酸素解離曲線のシフトに関与しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
酸素解離曲線は、ヘモグロビンと酸素の親和性をグラフィカルに示したものです。pH(ボーア効果)、温度、二酸化炭素分圧(PCO2)、そして2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)は、ヘモグロビンと酸素の結合・解離に直接影響を与え、その結果として曲線を左右にシフトさせます。具体的には、酸性化(pH低下)、温度上昇、PCO2上昇、2,3-DPG濃度上昇は、ヘモグロビンと酸素の親和性を低下させ、曲線を右方へシフトさせます。一方、ヘモグロビン濃度は、血液中の酸素運搬能力の総量を決定しますが、ヘモグロビン分子自体の酸素親和性(曲線の形や位置)には直接影響しません。
選択肢ごとの解説
- 1. pHは酸素解離曲線に影響を与える重要な因子です。pHが低下(酸性化)すると、酸素ヘモグロビン結合が不安定になり、酸素解離曲線は右方へシフトします。正しくは:pHの低下(酸性化)は酸素解離曲線を右方へシフトさせます。選びやすい理由:生体の恒常性維持に不可欠なpHは、様々な生理機能に影響を与えるため、酸素運搬にも関与すると推測できます。混同注意:pHとPCO2、温度、2,3-DPGが曲線に影響を与える因子としてまとめて認識されていない場合、誤って選択される可能性があります。
- 2. 体温は酸素解離曲線に影響を与える因子です。体温が上昇すると、ヘモグロビンと酸素の親和性が低下し、酸素解離曲線は右方へシフトします。正しくは:体温の上昇は酸素解離曲線を右方へシフトさせます。選びやすい理由:発熱などの生体反応と関連付けやすく、影響が大きい因子だと考えられます。混同注意:pHやPCO2と並んで、酸素解離曲線の主要な調節因子として理解されていれば、この選択肢が誤りであると判断できます。
- 3. 二酸化炭素分圧 (PCO2) は酸素解離曲線に影響を与える因子です。PCO2が上昇すると、ボーア効果によりヘモグロビンからの酸素解離が促進され、酸素解離曲線は右方へシフトします。正しくは:二酸化炭素分圧の上昇は酸素解離曲線を右方へシフトさせます。選びやすい理由:PCO2とpHは密接に関連しており(ボーア効果)、呼吸生理学の基本知識として重要であるため、曲線に影響を与える因子だと認識しやすいです。混同注意:pH、温度、2,3-DPGとともに、酸素解離曲線を左右する主要な因子群の一部として認識しておく必要があります。
- 4. 正解。ヘモグロビン濃度は血液が運搬できる酸素の総量に影響しますが、酸素解離曲線の形や位置(シフト)には直接関与しません。曲線自体は、ヘモグロビンと酸素の親和性の変化を示します。選びやすい理由:ヘモグロビンは酸素を運搬する主成分であるため、その濃度が酸素運搬に極めて重要であることは明らかです。しかし、曲線の『シフト』という点では直接関与しないため、誤って選択しやすいです。混同注意:酸素運搬『能力』と酸素解離曲線の『シフト』という異なる概念を混同しやすいです。ヘモグロビン濃度は酸素運搬能力に直結しますが、ヘモグロビンと酸素の親和性(曲線シフト)には影響しません。
- 5. 2,3-DPGは酸素解離曲線に影響を与える重要な因子です。2,3-DPG濃度が上昇すると、ヘモグロビンに対する酸素の親和性が低下し、酸素解離曲線は右方へシフトします。正しくは:2,3-DPG濃度の上昇は酸素解離曲線を右方へシフトさせます。選びやすい理由:赤血球内での代謝産物であり、ヘモグロビンと結合して酸素親和性を調整する重要な因子として認識されているため、曲線に影響を与える因子であると判断できます。混同注意:特に、慢性的な低酸素状態での適応機序として重要であるため、他の因子(pH、PCO2、温度)と同様に覚えておくべき項目です。
国試ポイント
酸素解離曲線に影響を与える主要な因子とそのシフト方向、および影響を与えない(または影響が少ない)因子を正確に区別できるかどうかが問われる。特に、酸素運搬に関わるが曲線のシフトには直接関与しない因子(ヘモグロビン濃度など)との混同を狙っている。
混同注意
ヘモグロビン濃度は酸素運搬能力と深く関連するため、酸素解離曲線のシフトにも影響すると誤解されやすい。しかし、曲線のシフトはヘモグロビンと酸素の親和性の変化を指し、ヘモグロビン量自体は曲線が示す飽和度に影響しない。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、まず酸素解離曲線の基本原理(ヘモグロビンと酸素の親和性を示すこと)を理解しているか確認する。次に、曲線をシフトさせる主要な生理学的因子(pH, PCO2, 温度, 2,3-DPG)を挙げ、それぞれの影響方向(右方シフト/左方シフト)を想起する。その後、酸素運搬に重要だがシフトに直接関係しない因子を区別できるか確認する。
関連知識
ボーア効果(pHとPCO2による影響)、肺での酸素取り込みと組織での酸素放出における各因子の役割、慢性的な低酸素状態(高地順応など)における2,3-DPGの適応的変化。異常ヘモグロビン(例:メトヘモグロビン、カルボキシヘモグロビン)も酸素解離曲線に影響を与える。