長、tRNA結合など)といった詳細な作用点に着目して判断すると良いでしょう。
関連知識
抗菌薬の主な作用機序分類:1. 細胞壁合成阻害(ペニシリン系、セフェム系、グリコペプチド系、ホスホマイシン系)、2. 蛋白合成阻害(マクロライド系、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系、リネゾリド)、3. 核酸合成阻害(キノロン系、リファンピシン)、4. 葉酸代謝阻害(サルファ剤、トリメトプリム)、5. 細胞膜機能阻害(ポリミキシン系)。各系統の代表薬と、それぞれの作用機序を具体的に覚えることが不可欠です。