血算で赤血球250万/μL、Hb 5.0 g/dL、Ht 18%、白血球3,500/μL、血小板40万/μLであった。考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
この患者の血算データは、極端な貧血(Hb 5.0g/dL、Ht 18%)に加え、赤血球数も低く、MCV(平均赤血球容積)は計算上約72fL、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)は約20pgと、小球性低色素性貧血の典型的なパターンを示しています。白血球は軽度減少(3,500/μL)ですが、血小板は正常範囲かやや高値(40万/μL)であり、鉄欠乏性貧血では炎症反応やストレスにより血小板増多を伴うことがよく知られています。これらの所見を総合すると、鉄欠乏性貧血が最も妥当な診断と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎性貧血では、エリスロポエチン産生低下により正球性正色素性貧血を呈することが多いです。この症例のように小球性低色素性を強く示唆する所見(MCV、MCHが低い状態)は典型的ではありません。また、腎性貧血では一般的に白血球や血小板の減少は見られません。正しくは:この症例は小球性低色素性貧血(MCV約72fL、MCH約20pg)であり、腎性貧血の典型像とは異なります。選びやすい理由:貧血である点では共通しますが、貧血の種類が異なります。混同注意:貧血の種類ごとの特徴(大球性、小球性、正球性など)
- 2. 正解。この血算結果は、著しい貧血(Hb 5.0g/dL)に加え、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの全てが低下しており、MCV(平均赤血球容積)は計算上約72fL(18% ÷ 250万/μL × 10 = 72)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)は約20pg(5.0g/dL ÷ 250万/μL × 10 = 20)と低値であり、小球性低色素性貧血を示唆します。白血球数(3,500/μL)は軽度減少ですが、血小板数(40万/μL)は正常範囲内かやや高値であり、鉄欠乏性貧血で血小板増多が見られることがある点と一致します。これらの所見は鉄欠乏性貧血の典型的なパターンです。
- 3. 再生不良性貧血では、骨髄の造血機能不全により赤血球、白血球、血小板の全てが減少する汎血球減少が特徴です。この症例では血小板数が正常範囲であり、白血球数も軽度減少にとどまっているため、再生不良性貧血の典型的所見とは異なります。正しくは:再生不良性貧血では、赤血球、白血球、血小板の全てが著しく減少する汎血球減少を呈します。選びやすい理由:白血球が減少している点で、一部再生不良性貧血に似ていると誤解するかもしれませんが、血小板は正常です。混同注意:汎血球減少と単独または二系統の血球減少
- 4. 自己免疫性溶血性貧血では溶血のため貧血が進行しますが、一般的には正球性正色素性貧血を呈し、骨髄での代償性造血亢進により網状赤血球数が増加します。また、溶血性貧血では脾腫や黄疸が見られることも多く、この症例のような小球性低色素性貧血は典型的ではありません。正しくは:自己免疫性溶血性貧血は、主に正球性正色素性貧血を呈し、網状赤血球増多を伴います。選びやすい理由:重度の貧血である点は共通しますが、貧血の形態が異なります。混同注意:溶血性貧血のタイプと形態
- 5. ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血は、DNA合成障害により巨赤芽球性貧血を引き起こし、赤血球が大きくなる大球性貧血(MCV高値)が特徴です。この症例は小球性貧血(MCV低値)を示唆しており、ビタミンB欠乏性貧血とは異なります。正しくは:ビタミンB欠乏性貧血は、大球性貧血(MCV高値)を呈します。選びやすい理由:貧血である点は共通しますが、貧血の形態が正反対です。混同注意:大球性貧血と小球性貧血の鑑別
国試ポイント
貧血の種類を血算結果から鑑別する能力が問われています。特に、MCVとMCHの値から、小球性低色素性、正球性正色素性、大球性貧血を区別し、それぞれの代表疾患を結びつけることが重要です。また、貧血以外の血球系の異常(白血球、血小板)も鑑別に利用します。
混同注意
貧血の分類(形態学的、病態生理学的)とそれに対応する疾患。特に小球性貧血(鉄欠乏性貧血、サラセミアなど)、大球性貧血(巨赤芽球性貧血など)、正球性貧血(再生不良性貧血、腎性貧血、溶血性貧血など)の鑑別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まずMCVとMCHを算出し、貧血の形態(小球性、大球性、正球性)を判断します。次に、白血球数と血小板数の異常の有無を確認し、汎血球減少の有無や特定の血球系の異常を把握します。これらの情報と各選択肢の疾患の典型的な血算所見を照合し、最も一致するものを選択します。
関連知識
MCV、MCH、MCHCの算出方法と基準値、貧血の形態分類と代表的な疾患、それぞれの疾患の病態生理、血小板数や白血球数の変動が貧血疾患に与える影響、網状赤血球数の意義。